連載
#43 ○○の世論
「レジ袋有料化」評価どんだけ? 世論調査に表れた「やる気ない層」
エコバッグ持参、一番反応した人たちの特徴
「レジ袋は有料になりますが、いかがいたしましょうか」。7月から、スーパーやコンビニで、こんなやり取りが当たり前になりました。分解されにくいブラスチックごみを減らすのが、有料化の狙いですが、果たして「いりません」という人は、増えているのでしょうか。世論調査で聞いてみると、若年層で男女の結果に大きな差が出ました。(朝日新聞記者・磯田和昭)
7月18、19日に実施した調査で、「今回のレジ袋の有料化をきっかけに、自分の買い物袋を持っていくことが多くなりましたか」と聞きました。全体では、63%が「多くなった」と答え、「それほどでもない」は31%でした。
男女別にみると、女性は69%が「多くなった」と答えたのに対し、男性は56%と低めでした。年代別では、50代、60代の7割近くが「多くなった」と答えたのに対し、39歳以下では58%にとどまりました。
これをさらに、細かく分析してみます。
【レジ袋の有料化をきっかけに、自分の買い物袋を持っていくことが多くなりましたか】
・39歳以下男=多くなった(45%)/それほどでもない(51%)
・39歳以下女=多くなった(75%)/それほどでもない(23%)
・40代男=多くなった(54%)/それほどでもない(43%)
・40代女=多くなった(71%)/それほどでもない(21%)
・50代男=多くなった(64%)/それほどでもない(33%)
・50代女=多くなった(76%)/それほどでもない(17%)
・60代男=多くなった(64%)/それほどでもない(29%)
・60代女=多くなった(67%)/それほどでもない(21%)
・70歳以上男=多くなった(63%)/それほどでもない(29%)
・70歳以上女=多くなった(61%)/それほどでもない(27%)
39歳以下では、男性の「多くなった」が45%にとどまり、「それほどでもない」の51%より少ない結果になりました。一方、女性は75%が「多くなった」と答えており、男女の差が顕著です。
男性は、年代が上がるにつれ、「多くなった」が増える傾向があります。
一方、女性は50代以下で「多くなった」が7割を超えて高く、有料化に敏感に反応した世代と言えそうです。60代以上では、男女差はほとんどありませんでした。
マイバッグについては、過去に2007年11月の面接調査で、「スーパーなどのレジ袋を減らすため、自分の買い物袋を持ち歩いていますか」という質問をしています。
「よくしている」29%、「時々している」17%、「あまりしていない」11%、「していない」39%という結果で、女性に限れば、4割が「よくしている」と答えていました。
年代別にみると、若い世代ほどマイバッグ持参が少なく、「よくしている」は20代で15%、30代で24%しかいませんでした。
今年7月の調査では、有料化後の変化を聞いていますから、マイバッグを日頃持ち歩いていた人が、以前と変わらないので「それほどでもない」と答えたケースもありえます。そう考えると、実際にマイバッグを使っているかどうかの男女差は、もっと大きいかもしれません。
いずれにしろ、レジ袋を減らすには、若い男性の意識をどう変えていくかが、かぎと言えそうです。
7月の調査では、レジ袋の有料化を義務づけた政策の評価も聞きました。
「評価する」は67%、「評価しない」は29%でした。こちらも性別や年代で回答に明らかな違いがありました。
男女別では、女性の73%が「評価する」と答えたのに対し、男性は60%と低めです。
年代別では、60代、70歳以上は、8割近くが「評価する」でしたが、39歳以下は56%にとどまりました。
地域別にみると、大阪で「評価する」57%、「評価しない」41%と、評価が低めでした。一方、東京では「評価する」64%、「評価しない」30%で、全国平均とほぼ同じでした。
「日本のプラスチックごみ全体のうち、レジ袋はごく一部と言われているため、レジ袋だけ減らしても問題が解決するわけではありません」。経済産業省とともに有料化の音頭をとった環境省は、ホームページでこう認めています。そのうえで、有料化を「プラスチックとの付き合い方を見直す機会」にしてほしいと訴えています。
性別や年代を超えて、マイバッグを普及させるには、もう一工夫がいりそうです。
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