連載
#60 #父親のモヤモヤ
在宅勤務で見えた「子育て」の戸惑い 通勤なくても「プラマイゼロ」
ONE JAPANは、「パナソニック」や「NTTグループ」、「トヨタ自動車」など大企業の40代以下の社員によるコミュニティです。4月13〜19日、参加企業54社1400人を対象に働き方の緊急調査をしました。
調査では、全体の9割が「在宅勤務・テレワーク・リモートワーク」を推奨されたと答え、初めて制度を利用したという人も半数近くいました。
在宅勤務で仕事や生活に変化があったと答えた人のうち、約4割が「配偶者・家族との
コミュニケーション量が増えた」と回答しています。在宅勤務は、仕事と子育てのバランスを取れるという意見もありました。
一方で、制度を利用した人の約8割は、なんらかの課題や支障があると回答しました。そのうちの一つは「子ども・家族・介護の相手に時間をとられてしまう」ことです。
特に、休校や休園措置のため子どもに時間をとられる、という声が多かったといいます。
「ONE JAPAN」のメンバーで調査を担当した40代の男性は、共働きで小学2年と4歳の息子の世話をしながら在宅勤務をしているといいます。
「両者がどちらかの面倒をみないといけない状態になっています。それぞれの部屋に子どもが1人ずついる状況にして勉強をさせていたりしますが、リモート会議の時、息子が頻繁に映り込むこともありました」
調査では、在宅勤務による生産性についても聞きましたが、約4割が「かわらない」と答えています。
男性は、「通勤しない、集中できるから上がったと思っていると同時に、子どもの世話が大変で下がっているので『かわらない』と答えている人が多いというのが実感」といいます。
「宣言前から在宅勤務をしていましたが、その時は小学校にも保育園にも行っていて、効率が上がって集中できました。家では、『子どもを35人もみてくれる小学校の先生はすごい、学童は本当に助かる』と話しています」
学校や保育園に預けられない状況は、緊急事態下だからこそです。今後改善されていけばその課題感は無くなります。調査では、在宅勤務やテレワークの制度に賛成する人は、全体の96.8%。制度の一般化を望む人も全体の95.4%に上りました。
ONE JAPANは、「出社しない働き方」を定着させることは、事業継続と人材確保の観点からも、企業の持続可能性につながると提言にまとめています。
緊急事態宣言の解除を受けて、改めて次のようにコメントしました。
「感染防止を図りながら事業を継続するため、在宅勤務の継続を大きな柱とした出社人数の抑制、およびグループ分け、時差対応など『新しい生活様式』に見合った『新たな勤務形態』の定着を求めます」
ONE JAPANの調査では、多くの人が在宅勤務のメリットを感じていました。
子どもを世話しながらの在宅勤務には限界がある一方、状況が改善されれば「育児か仕事か」ではなく、「育児も仕事も」充実する選択肢が見えてくるのではないでしょうか。我が家も1歳の子どもを育てながら夫婦で在宅勤務をしていますが、相談しながら試行錯誤する日々です。
強制される在宅勤務が終わった時こそ、どのような子育てがしたいのか、できるのかを主体的に考えていきたいと思います。
お知らせ
#父親のモヤモヤ・オンラインオフ会
~コロナ禍の子育て&在宅勤務&夫婦関係、どうしてる?~
5月30日(土)10時より、オンラインオフ会を開きます。
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