今年も大みそかの風物詩、紅白歌合戦が近づいてきました。前回、NHKの人気番組『みんなで筋肉体操』とのコラボが放送の最中から大きな話題を集めた紅白。なんと12月28日に開催された『第70回NHK紅白歌合戦』リハーサルでも、再び「筋肉」が登場しました。
昨年に続き2年連続、今回で7回目の出場となるDA PUMPが、そのステージでパフォーマンス集団のマッチョ29、ブレイクダンスチームの筋肉定食とコラボしたのです。近年、紅白に巻き起こる「筋肉」旋風を紹介します。(朝日新聞デジタル編集部・朽木誠一郎)
昨年の『第69回NHK紅白歌合戦』では、筋肉体操に出演した俳優の武田真治さんが、赤いタンクトップに短パン姿で登場。いわゆる「細マッチョ」な肉体美を披露し、他の筋肉体操出演者らと一緒に演歌歌手の天童よしみさんのステージを盛り上げました。
後半には武田さんがそのままの格好で、特技のサックスを吹く場面も。SNSではあまりの情報量の多さに「カオス」「何が起こってんだよ…」「NHKホールは特異点と化した」などの投稿が盛んにおこなわれ、ゲストの岡村隆史さんも「筋肉とサックスは共存するんですか?」「どっちかにしなさいよ」とツッコむ事態に。
筋肉体操の面々はさらに、DA PUMPの2018年の大ヒット曲『U.S.A.』でも画面の端に登場。飛び跳ねながら手と足を振る同曲の特徴的なダンスをしていました。そのときは、ひな壇の後方にいながら、あまりの存在感に再度SNSが騒然。しかし、これが布石になろうとは、誰も想像しなかったのではないでしょうか。
今年のリハーサル初日、アーティストが入れ替わりで登場するステージで、「次の出演者」として名前が挙がったのはDA PUMPだけではありませんでした。続けて呼ばれたのは「筋肉定食」と「マッチョ29」。その瞬間、令和初の紅白でも「筋肉」旋風が巻き起こることを確信しました。
DA PUMPは『P.A.R.T.Y. ~ユニバース・フェスティバル~』と『U.S.A.』のメドレーを披露。今年開催されたラグビーワールドカップの試合映像をバックに、ラグビーのプレーを取り入れた演出が随所で展開されました。「筋肉」はラグビーの屈強な選手たちと共通するイメージでもあります。
筋肉定食は2010年結成のブレイクダンスチーム、そして、マッチョ29は“筋肉で日本を笑顔にする”をモットーに活動する“世界でもっとも「キレている」パフォーマンス集団”。共に「筋肉」にゆかりのあるキャスティングです。「仕上がった」両者のダンスからは、これまでの厳しいトレーニングの積み重ねがうかがえます。
両曲とも、その振り付けは「筋肉」を意識した特別バージョン。特に『U.S.A.』ではキャッチーなサビ部分のダンスが、マッチョたちのキレッキレのポージングでさらに魅力的に。リハーサル後の囲み取材では「本番は何が棲んでいるかわからない」とISSAさん。アドリブの可能性にも含みを持たせました。
DA PUMPは1997年にデビューした、歴史の長いグループです。『if…』などがヒットし、98年から5年連続でNHK紅白歌合戦に出場するも、メンバーの脱退や、ライブのリハーサル中にISSAさんが足を骨折するなどのアクシデントが重なり、一時活動を休止。新しいメンバーを加えて2009年に9人、14年から現在の7人になりました。
しかし、ヒット曲に恵まれず、郊外のショッピングモールを回って無料ライブをする時期も。再ブレイクをもたらした『U.S.A.』は3年8カ月ぶりのシングルでした。10年以上「売れない」不遇の時代を経て、DA PUMPはこうしてまた、人々の注目を一身に浴びています。
今回のステージには、今年9月に胸椎類骨骨腫の手術を受け、11月に復帰したYORIさんも登場。「(療養期間に)メンバーがずっとつないでくれた絆を見せていければ」とコメントすると、報道陣から「つないだ絆、ONE TEAM※ですね」と返される一幕もありました。※年間流行語大賞になったラグビー日本代表のスローガン
「ラグビー」「筋肉」そしてアドリブ要素の可能性と、本番ではさらに賑やかになる予感のするステージ。ISSAさんは「お祭り騒ぎ、まさに“PARTY”で僕らが一番、楽しんでいます。みなさんも楽しみにしていてください」とコメントし、会場を後にしました。