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勝者に「体毛」あげます!動物園「じゃんけん大会」賞品が本気すぎた

「じゃんけん大会」の賞品の一つ、シロフクロウなど鳥の羽根の詰め合わせ。攻めた発想の背景に迫りました。
「じゃんけん大会」の賞品の一つ、シロフクロウなど鳥の羽根の詰め合わせ。攻めた発想の背景に迫りました。 出典: 盛岡市動物公園の公式ホームページ

目次

もうすぐゴールデンウイーク。10連休に合わせ、ある動物園が企画している「じゃんけん大会」の賞品が、「マニアック」とネット上で話題を呼んでいます。それもそのはず。園内で暮らしている動物の体毛や、愛用のおもちゃがもらえるというのです。本気すぎるラインナップを打ち出した背景には、「間接的にでも動物と触れ合い、親しみを持って欲しい」との思いがありました。(withnews編集部・神戸郁人)

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「羽根」「ふわふわの毛」にファン狂喜

じゃんけん大会は、盛岡市動物公園(盛岡市)が考案しました。園内で来園客向けに行う「春まつり」のイベントの一つです。

ゴールデンウイーク中に開かれる「じゃんけん大会」の賞品一覧。
ゴールデンウイーク中に開かれる「じゃんけん大会」の賞品一覧。 出典:盛岡市動物公園の公式ホームページ

「触ることができないヒトコブラクダのふわふわの毛」「鳥類担当者たちが必死で集めた いろいろな鳥たちの羽根の詰め合わせ」「カナダカワウソが体を拭くのに使っている麻袋」――。

賞品の一覧画像には、味わい深い文句とともに、園内の動物にまつわるアイテムがずらり。ゾウが遊んだタイヤの一部など、おもちゃの名前も並んでいます。

今月14日、詳細が公式ホームページ上で発表されると、早々にファンたちが反応しました。「想像を上回るマニアック度」「私だったら家宝にする」と、狂喜の声があふれています。

初の10連休、「ひと味違うもの」を用意

動物園ならではと言える、この企画。どんな目的があるのか、盛岡市動物公園を取材しました。

同園では、過去の春まつりでも、じゃんけん大会を開いてきた経緯があります。その際の賞品は、ぬいぐるみや旅行券などでした。

翻って、史上初の10連休となる、今年のゴールデンウイーク。

「いつもの休日とは、ひと味違ったものを準備したい」

春まつりの担当スタッフたちは、そんな話で盛り上がっていたといいます。

「園内には、約100種類・700匹ほどの動物がいます。その環境を生かして、『小さな子どもからマニアまで楽しめる賞品をそろえよう』と考えたんです」

イベントの企画に関わった飼育員・松村亜裕子さんが、熱っぽく教えてくれました。

アフリカゾウの「マオ」と、遊び道具のタイヤ。来園者には、切り取られた一部がプレゼントされる。
アフリカゾウの「マオ」と、遊び道具のタイヤ。来園者には、切り取られた一部がプレゼントされる。 出典: 盛岡市動物公園提供

動物に影響ないように「賞品収集」

松村さんによると、賞品は動物に影響がない形で用意されました。

生え替わりの時期などに、自然に抜けた体毛や羽根を集めたり、使い古され処分直前のおもちゃを選んだり……といった具合です。

動物に親しんでもらうための、工夫もこらされています。

例えば、ヒトコブラクダの体毛や、ポニーの尻尾の毛。普段は直接触れられない動物や、部位を選ぶことで、物珍しさと身近さを両立させました。

肉食獣ゆかりの品もあります。2013年に生まれた、メスのライオン「プリンセス」お気に入りの「石」です。

プリンセスは人なつっこく、飼育員と柵越しに追いかけっこする、園の元気印。石を眺めていると、飛びつく姿が目に浮かぶようです。

ライオンの「プリンセス」と、お気に入りの石。
ライオンの「プリンセス」と、お気に入りの石。 出典: 盛岡市動物公園提供

実は告知前から反響続々

今回の企画、実はSNSなどで告知される前から、大きな反響がありました。「ファンの皆さんの高い熱量に驚きました」と松村さんは笑います。

その上で「これだけ話題になったことは、予想外ながら大変うれしい。連休中は、遠くから来園されるお客さんもいると思います。少しでも多くの方々に、動物に親しんで欲しいです」と話していました。

じゃんけん大会は4月27日~5月6日、園内の「芝生広場」で、毎日正午に開かれる予定です。盛岡市動物公園のツイッター(@moriokazoo)でも、関連情報が確認出来ます。



プレゼントされるのは「信頼の結晶」

ファンの度肝を抜く、盛岡市動物公園の取り組み。何を隠そう私自身、初めて賞品の一覧を見た時、思わず「毛!?」と叫んだ一人です。

字面のインパクトもさることながら、個人的に目を見張った理由は、行間からあふれ出す、動物への思いを感じ取ったからでした。

賞品である体毛や卵は、飼育員の皆さんが、日々集めてきたものだといいます。まとめて提供出来るだけの量になるまでには、相当な時間がかかったことでしょう。

そしておもちゃには、それを採り入れた関係者や、大事に使ってきた動物の感情が染みついているはずです。来園者にプレゼントされるのは、ヒトと動物の「信頼の結晶」であると言えるかもしれません。

賞品を通じて、動物園で育まれてきた愛情が、さらに外へと広がっていく……。今回の取り組みが、そんな優しい関係づくりの「種」になっていけば素敵だな、と感じました。

ちなみに私が気になったのは、ヒトコブラクダの体毛。しかし動物アレルギーのため、モフモフするのが難しそうです。ラクダ好きの手元に届くことを祈りたいと思います。

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