連載
#17 ネットの話題フカボリ
ワニって色々と大変なんだね… 言葉は要らない面白さ、作者に聞いた
もし、ワニが人間と同じような生活をしていたらどうなる?
もし、ワニが人間と同じような生活をしていたらどうなる? アゴが邪魔をして抱き合えない、楽器が演奏できない、リレーのバトンを渡せない……そんな様子をイラストで表現した作品が、インスタグラムで注目を集めています。1枚で伝わるわかりやすさとシュールさが人気の秘訣です。作者に制作の経緯を聞きました。
インスタグラムにイラストを投稿しているkeigo(@k5fuwa)さん。美大のデザイン科を卒業して、ふだんはイラストとほぼ無関係の仕事をしている会社員です。今年に入ってイラスト集「ケイゴ式」(実業之日本社)を出版。中国語版も販売されています。
初のイラスト集《ケイゴ式》が、4月27日発売予定です。よろしくお願いしますhttps://t.co/s4vbCPDi6c pic.twitter.com/ZV55AAdO86
— keigo (@k5fuwa) 2018年4月7日
擬人化されたキリンやゾウ、ウシなどが登場するkeigoさんのイラストですが、最近ネット上で特に注目を集めているのがワニのイラストです。
人気のワニのイラストには、以下のようなものがあります。いずれも長すぎるアゴが邪魔をして「こんなことができない」というネタです。
8月下旬になって、keigoさんのイラストをまとめた記事が複数のウェブサイトで公開され、「言葉のいらないおもしろさ」「これはクセになる」と話題になっています。
どういった経緯でイラストを投稿し始めたのか? 詳しく話を聞きました。
――インスタグラムにイラストを投稿するようになったきっかけは
インスタを始めたのは2012年です。ニュースで紹介されてたのを見て、何となく始めました。
始めた頃は、趣味の電子楽器の写真を投稿してましたが、すぐ投稿するネタがなくなりました。
やめようかと思ってましたが、たまたま部屋にあった大学時代の絵(落書き)を投稿してみたら、少し海外からの反応があったので、なんか面白そう、とイラストで続けてみることにしました。
それ以来、仕事以外の時間は何か描き続ける生活が今日まで続いてます。
ツイッターは過去にSNS向けのイラストの仕事の依頼があり、そのために始めました。普段は、ほとんど使用してません。
――ワニに関するイラストをまとめたサイトが増えていますね
中国で本を出したのを機に、weiboでもイラストを投稿してましたが、そちらの方でワニの絵がいつも以上に拡散されてたので、ありがたいことだなぁと思ってました。
その後、インスタグラムで急激にフォロワーさんやいろんな言語のDMが増えてきました。中国以外の国にイラストが広がっていることは予想外でした。
――このワニには名前があるのでしょうか
普通に「ワニ」と言ってます。嫁も「またワニ描いとる」とよく言ってます。
――著書「ケイゴ式」では、キリンやウシなど多くのキャラクターが登場していますが、ワニに特別な思い入れはありますか
ワニはアイデアが出やすいので、他のテーマで何も浮かばない日はワニに頼ってます。他のキャラ以上に目に活力が無いです。むなしさというか、どうしようもない場の空気感をより強調してくれるので、好んで描いてます。
ワニを描き過ぎてネタ切れしてましたが、SNSで拡散していただいたのでもう少し頑張ろうと思います。
――1コマでメッセージを伝えるにあたって心がけていることは
インスタでのイラストは、スマホのような、さほど大きくない画面でもすぐに伝わるよう、いろいろ詰め込まず必要最低限のモチーフで表現するよう心がけてます。
説明的な絵は避け、言葉も含め頭の中でいろんなものを削ぎ落としていく作業が多いです。
――描く上で心がけている点は
自分の作品に関してですが、考えながら描いた絵は大抵つまらないので、何かひらめくまでは極力描かないようにしてます。ひらめいたことをそのまま紙に描き写すだけの作業が理想ですが、それは月に数回あるかないかです。
あと、インスタを始めた頃から、世界中の誰にでも伝わるよう意識して描き続けてきました。
――多くの反響が寄せられていることについては
とても嬉しいです。本を出版してから少し目標を失ってましたが、また描き続けようとやる気が出ました。
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