話題
全国のサウナ「フリーパス」権利を持つ男 協会が認めた達人の恍惚感
サウナの魅力をより多くの人に知ってもらうため、私をサウナの世界に導いた張本人「サウナ大使」ことマンガ家のタナカカツキさんに話を聞きました。
                    話題
サウナの魅力をより多くの人に知ってもらうため、私をサウナの世界に導いた張本人「サウナ大使」ことマンガ家のタナカカツキさんに話を聞きました。
                    最近はサウナブームだと耳にすることも多いと思います。そんな中「日本中のサウナに入り放題」という大変うらやましい権利を持っている人がいること、知っていますか?そう、その人こそサウナーのバイブル「サ道」の作者、マンガ家のタナカカツキさん。日本サウナ・スパ協会に公式に認められた「サウナ大使」としてサウナ情報を発信しています。サウナによる爽快感、「ととのった」境地を体験する方法や、サウナブームが定着するための課題について大使に聞きました。
みなさんサウナはお好きですか?
サウナは苦手、という人もいるのではないでしょうか?
私も元々サウナが苦手でした。
「暑いし、息苦しいし、なんだかなぁ…」と、何が良いのかサッパリ分かりませんでした。
そんな私が出会ったのが、サウナー(サウナを愛する人)のバイブル「サ道」。
なるほど、やはりすこしの事にも先達はあらまほしきことなり……。
サウナを楽しむ方法が余すことなく記されており、指南通りに入ってみたところ、完全に「ととのって」しまい、すっかりサウナの虜に。以来、「サ道」片手に全国津々浦々のサウナで汗かく日々を過ごしています。
最近は「サウナブーム」だと言われます。「サ道」以外にも、サウナの楽しみ方について学べる書籍も出版されるようになりました。
とはいえ、まだまだサウナが苦手、という人も多いと思います。かつての私のように、なんとなくサウナを避けているのであれば、それは勿体無い…。
そうした悲しい事態を避けるためには、改めてサウナの魅力や楽しみ方をお伝えすべきなのではないか……。
ということで、私をサウナの世界に導いた張本人、
「サウナ大使」ことマンガ家のタナカカツキさんに話を聞くことにしました。
さっそく大使に連絡。取材をご快諾いただき、取材場所を確認すると、
大使「スカイスパさんでいかかがですか?」
やはりサウナ大使。取材場所もサウナです。
ということでやって来ました、スカイスパYOKOHAMA。
スカイスパYOKOHAMAは横浜駅直結のサウナ施設。心地よい木の香りに包まれるサウナ、充実したロウリュサービス、そして窓から見える横浜の景色と、「ととのう」条件が勢ぞろい。まだまだ男性専用のサウナ施設も多い中、こちらの施設では女性も高クオリティのサウナを楽しめます。
さて、大使とご対面です
すでにサウナでロウリュを楽しまれたようで、すっかり「ととのって」おられるご様子。
――本日は「サウナ大使」にサウナの魅力をあれこれお伺いできればと思います。
よろしくお願いします。            ――そもそも「サウナ大使」って何?と思う人もいると思うのですが、日本サウナ・スパ協会に任命された「サウナ大使」なのですよね?
はい、そうなんです。これが大使のカードです 。            ――「いつでも無料で日本サウナ・スパ協会加盟店のサウナにご入浴できます。」とありますが…かなり手作り感がありますね(笑)
ですよね…。サウナ施設でも「自分で作ったんじゃないの?」みたいに怪しまれることが多いんです(笑)            
――でも、これを見せればサウナ入り放題ってことですよね?
そのはずなのですが、、、全然存在を知られていないので、受付とかで確認にすごく時間がかかるんです(笑)            
――あれ、ということはもしかして……「サ道」でも描かれていたように、あまり活用されていない?
はい、お金払ってサウナ入っています(笑)            
――やはり、そうなんですね(笑)。ぜひこの記事で少しでもその存在が知られるようになること、願ってます。さて、今や「サウナ大使」としてその魅力を発信しているタナカさんですが、いつ頃サウナの魅力に気がついたのでしょうか?
2008年に初「ととのい」でしたので10年前ですね。            ――サウナとの馴れ初めはどんな感じだったのですか?
当時サウナは近寄りたくないものでした。「裸のおじさんが汗かいている場所」「終電逃したサラリーマンが行くところ」なんてイメージでしたし、そもそもムシムシしているところは不快だよだなぁ…と思っていました。            ――そこからどうして「サウナ大使」になるまで変わったのですか?
家の近くにジムができたのがきっかけです。新しいからどこもキレイ。隅から隅まで使っていたら、ふとサウナの存在に気がつきました。なんとなく入ってみると、作りたてなので木のすごく良い香りがしてずっと入っていられました。            ――おお!良い香りのするサウナ室、最高ですよね。
温まって外に出るとそこには水風呂が。最初は入ろうと思いませんでしたが、体がほてっていたので…。そこで手足に水をかけたりしていたんです。そうして気がつくと数日後には肩まで水風呂に入ってました。            ――水風呂も最初から入ることができたわけではないのですね。
はい。しかし入れるようになると、冷たいのは最初だけだと分かったんです。それから水風呂を「リラックスできて気持ち良いもの」と感じるように。そんな時、水風呂から上がって休憩していると、全身の痺れとともに、なんかこう、えも言われぬ感覚を覚えたんです。半笑いみたいになっちゃう感じ。――あ、「ととのった」んですね。
「おじさんたち、これをやっていたのか!」と分かったんです。「早く言ってよ」って思いました(笑)。だからあんなに気持ち良さそうに水風呂に入っていたのかと、ようやく理解しました。            ――初「ととのい」の後はどうされたのですか?
SNSでサウナについて発信してみたんです。そうすると情報が押し寄せてきました。全国のサウナ猛者たちから「ようこそ!サウナの世界に」と(笑)。サウナイベントにも参加するようになり、さらに理解が深まりました。            ――「サ道」を執筆されていますが、その当時にサウナの楽しみ方について書かれた本はなかったのですか?
サウナと水風呂を楽しむ方法について具体的に紹介している本はなかったと思いますね。            ――私も「サ道」でサウナの魅力を知ったのですが、初めて手にしたのは「マンガ サ道」でした。表現方法や媒体の違いなどで意識されたことはありますか?
「マンガ サ道」では「ととのった」という言葉を積極的に採用しているんです。最初の「サ道」執筆時にはまだ「ととのった」という言葉を使っていなかったので。            ――「ととのった」という言葉はどこから出てきたのですか?
「ととのった」という言葉はサウナ仲間から教えてもらいました。サウナーの先輩たちがあの恍惚感を表現するために使っていて、それを聞いた時に素晴らしいと思ったんです。まさにその感じだと。            ――「サウナ」と聞くと「サウナ室」だけを思い浮かべがちですものね。水風呂や「ととのう」ことについてはまだまだ知られていないのかもしれません。
諸外国では、最後の「ととのう」感覚、つまり爽快感までがサウナ。サウナの語源をたどると「生と死を行ったり来たりする」といった意味もあるようです。サウナって本質的には爽快感のことなんです。            ――ずばり、サウナの魅力って何でしょうか?
健康的なメリットについては色々と言われますが、結局「気持ちいい」「楽しい」から入るのだと思います。癖になっちゃう。サウナに行かないと気持ち悪い、みたいな。            ――良いサウナ、悪いサウナについて何か基準はお持ちですか?
サウナに何を求めているかによって変わりますよね。私は静かなサウナが望ましいです。今の時代、静かに一人でいるって難しい。ちゃんと孤独になれる、心も体も裸になれる場所、それがサウナ。そこに価値を感じて、そうした時間や場所を確保するためにお金を払っています。            ――施設によってはアウフグースを実施していたりしますよね。そうした、ある種イベント的な要素についてどのようにお考えですか?
私は静かなサウナが好きですから、ロウリュだけでも十分ですし、アウフグースが不要な場合もあります。とはいえ、アウフグースのようなエンターテイメント要素があると、サウナが話題になりますよね。つい人に言いたくなるような、そうした楽しい要素として活用できれば良いと思います。            ――サウナ室にどれくらいの時間いらっしゃいますか?
場所によって、状態によって、体調によって変わります。基本的に水風呂に入って一番気持ちいいところまで入ります。その感じは体が覚えているので感覚で判断しますね。――ちなみに、毎回「ととのって」いらっしゃいますか?
最近だと他の人が「ととのっている」様子を見るだけでも「ととのって」ます(笑)。 ただ、最初のあの感じ、とてつもない爽快感を感じることは最近あまり無いですね。            ――でもたまに意図しないとき、すごく「ととのう」ことありませんか?
まさしく!隙がある時に、今日「ととのわない」でしょって時に、来たりしますよね。コントロールができない。ですから最近は期待しないようにしています。              ――最近は「サウナブーム」だと言われることもありますが、実感されることはありますか?
毎年「サウナ祭り」というイベントを開催していますが、年々勢いがすごくなってます。今年は受付開始2分で約1000通の申込みがありました。女性の応募者も急増していますね。今年の男女比は7:3くらいだったと思うのですが、おそらく来年はさらに増えると思います。            ――男女問わずサウナを楽しむ方が増えていると。
現状、サウナについては女性が不遇なんです。男性専用の施設も多いですから。 その一方で、サウナ情報を発信される女性も増えていますし、これからも女性のサウナーが増えると思います。            ――そうしたサウナーが増えている状況をどのように見ておられますか?
私は良いサウナ施設がそこら中にできて欲しいんです。ですからサウナ利用者が増えることは良いと思います。ただ、サウナにはまだまだ誤解もありますし、女性の敷居も高い。それに実際サウナに行くには、生活のどこかの時間を割り当てる必要がある。「ブーム」かどうかは、利用者が安定的に伸びているかを見るべきです。
サウナ大使・タナカカツキさんに、サウナとの馴れ初めから、その魅力まで語っていただきました。「良いサウナ施設がそこら中にできて欲しい」とのお言葉に激しく同意してしまいました。ほんと、そこら中にできて欲しい…。
さて、サウナについてのお話はまだまだ続くのですが、ちょっと長くなってしまったので、一旦ここまで。続きは『世界のサウナ事情「日本とドイツだけ異様」二極化するスタイルとは?』でお楽しみください。
                                1/11枚