連載
#14 ネットの話題フカボリ
「これでも浮気できるのか!?」お化け屋敷の週刊誌風広告が攻め過ぎ
「大人たちよ!これでも浮気ができるのか!?」。衝撃的な見出しが書かれた、電車の中づり広告。でもよく読むと、「夏の特別演出」の文字が……。実は、お化け屋敷の宣伝なんです。有名週刊誌そっくりのデザインが、ネット上で反響を呼び、「だまされた!」と悔しがる人が続出しています。攻め過ぎな一枚を作った狙いは?担当者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
話題の週刊誌風広告には、赤色や緑色の背景に、太めのフォントで書かれた記事の見出しが並んでいます。
「禁断の密会は週1から週4へ…のめり込む二人」「男が逢引きを重ねたのは〝あの〝収集部屋だった」。浮気を連想させる不穏な言葉の脇には、飛び回るガや、白塗りメイクをした女性などの写真も。全体的にスキャンダラスな印象です。
中央下部分を見ると、「夏の特別演出」の文字が目に入ります。ここで、東京ドームシティ(東京都文京区)内にある、お化け屋敷の宣伝と分かる仕掛けになっているのです。
この発想に、ツイッター上には「擬態し過ぎて逆に目立ってない」など評価するコメントがあふれています。中には「新手の週刊誌かと思った」「手のひらで踊ってやったんだ」と悔しがる声もありました。
広告は、常設のお化け屋敷「怨霊座敷」の展示に、夏季限定で新たな演出を加えたバージョン「超・怨霊座敷」の宣伝用に作られました。8月8日まで、JR総武線の1編成を、まるまるジャックする形で公開しています。
製作の狙いについて、運営元である東京ドームの遠藤拓大さんに聞きました。
――なぜ週刊誌風のデザインを採用したのですか
「怨霊座敷」の主人公は、彼氏に浮気され、恨みを抱き亡くなった女性「夜雨子(ようこ)」です。痴情のもつれが深く関係しており、週刊誌にぴったりな題材と考えました。広告会社などと宣伝方法を練った結果、今回の形になりました。
チラシも作ったのですが、裏面には「怨霊座敷」の物語を、記事風にまとめ載せています。
――特に工夫した点を教えて下さい
ストーリー性のあるアトラクションなので、その内容が分かる言葉を盛り込みました。例えば「〝あの〝収集部屋」の見出しは、夜雨子の彼氏が趣味でガを集めていて、その保管部屋で浮気相手と会っている、との設定に基づいています。
お化け屋敷の演出を手掛けた、プロデューサーの五味弘文さんにも登場してもらいました。最近、「本物のお化けが出るのを隠しているのでは」とのうわさが広がったため、逆手に取り宣伝に生かした形です。
ちなみに、五味さんから「1人で顔を出すのは嫌だ」と言われたので、私の写真も載せています(笑)。
――広告を見た人から、好意的な声が寄せられています
実は、常設のお化け屋敷がリニューアルオープンした今年4月にも、同じような広告を打っているんです。その時にも大きな反響があり、新作につながりました。
怖がりで、お化け屋敷が苦手な人にこそ興味を持ってもらう、という目的があるので、とてもうれしく思います。
――お化け屋敷の特徴は
夜雨子の恨みを晴らすため、ミッションに挑みながら進む形式になっています。物語の中に入ったような感覚が楽しめ、夕方以降は動く仕掛けの数が倍増するなど、怖さが際立つ工夫も満載ですよ。
――広告を見た人にメッセージを
ただ怖いだけでなく、純粋に楽しめるものになっていると思います。「こういうセンスならお化け屋敷も面白そうだな」と感じてもらえると良いですね。
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