話題
これは「読み薬」です! タイトル伏せて効能も手書き『本の処方箋』
「内服薬」と書かれた薬局でもらう袋のようなもの。効能の欄には「小説の世界に入り込めます」と書かれています。
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「内服薬」と書かれた薬局でもらう袋のようなもの。効能の欄には「小説の世界に入り込めます」と書かれています。
「内服薬」と書かれた紙袋。効能の欄には「小説の世界に入り込めます」とあります。実はこれ、東京学芸大学生協の書棚で売られている本のパッケージなんです。学生が企画して4年前から始まったという取り組みについて、詳しく話を聞きました。
今月21日にツイッター投稿された画像。書棚には薬袋のようなものがいくつか並んでいます。
効能の欄に「小説の世界に入り込めます」と書かれた袋には、こんな記述があります。
「どうぞ、権威の向こう側に行った愚鈍な大人を思う存分バカにして、彼らに向けて言葉の引き金を引いて欲しい」
どうやら、中に入っている本のタイトルを明かさず、本文の一節を紹介しているいるようです。
この投稿に対して、「素敵な本の売り方」「手書き感がまたイイ」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万2千、いいねは2万7千を超えています。
この書棚は東京学芸大学生協の売り場の一角にあり、生協の「読書マラソン委員会」が企画したものです。
どういった経緯で始まったのか? 大学の3年生で、読書マラソン委員会の委員長を務める飯泉翔太さん(21)に話を聞きました。
――読書マラソン委員会について教えてください
東京学芸大学生協読書マラソン委員会は、大学生協が勧めている、在学中の4年間に100冊の本を読もうという「読書マラソン」を推進すること、そして、読書の楽しさなどを伝えて親しみを持ってもらえることを目的に活動しています。
――このパッケージは、委員会で企画したのですか
話題になっている「本の処方箋」は、読書マラソン委員会で行っている「棚本」という活動の一つで、担当を中心にアイデアを出して、企画しました。
棚本とは、大学生協で運営している書籍や教科書などの売り場の一区画を借りて、1カ月ごとにテーマを決めて本のコーナーを作っていくという活動です。
――本の処方箋は、いつから始まった取り組みですか
始まったのは私が委員長に就任する前の2014年の11月です。
2013年に『本の枕』という、タイトルを隠した売り方がウケたので、もう1つくらいタイトルを隠した棚本もチャレンジしてみても良いのでは?ということから生まれたそうです。
アイデアを探す中で、オリオン書房様が行っていた「処方箋」という企画を知って面白いと思い、参考にさせていただいたところから始まりました。
――薬袋風にした狙いは
テーマが本の処方箋ということで、関連して薬袋のデザインにしました。こだわりは効能の部分です。これは本が好きな委員ならではの、本を読むことで得られる効能が書かれていて、とても面白いと思います。自分で言うのもなんですが……。
――初めから現在のようなパッケージだったのでしょうか
毎年マイナーチェンジしています。また、同じ薬袋であっても、効能を書いている年や、症状を書いている年などがあります。今年は効能と本の一文を引用したものが書かれています。
――ひとつひとつ手書きなのでしょうか
同じ本は複数ありますが、紹介文は一つ一つ手書きで書いています。
――どなたが書いているんですか
紹介文は、私たち読書マラソン委員会が書いています。本の中で引用したい一文を選んで紹介し、効能は委員が自分で考えたものを書いています。
――パッケージごと購入するのでしょうか
パッケージの裏に商品のバーコードを貼っているので、このパッケージごと購入できます。また、値段も合わせて書いてあるので、本を買う前に値段の確認もできます。
――いつも販売しているのでしょうか
この本のコーナーは、1カ月ごとにテーマを決めて本の入れ替えをしています。今回の「本の処方箋」もその一環です。4月のテーマとしてコーナーを設けましたが、6月5日まで縮小版を置いています。
――話題になったことについては
まず、予想外の出来事にびっくりしています。「本の処方箋」は売り上げがよく、人気の企画なので続けてきましたが、このように話題になるのは初めてのため、どうしていいか分からない状況です。
しかし、私たちの活動を知ってもらえるのは嬉しいです。そして、学生のみなさんにより一層興味を持っていただけるような活動をしていきたいという気持ちになりました。
本の処方箋以外にも、様々なテーマで本のコーナーを設けているので見てもらいたいですし、読書マラソンにも興味を持っていただけると幸いです。
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