話題
亡き母の思いが詰まった結婚ドレス、45年経て日傘に 娘の思いとは?
45年前の結婚式で着たウェディングドレス。大切にタンスの中にしまい続けてきた品を、日傘にリメイクしてもらった女性がいます。
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45年前の結婚式で着たウェディングドレス。大切にタンスの中にしまい続けてきた品を、日傘にリメイクしてもらった女性がいます。
45年前の結婚式で自らが着たウェディングドレス。大切にしまい続けてきた品を、日傘にリメイクしてもらった女性がいます。デザインから生地まで母が選んでくれて、母の友達が縫製してくれた思い出のドレス。なぜ日傘に作りかえたのか? 手がけた職人の思いは? 詳しく話を聞きました。
先月下旬、ツイッターに投稿されたまっ白な日傘の画像。そこにはこんなコメントが添えられています。
この投稿に対して、「これぞ職人魂」「依頼者の喜ぶ顔が目に浮かぶよう」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万7千、いいねは4万7千を超えています。
45年前に着られたウェンディングドレスの傘を作らせていただきました。正直生地幅も厳しかったのですがお客様のどうしても…!と声に心を動かされ承りました。レースをたっぷり使い素敵な傘に✨喜んでいただけて光栄です☺︎♪ pic.twitter.com/TbSt9nmnLa
— (株)かさはな (@kasaha_na) 2018年4月27日
日傘の画像を投稿したのは、大阪市の傘専門店「かさはな」の時田さゆりさん(55)です。
オリジナル傘だけでなく、着物をリメイクした傘やアーティストとコラボした傘なども手がけています。
かさはなを立ち上げた理由について、こう説明します。
「昭和の中頃まで、高級な傘は手作りが中心で、古くなっても修理して長年愛用するという文化がありました。最近では海外製の安い傘の台頭もあって、使い捨ての意識が広まり、傘職人の数も少なくなりました。こういう時代だからこそ、安心して長く使ってもらえる本当に良い傘を作りたいと思ったんです」
昨年11月、関西にある百貨店の催事に出店していた時田さん。京都府内に住んでいるという女性(68)が、ウェディングドレスを手にブースを訪ねてきました。
「着物を傘に仕立て直せると聞いて来ました。このドレスを日傘にしていただけないでしょうか」
数年前から、百貨店や呉服店などを何店も回ってきたという女性。行く先々で断られたそうです。
半世紀近く前のドレスは、現在のようなフワッとしたシルエットではなく、長いワンピース風だったため、傘の生地を確保できないと判断されたのです。
ドレスを見た時田さんも、こう言いました。
「やっぱり生地幅がとれないと傘は厳しいです。バッグなどにリメイクすることは可能ですよ」
しかし女性は「どうしても傘にしてほしい」とこだわりました。
いったん断った時田さんですが、後日改めて「ドレスを預からせてください。できるかどうか考えます」と引き受けました。
女性が持ってきたドレスは、今は亡き母が選んであつらえてくれたもので、女性の妹も結婚式で着たものです。
デザインから生地まで母がこだわって、友人に縫製を依頼して作ってもらったといいます。
なぜ傘にリメイクすることにこだわったのか? 女性はこう話します。
「何十年もタンスの中にしまっていました。広げる機会もほとんどなかったので、持ち歩けるものにしたかったんです。傘であれば、広げた時に母が見守ってくれている気持ちになるんじゃないかと思って」
依頼を引き受けた時田さんがまず取り組んだのは、ドレスの縫い糸をほどくこと。着物は手縫いのことが多いため、比較的ほどきやすいそうですが、このドレスはミシンでしっかりと縫い付けてありました。
「ほどくのは専門家にお願いしていますが、今回はリメイクできるかどうか確証がなかったので自分で作業しました。ここが一番大変でした」
ドレスを8枚の生地に切り分けて、それをつなぎ合わせて傘にすることに。懸念していた生地の不足分については、先端部分にレースを付け足すことでクリアしました。
生地に撥水加工を施し、持ち手部分には名前も刻印。
依頼から約5カ月後、日傘として女性に引き渡されました。
受け取った女性の第一声は「わぁ、なんてキレイなの」。
もったいなくて使えない、とも思いましたが、どんどん使った方が母も喜んでくれると考え、4月28日に初めて使いました。
「夫にめでたいことがあって、そのお祝いの日でした。母も一緒に見守ってくれているみたいで、縁起のいい傘だなぁとうれしくなりました」
お祝いを企画したのは女性の娘夫婦。母にとっての初孫で、とてもかわいがっていただけに、不思議なつながりを感じたそうです。
また、その日は、リメイクを手がけた時田さんが「昨日ツイッターに傘のことを投稿したら、とっても話題になってるんですよ」と電話をかけてきた日でもありました。
今回の出来事について、時田さんはこう振り返ります。
「引き受けるかどうか悩みましたが、こういう機会をいただけたことに感謝しています。世界にひとつだけの、物語のある傘をこれからも作り続けていきたいです」
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