地元
海女王国の三重、なり手が70年で1割に 収入源のアワビ不足が直結
2013年のNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で注目された海女。その数が日本一多い三重県で、なり手が減り続けています。鳥羽市立海の博物館が今月発表した昨年の海女の数は660人。記録がある1949年と比べると1割にまで落ち込みました。近年の減少の背景には収入源となるアワビやサザエ、ウニなどの漁獲量が減っていることがあるとみられています。(朝日新聞伊勢支局長・安田琢典)
同館は2017年11~12月、海女がいる鳥羽、志摩両市の漁協支所などを通じ、1年間に出漁した海女の数と操業日数を調査。この結果、14年の前回調査時と比べ、鳥羽市は505人から430人に、志摩市は256人から230人にそれぞれ減っていることが分かりました。
減り方が顕著だったのは、もともと海女の数が多い鳥羽市の答志や石鏡、神島など。一方、鳥羽市より操業日数が多い志摩市では、片田や布施田など数が増えた地域もありました。平均年齢は65.7歳で、最高齢は両市とも85歳。志摩市の最年少は20歳、鳥羽市は30歳でした。
海の博物館のホームページによると、1949年の海女は6109人。平成に入ってからの約30年間を見ても、1937人(1989年)から3分の1にまで減っています。
鳥羽・志摩の海女漁は素潜りで、アワビや海藻などを取る伝統漁労。歴史は古く、万葉集の歌で詠まれ、平安時代の律令施行細則「延喜式」には志摩国の「潜女」が登場するほど。朝廷や伊勢神宮に漁獲物を献上してきたとされます。
鳥羽市石鏡など一部の地域では移住者が海女になるケースも見られますが、漁業権の関係や居住環境の問題などから、全体的には受け入れ態勢ができていないということです。
今回の調査をした担当者は「単価が高いアワビは、ピークの1960年代半ばと比べて漁獲量が10分の1になっている。漁業を取り巻く環境が改善されなければ海女は今後も減り続ける」と指摘しています。
1/7枚