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読めなきゃ検索できないじゃん！ 難読を逆手に10万円のミカンを宣伝
「瓤嚢」って読めますか？
【ネットの話題、ファクトチェック】
「12個入り約10万円の超高級みかん、あなたに贈呈します！」。駅に大きく貼り出された広告の文言です。いざ応募しようと読み進めると「続きはWEBで！ 『瓤嚢』と検索」とあります。つまり、この難読な2文字が読めなければ応募ページにたどり着けない仕組みなんです。さっそくネット上で話題になっており、企画者は「狙い通り」と話します。実現までの経緯についてついて聞きました。
60万玉に1玉の確率
先日、駅に貼り出されたこの広告を写した画像がツイッター投稿されました。
すると、「これなんて読むんですか」「検索できるもんならしてみろや商法」「これは上手い戦略」といったコメントが寄せられ、リツイートが1万を超えている投稿もあります。
この広告を出したのは愛媛県の「JAにしうわ」です。名産品のみかんの中でも最高級品「にしうわみかん」をPRするために今月6日からスタートしたそうです。
12個入り10万円のみかんとはどんなものなのか？ キャンペーン事務局によると、みかんの中でも希少性の高い非常に状態のよいものをピックアップしているそうです。
まずはセンサーで、みかんの黄金比と言われる「糖度13度、酸1度」の果実を選別。さらにその中から、選別のプロが手作業でチェックし、1玉ずつ和紙で包んで桐箱に収めます。
無傷で食味も色も最高なものを選別した結果、約0.00016%(60万玉に1玉)の確率でしか収穫できないものが選ばれているそうです。
プロモーション担当者に聞きました
それでは瓤嚢とは何なのか？ 答えは、みかんの果肉を包む薄皮の部分で、外の皮を剥いたら出てくる半月形の小袋のこと。食物繊維などの栄養素も豊富で、この部分が薄いほど食感がよいそうです。
にしうわみかんの特徴は、この瓤嚢が他のみかんと比べて薄いことです。その特徴を印象づけて多くの人に知ってもらうべく、漢字の読み方を当てるキャンペーンを実施したといいます。
企画の狙いや、注意した点などをプロモーション担当者に聞きました。
――実施しようと思った背景は
みかんを購入する際、多くの人はそこまでこだわりの産地がないのでは？といった気付きから、指定買いしてもらうための施策をしたいと考えました。
指定買いしてもらうためには、もちろん認知度も重要ですが、単にネットでバズるだけでなく、何か買いたくなる印象をつける必要があると思い、にしうわみかんの瓤嚢の薄さを伝えることにしました。
また、一般の方はみかんを食べる際に「瓤嚢の薄さ」について気にした人はほぼほぼいないと思い、そこの印象を最初に付けられれば、そのカテゴリでにしうわみかんがトップに立てると感じました。
そこで着目したのが、瓤嚢の漢字の難しさと、WEBでの「豚汁ってブタ汁？トン汁？」といった拡散しやすい文脈でした。その結果、漢字が読めれば応募できるキャンペーンが出来上がりました。
あくまで結果論ですが…
――実施するにあたって注意した点は
拡散の導線として渋谷駅の広告が上手くシェアされるように、「続きはWEBで検索」というキャッチコピーを1枚の写真で撮ってSNSにあげやすいようレイアウトに気をつかいました。
また、最も注意したのは、炎上しないかどうかです。「漢字が読めたら応募できます！」といった丁寧な表現にするか悩んだのですが、「いや、検索できないよ！」といったツッコミをつぶやいてもらうために、あえて「続きはWEBで」といったぼかした内容にしました。
――リスクのあるキャンペーンだったのでは
ツッコミに関してはリスクがありますが、WEBで話題になるためにはある程度のツッコミは不可欠です。それを引き出すためのボケが誰かを傷つけているわけではないので、ネットリテラシーの高い方々なら気づいてくれて、「読めた！」「読めない！」と言う風に楽しんでくれると考えました。あくまで結果論ですが……。
――話題になったことについては
皆さんが応募してくれて、楽しんでくれていることも嬉しいですが、このキャンペーンを通して「JAにしうわを初めて知った」「今年はにしうわみかんを買おう」といったブランディングや指名買いに機能したことが嬉しいです。
にしうわみかんは今回の賞品じゃなくても、瓤嚢が薄くておいしいみかんばかりですので、今回初めて知ってくださったみなさまにご賞味いただきたいです。
読めなきゃ検索できないじゃん！ 難読逆手に10万円ミカンを宣伝
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