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道端アンジェリカ、スッピン投稿への思い 同じ病で悩む人へエール
「乾癬」を知っていますか? 「かんせん」と読む皮膚の病気です。その名前から「感染する」という誤解を受けたり、皮がぽろぽろむけてしまう症状に悩んだりしている人は少なくありません。モデルの道端アンジェリカさんは、今年5月、自身が乾癬患者であることをインスタグラムで打ち明けました。「ファンデーションで隠す偽りの美しさじゃなくて、自信を持って内側から輝くことが大事だと感じるようになりました」と振り返ります。10月29日は世界乾癬デー。多くの人に、この病気を正しく知ってもらいたいと活動しています。
乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、乾いた皮膚がむけ、かゆみや痛みなどのある病気です。はがれた細かく白い表皮を「汚い」と勘違いされてしまうこともあります。
東京慈恵会医科大皮膚科の中川秀己教授によると、日本でも、患者は40万人ほどと推計されています。
25日に開かれた啓発イベントに参加した中川さんは「もともと『乾癬』の意味は、乾いて粉がふくということ。人にうつることは絶対にありません。一般の方にも理解してほしい」と話します。
発症には、乾癬になりやすい体質と、気候・不規則な生活・精神的ストレス・肥満や喫煙といった因子が関係しているといわれています。
治療は、症状をおさえる塗り薬や注射、飲み薬などがあります。また、症状が悪化してしまう原因を見つけて、それをできるだけ無くすよう生活習慣を変えることも大切だそうです。道端さんは「ネットを検索していても分からなかった。専門の病院を受診することが大事」と訴えます。
道端さんは、6年ほど前から、こすれやすいひじやひざの裏に、皮膚が赤く盛り上がった発疹ができました。
ファンデーションを塗って隠して仕事をしていましたが、昨年9月に骨折して入院した時、好きだった運動ができないストレスなどから、発疹が全身に広がりました。
「悪化して、これはまずいと思って。自分の好きな海外のタレントが『乾癬』を公表していて、自分の症状にそっくりだったんです。それで初めて病名が分かって、大学病院に行きました」
治療を始めましたが、ネット上では「スーパーフードを食べているのに肌が汚い」と書かれました。
「とにかく悔しくてしょうがなくて、インスタグラムにアップしちゃいました。次の日になって、これ、モデルの仕事来なくなるかな、って慌てたんですけど」
乾癬で悩んでいる頃は、電気を消してお風呂に入ったり、肌のきれいな人を見てはうらやましいと思ったり。仕事では、白い服や長袖を選んで、ヘアメイクさんが髪の毛をさわらないようにしていたそうです。
友達に「フケが出てるよ」と言われても、「ブリーチしたから」とうそをついて、病気をひたすら隠していました。
今では、治療がうまくいき、食生活に気をつけたり適度な運動を心がけたりして、症状が落ち着いているそうです。
「うそをつく生活から解放されて、気持ちが楽になりました。肌が荒れても、『今調子が悪いんだよね』とハッキリ言えるようになりました」
中川さんも「治療しながら、うまくコントロールしていく病気」と話します。
各地の患者会をとりまとめる日本乾癬患者会連合会の柴崎弘之さん(42)は、25歳の頃に乾癬と診断され、仕事上やプライベートでも悩んだそうです。
温泉に行ったら「うつらないのか」と施設の人に言われたり、仕事では「この机だけを使ってね」と言われたり。
柴崎さんは「悩んでいる患者さんはたくさんいます。患者会は暗いイメージがあるかもしれませんが、気軽に来てもらって、悩みや経験を共有してもらえたら」と話します。
10月29日には東京タワーで、正しい情報と治療方法を啓発し、患者同士がつながるためのイベントを開きます。
道端さんは「ひとりで悩まないでほしい。相談するだけで気持ちが楽になるし、力になってくれます。ポジティブに治療に専念してもらえれば」と呼びかけています。
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乾癬 - 皮膚科Q&A どんな病気?治療法は?専門家が皆さんの疑問にお答えします。