お金と仕事
ローソンのレジに出る「支付宝」あれ何? 物乞いする人もQRの未来
ローソンで買い物をすると、レジのディスプレーに「支付宝」という文字が表示されているのを見たことがありませんか? これは、中国のスマホ決済サービス「アリペイ」のこと。ローソンでは今年1月から全国の店舗で使えるようになっています。「中国人旅行者だけに関係ある話でしょ」と思われるかもしれませんが、日本人にとっても身近なサービスになるかもしれません。運営会社の日本法人「アントフィナンシャルジャパン」の岡玄樹社長(38)に話を聞きました。
2004年に始まったというアリペイは中国では5億2千万人以上のアクティブユーザーを持ち、世界26カ国で利用可能です。
日本では15年10月にサービスを始め、成田、関西両空港内の土産物屋や無印良品をはじめ、導入店舗数は2万5千店にまで広がっています。
日本人でも、中国に仕事で赴任している人たちの中には、アプリを入れ、中国の銀行とひもづけて本人認証して、使っている人もいます。ただし、まだ日本の銀行との連携は進んでいないので、中国の銀行に口座がないと使えません。
上記のような人たち以外のアリペイの日本での展開について、岡社長は「提携相手が見つかれば数カ月単位で開発できる。個人的には、ここ1年以内で(リリースを)発表したいなと思っています」と話します。
背景には、中国で急速に進むキャッシュレスの流れがあります。
中国ではアリペイと、日本でいうLINEのような無料コミュニケーションアプリ「WeChat」の決済サービスが浸透していて、物乞いをする人までQRコードを示してお金を受け取る世の中になっていると言われています。
キャッシュレスがこのまま進んでいけば、「日本人が日本円を中国元に替えて現金を持って行っても、使える店がなくなってしまうんじゃないか」と心配する人もいます。
その時、日本人でもアリペイのようなサービスが必要になる。岡社長はそうにらんでいます。
一方、岡社長は、日本で「アリペイ」の名前でサービスをリリースしても、一気に普及するのは難しいと考えています。
韓国では「Kakao Pay」、インドでは「Paytm」という現地企業と連携して、サービスの浸透をはかっています。
同じように、日本でも日本企業と連携した形で実施する予定です。
「日本人の方々が、あくまでも使っているサービスは日本のサービスなんだ、というふうに思っていただくことがすごく重要。『顔』になるのは日本企業になると正直、考えている。どこと運命をともにすれば日本で勝つ可能性があるのか、検討している」と話します。
アリペイが人気の理由は「使ってお得、持っているだけでお得」なサービスだから。
例えば、レストランで使ったら抽選で「今回の決済代金は無料になりますよ」というようなキャッシュバックが提供されることがあります。
また、アリペイ関連の口座に入れているお金が投資に回って何もしなくても「配当」として残金がプラスになることも。
アリペイの関連サービスには、個人の信用度を点数化しているものもあります。
滞納せずに支払いをしている人は点数が高くなり、ホテルに泊まる際に優待サービスを受けられる、というような形です。
そんなアリペイですが、ライバルはいるのでしょうか。
「LINE Pay」という決済サービスを持つLINEの出沢剛CEOは「日本では今、どこかの決済サービスが飛び抜けて、という状況ではないと分析しているので、我々が今年、来年でイニシアチブを取りたい」と意欲を語っています。
岡社長は「競合といった意味では、従来の決済手段、クレジットカードや現金なども全部敵になるし、むしろそちらの方が大きな存在」と話した上で、自らの強みをこう語ります。
「決済に使えて、貯蓄のメリットもあり、(レストラン予約やタクシー配車、公共料金支払いなどの)ライフスタイルでの使い道もある。このような総合力、好循環のモデルは、世界を見ても類がない。『これが利便性が高い』ということが腹に落ちれば一気に動くのが日本人の良さだと考えている」
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