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高校野球のブラバン、大阪では30年禁止 一体なぜ?高野連に聞いた
高校野球といえば、吹奏楽部による応援も名物の一つです。ところが、全国一の野球どころと言える大阪大会では吹奏楽による応援ができないって知ってました?(朝日新聞大阪社会部 半田尚子記者)
例年、大阪大会の決勝が行われるのは、大阪シティ信用金庫スタジアム(舞洲ベースボールスタジアム)。過去数年分の決勝の動画を見てみると、観客席では生徒や保護者が声をからすばかりで、確かに吹奏楽部の姿はありませんでした。
7月8日に開幕する第99回全国高校野球選手権大阪大会に向けて、選手のみなさんに高校野球にまつわる質問を募集したところ、「なぜ、大阪大会では吹奏楽部の人が演奏できないのですか?」という質問が届きました。選手の間でも、不思議だったようです。
大阪府高校野球連盟の伊原登理事長に尋ねてみました。「大阪大会では30年以上、太鼓やトランペットなどの楽器を使った応援を禁止しています」と伊原理事長。理由は、「会場ごとに周囲の環境が違う」からだそうです。
大阪大会の会場となる8球場のうち、豊中ローズ球場、大阪市南港中央野球場、花園中央公園野球場の3球場は周囲に住宅街があり、楽器を使った応援は騒音の原因になります。住民の方にご迷惑をかけると、球場自体が使えなくなる可能性もあります。
大阪シティ信用金庫スタジアムなど周囲への影響がなさそうな球場もありますが、全選手に同じ条件で試合をしてもらわなければ不公平になるという理由から、全球場で禁じているそうです。
大会規定では、「多数が音のでるものを打ちたたいての応援やメガホンまがいのものを用いて一斉に大声を出しての応援を禁止する」と明記されています。
今年の春の選抜大会では、決勝で大阪桐蔭と履正社の大阪対決が実現しました。優勝した大阪桐蔭は、吹奏楽部も全国レベルの有名校。でも、野球場で披露するためには、甲子園まで進まないといけないのです。
楽器の音は聞こえませんが、その分、打球音やグラウンドの選手の声が聞こえるのが大阪大会ならではの魅力。大会規定では、応援リーダーのみメガホン1個の使用が認められています。伊原理事長は「声援と手拍子で、選手たちを精いっぱい応援してあげて下さい」と話していました。
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