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自信のないあなたへ… 大人にも響いた小学生新聞の名言、作者に聞く
小学生向けの新聞に掲載されたコラムが、ネット上で注目を集めています。タイトルは「自信のないあなたへ」。
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小学生向けの新聞に掲載されたコラムが、ネット上で注目を集めています。タイトルは「自信のないあなたへ」。
【ネットの話題、ファクトチェック】
小学生向けの新聞に掲載されたコラムが、ネット上で注目を集めています。タイトルは「自信のないあなたへ」。自分の立ち位置を気にし始めた子どもたちへのメッセージです。「大人の心にも沁(し)みる」と話題のこの文章について、著者に話を聞きました。
5月30日、朝日小学生新聞に掲載された「自信のないあなたへ」。書き出しは「あなたに手紙を書きます。自信のないあなたに手紙を書きます」と始まります。
「『自信』は、過去に『これができた』という経験の積み重ねで生まれるものなのです」
「『できない』ことを考えてはいけません」
「初めから自信たっぷりの人なんていません」
そんな言葉が並び、最後は「小さくて、かんたんなことから始めようね」と結ばれています。
6月1日、このコラムを撮影した画像がツイッターに投稿されると、「ほんとにそうだと思う」「子どもの頃に読みたかった」「大人になった私でもそうだ」といったコメントが寄せられ、リツイートは3万6千、いいねは6万を超えています。
書いたのは、ひきたよしあきさん(57)。広告会社「博報堂」のクリエイティブプロデューサーで、スピーチライターでもあります。
今回の文章は、毎週火曜日に掲載されている連載「大勢の中のあなたへ 2」の一話です。新聞という大勢に向けて発信する場で、文通のように読者ひとりひとりと双方向のやりとりを目指そうと始まったそうです。
「子どもは未完成な大人ではありません。一人の人間です。子ども向けという意識はなく、経済書や哲学書、文学などを読んで思いついたことを書いています」と、ひきたさんは言います。
今回の文章を書くにあたって、まず考えたのは「5月に掲載する」ということでした。
「ゴールデンウィークも明けて、新しいクラスになじみ始め、自分の立ち位置を意識する時期。先のことへの不安がいっぱいで、それまでのいい思い出を忘れてしまい、自信をなくしている子がいるんじゃないか、と思ったんです」
「自信とは何か」ということについて考え、出た結論が「できたことの積み重ね」でした。
「いまの子どもたちは、褒められて育っていないと思うんです。『いい子だね』という褒め言葉は、親の視点からの評価褒めでしかありません。具体的にひとつひとつ、良い点を自分で褒めることで自信につなげてほしい、という思いを込めました」
ツイッターの反応の中には、「自信がないから、小さな成功も成功と思えない」といったコメントも寄せられていましたが、ひきたさんはこう答えます。
「自分で『レッテル貼り』をしていませんか。そして、それが癖になっていませんか。『今日は朝起きられてよかった』でもいいんです。加算方式だと思って続けてみてはどうでしょうか」
「他人と関わった時点で自信を失ってしまう」という意見に対しては、こう言います。
「人のことを気にしないのが大事です。私は小さいころ父に言われてハッとした言葉があります。『昨日までの自分と比べて、どれだけ伸びたかを気にしなさい』です。人との競争ではありません。私はそう思いながら、毎日5~6本の文章をFacebookに投稿しています」
◇ ◇ ◇
ひきたさんの連載は、書籍「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社、税抜き1300円)として発売されています。6月末には第2弾「机の前に貼る一行」も発売しました。
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