IT・科学
「リアルすぎる駅」と話題のCG…作者は18歳 独学で描いた「光」
駅のホームに立つ少女。そこに滑り込んでくる一本の列車。何でもない風景を切り取ったはずのCGが、「リアルすぎる」「イラストに見えない」と話題を呼んでいます。作者は高校を卒業したばかりの18歳。徹底的にこだわったのは「光」の描き方でした。
長さ27秒の動画作品が、ツイッターに投稿されたのは5月28日。作者のajisaさんは取材に「自分のスマホの動く壁紙にしようと、作り始めたものです」と言います。
タイトルは「下校・昼」。
駅のホームで、制服姿の少女がスマホを手に、電車を待っています。写実的ではありますが、手描きの味わいも残る画風です。
線路の向こうから列車がやってきて、驚くのはそのあとでした。
青空からの太陽光、窓ガラスの反射・・・走り込んでくる列車に、さまざまな光が写り込み、きらめいています。その描写がリアルで、手書きの味もあるのに実写映像を見ているような気持ちになります。
列車が起こした風で、少女の髪が少し揺れて、動画は終わります。
「下校・昼」
— ajisa@お仕事募集中 (@AjisaAsai) 2017年5月28日
絵です
流石に疲れた pic.twitter.com/4AeLBCSTNT
投稿には1万7000を超える「いいね」がついています。作者のajisaさんは「目標が『100いいね』だったので、今だに信じられません」と言います。
中学生のときから映像制作にのめりこみ、独学で技術を習得。今春に高校を卒業し、芸大を目指して浪人中です。ただ同時に「今年、1度でもいいからお仕事をもらいたい」という目標も掲げ、ツイッターなどで作品を発表し続けています。
「下校・昼」の制作には2週間、約140時間をかけました。立体的な動きですが3DCGは使わず、手作業で描き込んでいきました。「いろいろな光が混合しているホームを描くのは、難しいけど楽しい。映像に物語性が出るところも好きです」。
特に力を注いだのが、走り込んでくる列車の描写でした。実は7つものアニメーションを重ね合わせて作っています。
ガラス窓やドア、凹凸のあるステンレスの車体。「すべて光の反射、吸収率、質感が違う。リアルに表現するには、別々にアニメーションを作る必要がありました」
こうした工夫は勉強してきた知識や技術を組み合わせ、自分なりに考えたといいます。憧れているのは、自主制作アニメで評価を受け、近年は「君の名は。」をヒットさせた新海誠監督です。監督の背景へのこだわりに、多くのことを学んでいるといいます。
ajisaさんの夢も、短編アニメーションを一人で作ること。「ストーリー、アニメーション、音楽、声の全てを自分の手で、力で描きたい。そのためには、もっと技術を学ばないと」
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