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コンビニの中国人店員が見た「日本」 レジの内側で考えてること…
今では珍しくなくなった外国人のコンビニ店員。都会のコンビニでは中国人の店員を当たり前のように見かけます。お隣の国ですが、外国でもある日本。日々、たくさんのお客と接する中国人の店員さんたちは、どんなことを考えながら仕事をしているのでしょう? レジの内側から見た日本について聞きました。
話を聞いたのは、現在、コンビ二で働いていたり、過去に働いた経験があったりする20代の中国人の女性4人。張さん(広東省梅州市出身、27歳)、楊さん(湖北省武漢市出身、22歳)、王さん(北京市出身、26歳)、李さん(湖南省長沙市出身、23歳)です。全員、日本語学校のビザで来日しました。
生活費と日本語の練習のため、コンビニで働いているそうです。
一人っ子政策世代の4人は、中国で大事に育てられ、アルバイトをすることはなかったと言います。
ただ、日本は物価が高いため、仕送りだけでは足りず、人生初となるアルバイトをすることに。時給900円以上の収入は「悪くない金額」だそうです。
4人が驚いたのは、その名の通り、コンビニが便利すぎることです。
一番の違いは営業時間と商品の数です。
「中国では上海が一番、コンビニが普及しています。ほかの地域では、ほとんど『小売部』という売店が、コンビニの役割を果たしています。個人経営なので営業時間は短く、最新の商品はそれほど多くありません。コンビ二も、すべて24時間経営ではありません。商品も高いイメージで、スーパーのほうが圧倒的に人気です」(王さん)
「日本のコンビニは日常生活に必要なものがそろっています。Tシャツや化粧品も売っているなんて、最初はびっくりしました」(李さん)
「コンビニなのにプレミアム商品があって、プチぜいたくができるとは思いませんでした。留学生なんですけど、時々、買っています」(張さん)
楊さんが驚いたのは、お年寄りのお客です。
「私のバイト先は高齢者が多い地域にあって、ガスや水道、電気など公共料金の支払いをするお年寄りが少なくありません」
中国では、お年寄りが買い物をするのは市場などが多く、コンビ二に行くことはめったにありません。なので、最新の商品が並ぶコンビニにおじいちゃん、おばあちゃんの姿があるのは、不思議な光景に見えるはずです。
楊さんは、お客のお年寄りと話をすることもあるそうです。
「チケットを購入するためのマルチコピー機の操作や、公共料金の振り込みなど、わからないことがあれば、店員が教えてあげます。高齢者のライフラインというか、コンビニは高齢者が社会とつながる重要なパイプだと実感しました」
一方、王さんは、コンビニには「もったいない」ところが多いと指摘します。
「私が働いているお店は、賞味期限切れの食品を必ず廃棄する決まりがありました。賞味期限の2時間前に商品棚から片付けて、ポリ袋に入れ口を閉じてしまいます」
王さんは、まだ食べられそうな食品を大量に捨てることに、今も抵抗があるそうです。
「専門のゴミ廃棄場で処理すると聞きました。もし、店員の誰かが、廃棄物の食品を取り出したら、最悪、クビになります。でも、まだ食べられるかもしれない食品は、結局、ゴミ捨て場のネズミたちに食べられちゃうと思うと……本当にもったいないです」
張さんは、光熱費をあげます。
「夜でも昼間のように明るくて、さらにお昼でも店内の明かりはつけたままです」
ただ、照明については理解を示す声もありました。
「コンビニのお弁当売り場は、明るい照明があったほうがおいしく見えます。なので、仕方ないかも」(楊さん)
「夜の明かりは防犯の面で必要です。最近は、太陽光発電のお店も増えているようですし」(李さん)
4人は現在、日本語学校を出て、大学院やその予備コースで学んでいます。
優しい店長に巡り合えたという楊さんですが、「大学院を出たら中国に戻りたい」と言います。
「中国の友達や家族が懐かしくて。あと、中国の料理が恋しいです」
王さんと李さんは日本に残りたいそうです。
「これからきちんと日本語を上達させて、大学院を卒業したら、日本で就職したいです。理由は日本が清潔で、環境がいいからです」(李さん)
張さんは、今後、金融の仕事に携わるため、英語圏の国に留学することも考えているそうです。
4人とも「日本人とうまくコミュニケーションを取るためのハードルはまだ高い」と話します。
もしかしたら一番、身近な外国人かもしれないコンビニの店員。「留学経験のある日本人とは話が通じやすかった」という点でも、4人は一致していました。
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