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裁判員裁判、死刑判決はいくつ? 有罪9744人、無罪は66人

実際の裁判官、弁護士、検察官と、「裁判員役」がそろって開かれた模擬裁判=2009年5月21日、高松市の高松地裁
実際の裁判官、弁護士、検察官と、「裁判員役」がそろって開かれた模擬裁判=2009年5月21日、高松市の高松地裁 出典: 朝日新聞

目次

 5月21日は裁判員裁判がはじまった日です。2009年のことでした。裁判に市民感覚を反映し、司法への信頼を高めるのが狙いでした。2017年3月までに有罪9744人、無罪66人の判決が出されました。20歳以上なら選ばれる可能性がある裁判員。これまでどんな大事件が審理されたのか? 死刑判決は? 歴史を振り返ります。

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初の判決は2009年8月

 裁判員裁判で初の裁判が終了したのが2009年8月6日のことでした。

 東京都足立区で自宅の斜め向かいに住む女性(当時66)をナイフで刺殺したとして殺人罪に問われた裁判でした。

 裁判員6人と裁判官3人が一緒に話し合い、懲役15年の判決が言い渡されました。

 補充裁判員1人を加えた7人は30~60歳代で、4人が女性。会社員や栄養士など職業は様々。

 判決後の会見で、裁判員になった女性は「いろんな立場で考えることができ、いい経験になった」。別の女性は「最後までこれでよかったのか分からない」と話していました。

全国初の裁判員裁判を終え、会見する裁判員ら=2009年8月6日、東京地裁、代表撮影
全国初の裁判員裁判を終え、会見する裁判員ら=2009年8月6日、東京地裁、代表撮影 出典: 朝日新聞
東京地裁で3日から開かれている全国初の裁判員裁判で、担当の裁判員と裁判官は4日目となる6日午前、前日に引き続き、非公開で判決の内容を話し合う「評議」を行った。市民から選ばれた6人の裁判員が裁判官とともに導く初めての判決は、同日午後に言い渡される予定だ。東京都足立区で自宅の斜め向かいに住む女性(当時66)をナイフで刺殺したとして殺人罪に問われている。
2009年8月6日:裁判員、午後に東京地裁で初判決 東京・足立区の隣人殺人事件:朝日新聞紙面から
東京地裁(秋葉康弘裁判長)で3日から始まった全国第1号の裁判員裁判は、最終日の6日、殺人罪に問われた被告に対し、裁判員6人と裁判官3人が一緒に話し合って決めた懲役15年の判決が言い渡された。市民の常識や感覚を刑事司法に反映させることを目的に導入された裁判員制度。初めての判決で裁判員らが選択したのは、検察側が求刑した懲役16年を1年下回る刑だった。
2009年8月7日:判決、懲役15年 初の裁判員裁判が終了 量刑「これでよかったのか」:朝日新聞紙面から

「捜査が粗い」一部無罪

 2010年6月9日には、裁判員裁判で初めて一部、無罪の判決が下されました。

 別の少年とともに東京都内でひったくりを繰り返したなどとして、四つの事件で強盗致傷や窃盗、詐欺の罪に問われた男(20)=事件当時19歳=について、東京地裁立川支部の福崎伸一郎裁判長は、詐欺について無罪、強盗致傷についてもより罪が軽い窃盗罪を適用し、懲役3年、保護観察つき執行猶予4年(求刑懲役7年)を言い渡しました。

 判決後、会見に応じた裁判員の女性会社員は「警察の捜査が粗く、検察の詰めも甘かった」。会社役員の女性は「確保できたはずの証拠が確保されていない。私たちは与えられたもので判断するしかない」と話していました。

報道陣に公開された東京地裁立川支部の第2裁判員候補者待合室。観葉植物や絵画がある=2009年4月2日、東京都立川市、関口聡撮影
報道陣に公開された東京地裁立川支部の第2裁判員候補者待合室。観葉植物や絵画がある=2009年4月2日、東京都立川市、関口聡撮影 出典: 朝日新聞
別の少年とともに東京都内でひったくりを繰り返したなどとして、四つの事件で強盗致傷や窃盗、詐欺の罪に問われた男(20)=事件当時19歳=の裁判員裁判の判決が9日、東京地裁立川支部であった。福崎伸一郎裁判長は、詐欺について「被告の犯行とするには合理的疑いが残る」として無罪、強盗致傷についてもより罪が軽い窃盗罪を適用し、懲役3年、保護観察つき執行猶予4年(求刑懲役7年)を言い渡した。裁判員裁判で一部とはいえ無罪の判断がされたのは初めて。
2010年6月10日:裁判員裁判で初の一部無罪 東京地裁立川支部:朝日新聞紙面から
判決後、会見に応じた裁判員の女性会社員(34)は「警察の捜査が粗く、検察の詰めも甘かった」。会社役員の女性(62)は「確保できたはずの証拠が確保されていない。私たちは与えられたもので判断するしかない」と話した。
2010年6月10日:裁判員裁判で初の一部無罪 東京地裁立川支部:朝日新聞紙面から

強制わいせつ致傷事件で厳罰

 2010年5月19日には、判決が求刑を初めて上回りました。

 強制わいせつ致傷罪に問われた被告の裁判員裁判で、さいたま地裁(伝田喜久裁判長)は、検察側が求刑した懲役7年を上回る同8年の判決を言い渡しました。

 判決によると、被告は、さいたま市内で、自転車の女性を引きずり倒してわいせつな行為をし、右ひじなどに全治約8日のけがをさせました。

 裁判員6人のうち女性は1人。裁判員を務めた40代の男性会社員は判決後「犯行の具体的な状況が判断に影響した部分もある」と話しました。

公開された裁判員候補者室=2009年8月10日、さいたま市のさいたま地裁、水野義則撮影
公開された裁判員候補者室=2009年8月10日、さいたま市のさいたま地裁、水野義則撮影 出典: 朝日新聞
強制わいせつ致傷罪に問われた被告の裁判員裁判で、さいたま地裁(伝田喜久裁判長)は19日、検察側が求刑した懲役7年を上回る同8年の判決を言い渡した。裁判員裁判で、判決が求刑を上回ったのは全国で初めて。これまでも性犯罪では「従来の裁判の量刑が軽すぎる」という意見が裁判員から出ており、厳罰化の傾向が裏付けられた。
2010年5月20日:強制わいせつ罪、求刑上回る判決 さいたま地裁:朝日新聞紙面から
判決によると、被告は昨年10月、さいたま市内で、自転車の女性を引きずり倒してわいせつな行為をし、右ひじなどに全治約8日のけがをさせた。被告が1997年以降、強制わいせつ罪と同未遂罪の4件で有罪判決を受けていたことを判決は指摘し、「再犯の可能性は非常に高い」と述べた。裁判員6人のうち女性は1人。裁判員を務めた40代の男性会社員は判決後「犯行の具体的な状況が判断に影響した部分もある」と話した。
2010年5月20日:強制わいせつ罪、求刑上回る判決 さいたま地裁:朝日新聞紙面から

相模原殺傷事件も

 最高裁によると、2017年3月までに、裁判員裁判で30の死刑判決が下されています。

 今後は、相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者など46人が殺傷された事件で、裁判員裁判が開かれる見込みです。裁判員裁判では刑事責任能力の有無が最大の争点になりそうです。

津久井やまゆり園の献花台を訪れ、祈りを捧げる人=2016年12月26日、相模原市緑区、葛谷晋吾撮影
津久井やまゆり園の献花台を訪れ、祈りを捧げる人=2016年12月26日、相模原市緑区、葛谷晋吾撮影 出典: 朝日新聞
発生から約7カ月。相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件で、元職員の容疑者が起訴された。逮捕後の神奈川県警の調べに、「暴力団から狙われている。殺される前に事件を決行しなければ」と供述。妄想ともとれる言動があり、裁判員裁判でも刑事責任能力の有無が最大の争点になりそうだ。
2017年2月24日:「暴力団に狙われる」思い込み実行か 相模原殺傷容疑者:朝日新聞紙面から

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