話題
「救急隊員の食事、ご理解を…」 病院内のおことわり文は必要か?
医療機関内に貼られた「救急隊員の食事に関する告知文」が話題になっています。
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医療機関内に貼られた「救急隊員の食事に関する告知文」が話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
「救急隊は連続する出動などのため、食事が摂れない場合があります。そこで……ご理解をいただいた病院の売店等で飲食物を購入し、飲食を摂ることにしました」――。千葉県船橋市内の医療機関に貼られた告知文がネット上で話題になり、「そんなことでクレーム入れる人がいるの?」「世知辛い」といったコメントが寄せられています。どのような経緯で告知を出すことになったのか? 船橋市消防局に話を聞きました。
26日、ツイッターにこの告知文を写した画像が投稿されました。そこにはこう書かれています。
この投稿に対して、「公官庁関連の人間が飯食べてると大体通報されるんですよね」「飯も食わずトイレにも行かず水分補給もせず働き続けろというのはおかしいだろ」といったコメントが寄せられ、リツイートは3万を超えています。
他県の消防団員が消防車でうどん店に立ち寄ってクレームを受けたことなどを挙げながら、「世知辛いね」「日本厳しすぎ」といった声も上がっています。
どういった経緯で告知文を貼り出すことになったのか? 船橋市消防局の救急課に話を聞きました。
――こちらは船橋市消防局で制作したものですか
「はい、そのとおりです」
――掲出場所を教えてください
「船橋市内の9医療機関です」
――きっかけについて教えてください
「救急出動は年々増加しており、連続する出動などで救急隊員は食事の時間帯が大幅に遅れ、適正な時間に食事ができないことが度々ありました」
「また2005年、東京消防庁でも救急隊員が適正な時間に食事が摂れないことから、コンビニエンスストアなどで弁当を買うことを同庁が容認し、広報したこともありました。他市の消防本部ではコンビニエンスストアで買い物している救急隊員に対して『仕事中に買い物をして良いのか』といった苦情が来たという情報もありました」
「一般的な食事時間に食事が摂れないことは、救急隊員のストレスや健康管理上の問題にもなりかねないことから、広く救急隊員の現状を理解していただいた上で、適正な時間に食事を摂る方策はないかと検討をしてきました」
「そこで、病院での食事を摂ることについて協力を依頼したところ、食事のための部屋の準備や、売店での買い物について、ご理解とご協力をいただいたので、このようなお知らせを掲出し、買い物をしている救急隊員へ理解を求めているものです」
「仮に病院内で食事をしていても、出動要請があれば、食事を中断して救急隊は出動するよう出動体制は維持していますので、引き続きご理解いただけるとありがたいと思っています」
――実際に市民からの苦情が寄せられたことはありますか?
「当市では、これまでに苦情や問い合わせなどはありません」
――消防士や救急隊員の方は、普段はどのようにして食事をとっているのでしょうか
「各自、自宅から弁当を持ってきたり、消防署に出入りしている業者から弁当を配達してもらったりということが多く、消防署の食堂で食事をしています。ただし、災害出動等で決まった時間に食事ができるとは限りません」
――制服のまま食事をとったり、購入したりということは法律や規則などで制限されているのでしょうか
「特に制限はありません。通常は活動服と呼ばれる災害出動用の服を着用しておりますが、制服公務員として市民の前で食事をする際は、市民の方に不快感を与えないよう心掛けています」
――隊員の立場を擁護するコメントが目立ちます
「皆様から救急隊員に対して温かい目で見て頂いていることに感謝しています」
――市民や読者に向けてメッセージを
「今後も市民のニーズに応え、誰からも信頼される救急隊でありたいと考えています」
こうした告知文を掲出しているのは、船橋市消防局だけではありません。
千葉市消防局も「救急隊の休憩にご理解を」と題した文章をホームページで公開し、協力を得られた医療機関に掲出しています。
救急課の担当者は「活動に支障が出るのを防ぐための施策です。市民の皆様のご理解とご協力をお願いします」と話しています。
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