連載
#4 あなたの知らないトイレ
男性トイレに革命! 『手洗い器つき小便器』が話題に 普及へ課題も
男性トイレに革命が起きた」と、ツイッターで話題になっている小便器があります。
【ネットの話題、ファクトチェック】
「男性トイレに革命が起きた」と、ツイッターで話題になっている小便器があります。男性用小便器の上部に手洗い器がついた製品で、手を洗った水が便器に流れることで節水効果があります。調べてみると普及に向けた課題もいくつかわかってきました。共同開発したTOTOと西日本高速道路(NEXCO西日本)に話を聞きました。
今月6日にツイッターに投稿された4枚の画像。一見すると1枚目の画像はトイレの手洗い器のように見えますが、その下にも白い部分が続いています。
2枚目の画像は全体像になっており、さきほどの手洗い器が小便器の上部にあるもので、便器と一体化していることがわかります。3・4枚目の画像は壁に貼られていたイラストで、使い方が説明されています。
手洗い器部分の蛇口に手をかざすと水が出て、手を洗った水が下の便器まで洗います。離れると赤外線センサーに反応して洗浄水が便器を流れますが、全体として水量を減らすことができ、節水になるというわけです。
「男性トイレに革命が起きた」という文言で投稿されたこのつぶやき。「これは合理的な仕様」「節水できる上に必ず手を洗わすことができる」といったコメントが寄せられ、リツイートは3万を超えています。
便器と手洗い器をいっしょにすることで、節水だけでなく省スペースにもつながるこの製品。NEXCO西日本とTOTOが共同開発したもので、2012年に導入が始まりました。
翌年には、そのアイデアが評価され、環境に配慮した製品やサービスを表彰する「エコプロダクツ大賞」のエコサービス部門で優秀賞を受賞しました。
発案したのはNEXCO西日本の緒方伸彦さん。トイレで小用を終えて手洗いに向かったところ、他の人が使っていて「小便器で手が洗えたらいいのに」と思ったのが、きっかけだったそうです。
「やりづらくないか」「圧迫感はないか」といった点に注意しながら、いくつもの寸法を試してこの形にたどり着いたといいます。
現在設置されているのは、NEXCO西日本管内の以下のサービスエリア(SA)です。
・名神高速道路の大津SA(下り)
・中国自動車道の美東SA(上り・下り)
・大分自動車道の山田SA(下り)
・九州自動車道の広川SA(下り)=繁忙期のみの仮設型
導入から5年。画期的な製品なのに、それほど普及していないのは、なぜなのか? ネット上の反応を見ると、「滞在時間が長くなるので混雑時に待ち時間が増える」「手を洗った後、便器周辺がぬれてしまう」といった指摘が上がっていました。
NEXCO西日本では、小便器の数が少ないトイレを避けたり、手を洗った水が床に落ちても水滴が目立ちにくいような床材を使ったりと、導入にあたって工夫しています。最大の理由は、別なところにありました。
「事実上、導入するタイミングがトイレをまるごと改修する時に限られているんです。1個だけ入れても節水効果は少ないし、手洗い器を減らすこともできないというのが理由です。タイミングを見ながら普及に向けて取り組んでいく予定です」
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