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「エロいものこそエライ!」 ベッド・インが〝ギルガメ魂〟貫くワケ
巨大な肩パッドスーツにぐいっと上がった前髪。「日本に再びバブルの嵐を巻き起こす!」を目標に活動する、地下セクシーアイドル「ベッド・イン」。最近のバブルブームもあり人気急上昇中ですが、結成は2012年。バブルが注目される以前から、ずっとセルフプロデュースで活動してきたそうです。2月15日にシングルCD「男はアイツだけじゃない」を発売し、今「ノリにノってる」2人に会ってきました。(朝日新聞大阪社会部記者・大貫聡子)
インタビュー冒頭、記者が名刺を差し出すと、「ああ~ん♥ ここにお願いしますぅ~」と「パイオツカイデー」担当の中尊寺まいさんが胸の谷間を寄せてほほえみます。
「おみ足」担当の益子寺かおりさんは「私はスカートにお願いしま~す」とウエスト部分をぐいっ。ドキドキしながら差し込むと「サンクスモニカ~♥」、「まんもすうれP」。想像以上に激マブです。
ギターの中尊寺まいさんとボーカルの益子寺かおりさんはともに1980年代後半生まれ。リアルなバブル時代は体験していません。なぜバブルをテーマにした活動をしているのでしょうか。
かおり「母親がまさにバブル時代、甘い蜜を吸っていた世代で。ワンレン、ソバージュ姿で夏になるとシトロエンで逗子マリーナに連れて行ってくれて。それが最初の記憶ですね。その影響で昭和のカルチャーがスキスキスー♪になりました」
【バブル用語の豆知識】
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そして「ベッド・イン」を結成。年代によってはちょっと言いづらい名前かと思うのですが……。
まい「きゃーの、きゃーの!セキメ~ンみたいな♥ いま日常会話で、『あの人と昨日、ベッドインしちゃって~』とか言わないじゃないですか。おもしろいからあえて死語を使いたかったんです。トレンディーかつアーバンな響きで、大人のアイドルらしいセクシーな言葉は何だろうって考えて」
かおり「メイク・ラブと迷ったよね~♪」
最初から音楽活動をしていたわけではなく、まずつくったのは写真集。
まい「死ぬまでに、C.C.ガールズやギリギリガールズ、T―BACKSさんなど、あの頃のマブくてハクい、セクシーアイドルみたいな写真集を出したいねって2人でモッコシモコモコ盛り上がって。自分たちと仲間たちだけで衣装、メイク、ロケ地、デザインまで細かく考えて、現ナマはたいてつくりました」
かおり「その後も8センチのシングルCDをつくったり、赤字覚悟で特典にVHSまでつけちゃったりなんかして。おサイフはバブル崩壊しちゃってゲロゲロ~!みたいな。今もセルフプロデュースというところは変わらないのですが、メジャーデビューしてからはレコード会社のマル金パパたちに恵まれ、衣装もオリジナル生地で肩パッドスーツを作れるまでに、ウルウル」
【バブル用語の豆知識】
活動を始めた2010年は「AKB48」など女性アイドルグループに勢いがあった時代。すんなり受け入れられると思っていましたか?
かおり「活動の原点はそこにあって。バブル顔を武器に、ロリっ娘よりケバっ娘がモアベターだぞ♥っていうの言っていきたいんです。ロンモチでアイドルちゃんたちには罪はないし、ひとつの選択肢として『ちょっと待った~』をかけたいなって」
まい「エロいものこそエライ!的な当時のイケイケでブイブイなセクシーアイドルさんに憧れと敬意を込めてギルガメ魂で活動することに決めたんです。実は前のバンド時代から、私は好き好んでギャルっぽい体のラインが出るような格好をしていたんですけど、そうすると『スタッフの子?』とか『メンバーの彼女でしょ』と言われることが多くて。なめんな!見た目で判断するな!と。もともとそういう部分でパンク精神旺盛なので、いっちょケンカの安売りしちゃお♥って、アイドルシーンに殴り込みにイっちゃいました」
【バブル用語の豆知識】
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まい「いい意味でのケーハクさと、失敗を許してくれる度量があったように思います。今のナウでヤングな子たちって失敗を恐れる傾向が強いと思うんです。私たちもその世代なのですが、就活でも安定を優先したり、SNSの発信でも炎上しないように、周りから浮かないように、すご~く気を使ったり」
まい「当時、ジュリアナのお立ち台に立っていたお姉さんは、男性の目も気にせず、むしろ私のダンスと体を見て!って目立つには露出もいとわなかった。トレンディードラマの主人公はお酒も飲むし、お金も使うし、男性も自ら誘ってしまう。欲望に正直に生きる姿は本当にカッコいいと思います。バブルは女の人が社会に出て行った時代でもあると思うので、男性と肩を並べて生きていく強さがあった気がする。チンカチンカの肩パッドもその象徴なのかも!」
そんな自由な空気を感じるのか、おギグ(ライブ)に集まるファンは20~30代の女性が多いといいます。
まい「ファンの方には、『悩みがどうでも良くなった』とか『くすぶっていたけど、やりたいことやっちゃえばいいんだ』とか言っていただくことが多いですね♪当時を知らないナウでヤングな子たちにとっては自由で大胆なバブルがまぶしく新鮮に見えるのかもしれません。最近は親子連れや、ガラスの10代も増えてきました」
2月15日に発売したシングル「男はアイツだけじゃない」では、「キツすぎるカクテル」とか「留守電」とかバブルをほうふつとさせる言葉がちりばめられてますね。サウンドもイケイケ感があって楽しいです。
まい「女性の気持ちは昔も今も変わらないと思うので、歌詞は自分たちの気持ちを正直に書いてます。ただピアスじゃなくてイヤリング、リップじゃなくてルージュみたいな?キーワードは当時を意識して。あとは『WAKUWAKUさせて』みたいにローマ字を使って」
かおり「私たちはベッド・インの音楽を『ボディコンロック』って呼んでいるんですけど、サウンドは当時を意識しつつも、ビートだけはナウでヤングな子たちも聞けるよう今っぽくしています。焼き直しではなく、『今』をズッポシ注入して、ウチらなりの新しいバブルの形を目指せればと思っています♥」
最後に今後の意気込みを聞かせてください!
かおり「ウチらの目標は全人類バブル化計画!バブルってナウいよね、という風潮になってきたけれど、まだまだ今の日本にはバブルが足りてない!と思うので、ウチらが先陣きって『やまだかつてない親善大使』になりたいと思います。ウチらのギルガメ魂でオコチャマからご年配の方まで、元気びんびん物語にしちゃうゾ~♪」
【バブル用語の豆知識】
この記事は3月11日朝日新聞夕刊(一部地域12日朝刊)ココハツ面と連動して配信しました。
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