IT・科学
「C CHANNEL」が立ち向かう「女子力」の窮屈さ 森川亮社長に聞く
女性向け動画マガジン「C CHANNEL」が国内外でめざましい成長を遂げ、メディアの「女子」像を変えようとしています。ネット時代では、メディアやタレントのあり方が変化してきているようです。LINEの社長を務めた後、2015年に「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮・C Channel社長に聞きました。(聞き手 朝日新聞社メディアラボ・林亜季)
日本のメディアを変えたかったんです。文字から写真、動画へ、またパソコンからスマホへとシフトする中で、スマホ向けの動画メディアをつくろうと思いました。女性の方がスマホを使う頻度が高いので、女性向けに。ファッション雑誌の動画版をイメージしました。
当初から海外展開を考えていて、日本以外に韓国、中国、台湾、タイ、インドネシアでも展開しています。1月、国内外で月間4億再生に達する見込みです。ユーザーの多くはF1層(20~34歳)の女性です。
目指しているのは、元気な女性が何にも縛られることなく、自分の言葉で発信してトレンドをつくり、世の中を変えることです。
動画を自ら撮影して投稿する「クリッパー」の女性が約500人います。八頭身のスーパーモデルというよりは、身近な感じの方が多い。毎日約80本の動画を配信しています。「HOW TO」ものが多く、ヘアアレンジ、ネイル、レシピのジャンルが特に盛り上がっていますね。
ネット時代では、自分自身の言葉を持っていないとファンがつきにくい。台本がなくても自分の言葉で語れるような方を集めています。何か得意分野をつくって、自分で語れるよう、教育もしていますね。
動画の内容を僕たちが指示したりチェックしたりせず、彼女たちが自由にテーマを決めて撮影、編集、配信しています。
やはり、自分が「いい」と思うものを素直に発信することが大事だと思っています。むしろこれからは、自分なりに発信したい気持ちがないとなかなか続かない。そういう人たちが活躍できる新しいプラットホームになるべきだと思っています。
これまでのメディアでは、タレントは事務所の基本方針にのっとって活動する。あまり自由な発言ができないんじゃないかと思います。
どうしても日本の場合、管理社会というか、男性が求める女性像に押し込みがちなところがある。メディア業界では男性比率が高く、朝のテレビ番組では女性がお天気ニュースを読むことが多い。なんでなんだろう。男性目線で物作りをしているってことなんですよね。
「女子力」という言葉に窮屈さを感じる人がいるのは、日本の男性社会の中で、言い過ぎちゃダメ、やり過ぎちゃだめとか、気を使って生きている方が多いからではないかと思います。
これからは受け身ではなく、どんどん自分の思いや考えを発信していく、そういう時代になります。「C CHANNEL」を、日本の女性が自分の言葉で発信し、世界で活躍できるプラットホームにしていきたい。
今アジアでは韓流ブームですが、日本のコンテンツが世界に出ていくことで日本の文化に憧れる人が増えて、日本が元気になればいいなと思っています。
日本人の女性クリッパーがタイ語で動画を配信し、タイで人気が出ている例もあります。そういう人を育てていきたい。
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