話題
変身するチラシ! 「怖い絵」の解説→本の表紙に こだわった理由は
ある展覧会を紹介する「チラシ」がツイッター上で話題になっています。
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ある展覧会を紹介する「チラシ」がツイッター上で話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
ある展覧会を紹介する「チラシ」がツイッター上で話題になっています。裏面の点線に沿ってチラシを折ると、その隅が指し示す人物を解説する仕組みになっていて、さらに折り進めると最後は展覧会の元となった「本」の表紙のように変身するのです。いったいどんな狙いで作られたチラシなのでしょうか? 詳しく話を聞きました。
話題になっているのは「『怖い絵』展」のチラシです。この展覧会は、ドイツ文学者・中野京子さんの著書『怖い絵』シリーズをもとに企画されたもので、兵庫県立美術館で7月22日から9月18日まで、上野の森美術館で10月7日から12月17日まで開催されます。
シリーズで取り上げた作品を筆頭に、「恐怖」を主題とする作品を選んでテーマごとに展示。視覚的に直接怖さが伝わるものから、歴史的背景やシチュエーションを知ることによって初めて怖さを感じるものまで、恐怖の魅惑を余すことなく紹介しようという試みです。
今回話題となっているチラシは、東京で開催される展覧会の主催者などでつくる「怖い絵」展事務局が制作したものです。
このチラシの楽しみ方は2つあります。一つは、裏面の角を山折りすると、チラシの隅が作品の解説をしてくれる点。もう一つは、番号順に全て折り重ねていくと、『怖い絵』の本のようなビジュアルが登場する点です。
実際にチラシを手にして、折った人たちがツイッターに投稿すると「すごい」「見てない人に配りたいレベル」「すぐに折ってみなければ」などと話題になり、中にはリツイートが18000を超えているものもあります。
どういう経緯でこのチラシが作られたのでしょうか? 主催者などでつくる展覧会事務局の担当者に話を聞きました。
――チラシの配布を始めた時期を教えてください
「東京展開幕1年前の10月6日からです」
――凝った作りですね
「書籍は文章をじっくり読んだうえで恐怖を読み解くことができますが、チラシでは書籍のようにじっくりと読んでいただくことがなかなか難しいので、まずは恐怖のエッセンスに注目してもらい、そこからみなさんに想像力を働かせてもらえるようなデザインにしたいと思いました」
「また、今回は『怖い絵』という書籍から派生した展覧会である、ということにリンクすべく、せっかく折るならば、折り進めていくと本になる、というデザインにしたいと思い、デザイナーさんに挑戦してもらいました」
――作ってみようと思ったきっかけは
「書籍の世界観を展覧会のチラシでどう表現したらいいかとても悩んだ結果、このようなかたちになりました。デザイナーさん的には、世の中に混在するチラシの中で『面白い!』と思ってもらえるものを制作しようと思い、ネットでは体験できない、実際に手に取って遊んでもらえるような、視覚的以外のチラシのあり方を伝えたかった、という意図もあったそうです」
――作る上で苦労した点は
「少しずれるだけで折り返し後の絵柄が合わなくなるので、バランスを調整するのが大変だったと思います」
――このチラシはどこで配布されていますか
「現在は上野の森美術館と、パナソニック汐留ミュージアムの『マティスとルオー展』、森アーツセンターギャラリーの『マリー・アントワネット展』で配布しています。さらに、2月23日から開催のBunkamuraザ・ミュージアム『これぞ暁斎!』展での配布も予定しています。数量に限りがありますので、在庫切れの際はご容赦いただければと思います」
――ツイッターで話題になっています
「多くの方々に興味を持っていただけて本当に嬉しいです。また、SNSで拡散をしてくださった皆様に御礼申し上げたいと思います。まだ仮のものですが、展覧会の公式サイトやFacebook、twitterもありますので、よろしければそちらもご覧いただければと思います」
――チラシを通じて展覧会に関心を持った人に向けてメッセージを
「東京展の約1年前からの配布となったので、中には上野の森美術館に昨年足を運んでくださって『あ、来年だった……』と思われた方、逆にSNSでの拡散をご覧になって『なんだ、もう終わってしまった』と思っておられる方もいらっしゃるようですが、兵庫は今夏、東京は今秋の開催です。まだちょっと先のことにはなりますが、ぜひ展覧会の存在を記憶にとどめていただき、実際に足をお運び願えれば幸いです」
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