話題
頑張りは正義?友達って何? 核心を突くツイッター漫画に込めた思い
多くの人が抱えているであろう悩みに対し、漫画でメッセージを伝えている女性がいます。
話題
多くの人が抱えているであろう悩みに対し、漫画でメッセージを伝えている女性がいます。
「悩みに質素も贅沢もないのよ」「頑張るだけがやり方じゃないはずだよ」――。多くの人が抱えているであろう悩みに対し、漫画でメッセージを伝えている女性がいます。ツイッターに投稿された数々の漫画の中には、7万を超える「いいね」がついているものもあります。どんな思いで漫画を描き、投稿しているのか? 作者に話を聞きました。
「#セキララマンガ」でツイッターに漫画を投稿しているのは、『藍にいな』さんです。2016年5月にツイッターを始め、9月に漫画を投稿し始めるとフォロワーが急増。現在は1万3千人を超えています。
昨年11月に投稿された漫画「頑張ることは正義なのか?」。受験を控えた女子高校生に「頑張るのやめたら」と教師が話しかけます。
自分の受験体験を語り始め、成績は優秀だったものの、当日に気力も体力も残っておらず失敗したことを伝えます。そして、こう話します。
「頑張るの意味調べたことあるか? 『忍耐して努力しとおす。気張る』。これって要は、自分の限界が来たとしても我慢して努力し続けろってことだろ?」
「そんなことが美徳になっているなんて気持ち悪いと俺は思うよ。だから、苦しみすぎるのはやめな。辛いと思ったら休んだ方がいい。頑張るだけがやり方じゃないはずだよ」
12月に投稿された「贅沢な悩みなんて」では、悩み事をめぐって2人の女性がやりとりする中で、こんなセリフが出てきます。
「どんな些細な悩みだって聞く人の立場や状況が変われば贅沢とも呼べるものになる。その悩みを羨むのは勝手だけれど、それを贅沢だと言って本人を責めるのは嫉妬や妬みから生まれた、ただの嫌がらせよ」
他にも青春や恋愛、友達をテーマにした漫画があり、藍さんの考える「解答」が盛り込まれています。
これらの漫画に対し、「これを見てスッキリしました」「すごく共感できて心にスッと入ってきました」「悩みに対する考えが180度変わりました」といったコメントが寄せられています。
どんな思いで漫画を描き、投稿しているのか? 藍さんに話を聞きました。
――漫画を描き始めたきっかけは
「漫画は小学3年生ごろから描いているので覚えていないです。昔から漫画を読むのが好きだったので、小学生の頃からずっと自分で話を考えて描いてました」
――描く上で心がけていることは
「Twitterで漫画がタイムラインに上がってきたときに、『よし、読むぞ!』と意気込んで読む方って、そうそういないと思うんです。なので、コマ割りやセリフはなるべく単純に、読んでいる人に疑問がないように心がけています。読んでいて『ん?よく分かんない』と思われた瞬間に終わりだと思うので」
――ツイッターに漫画を投稿する理由は
「最近はネット発の作家さんがどんどん出てきているし、漫画自体も紙媒体だけでなくWEB漫画も増えている中で、Twitterで活動していくことは重要なのではないか?と感じたからです。手軽であるにもかかわらず、ジャンルによってはコンペやコンテストに出して結果を出すことよりも影響力があると思います」
――セリフや展開はどのようにして考えているんですか
「はじめに『この漫画でこういうことを伝えたい』というメッセージを決めて、次に、それを伝えやすいシチュエーションを考えます。セリフや展開は、かなり描いている時のノリになってしまっています。一応、大まかな部分は決めるのですが、描きながら流れで決めていくことも多いですね」
――自身の経験が反映されているのでしょうか
「反映しています。日々生きてきた中で気になったことなどを、漫画のメッセージにしています」
――投稿した漫画の中で、特にお気に入りは
「『友達ってなんだっけ』が設定や流れ的には気に入っています。ですが、投稿し始めの方なのですごく雑に描いてしまっていて……。もっとダークな雰囲気を出していきたい、と頭の中では考えていたのですが、表現しきれていないので、機会があればちゃんと描き直したいです」
――漫画を通して伝えたいメッセージとは
「私の漫画を読んで、『こういう考えもあるんだ』と思って頂けたら幸いです。それぞれの漫画で、私は自分の意見を描いているのですが、それを『絶対に正しい!』という風にはしたくないです。人の考えは性格や環境によって変わるし、各自が正しさを持っているものだと思うんです」
「だから、私の意見が役に立つ方は、ぜひ参考にして頂きたいし、そうでない方は、こんな風に考えるやつもいるんだ、と知るきっかけになれば良いなと思います。ざっくり言えば、『人の考えって人それぞれですよね!』ということを伝えたいです。なので、漫画も考えの相反しているキャラクターの2人語りが多いです」
――漫画を描いていて一番うれしい瞬間は
「私の漫画を読んで励まされた、と言ってくださる方がいて、それはとても嬉しかったです。悩んでいる方の力になれるのは嬉しいです」
――作品に多くの反響が寄せられています
「Twitterに漫画をあげ始めた時には、こんなことになるなんて夢にも思っていなくて……。今でも他人事のようで信じがたいです。漫画のツイートが伸び始めたころは、嬉しいのと同時に、ひょんなことでこんなにたくさんの人に見られる立場になるネットって怖い!って思ってしまいました。でも、拡散されたことで、漫画についていろんな人のいろんな意見が聞けるようになって、本当にありがたいです」
――これからの活動予定や、意気込みを
「明確な予定はないのですが、自分のアカウントに漫画をあげるだけじゃなくて、他の方とも関わっていろんなことをしていきたいです。たくさんの方に見て頂けるようになったので、それに見合うように漫画も進化させていきたいです!」
1/88枚