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亡き猫からの贈りもの 家族の再会綴った正月の投稿、ネットで話題に
「猫の贈りもの忘れない」と題した新聞投稿が、ネット上で話題になっています。
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「猫の贈りもの忘れない」と題した新聞投稿が、ネット上で話題になっています。
「猫の贈りもの忘れない」と題した新聞投稿が、ネット上で話題になっています。2014年1月3日に掲載された文章で、いずれも東京都内に住んでいながらなかなか会うことのなかった家族が、飼い猫の死をきっかけに集まり、思い出を語り合いながら一晩を過ごしたという内容です。ツイッター上では「涙が止まりませんでした」「実家の猫を思い出しました」といった声が寄せられています。あれから3年が経ちましたが、家族はどう過ごしているのでしょうか? 投稿した女性に会って話を聞きました。
「友達から『インターネット上で話題になっているよ』ってメールが送られてきて、びっくりしたんですよ」。そう話すのは、東京都清瀬市に住む吉田幸子さん(75)です。メールを印刷した紙を手に、照れくさそうに笑います。
新聞投稿に登場する猫は「たら」。1993年、中学生だった次男が夏祭りの夜に、段ボール箱の中に捨てられていたところを連れ帰ったのが始まりでした。
自宅には柴犬の「こたろう」がいたため、吉田さんは飼うかどうか迷ったそうです。それでも、反抗期だった次男の「全責任を俺が負う」という言葉を聞いて決心しました。
20年が経った2013年12月2日、たらが死にました。半月ほど落ち込み続けたという吉田さんですが、その時に感じた思いを残そうとペンをとり、朝日新聞の読者投稿欄「ひととき」に投稿しました。
2014年1月3日に掲載された文章は以下の通りです。
看取った日の夕方、数年ぶりに5人が集まりました。
家に来た時は手のひらにのるほど小さかったこと。こたろうに付き添うようにして一緒に散歩していたこと。血尿の後で行方がわからなくなり、探し回った末に近くの畑の穴の中でうずくまっているのを見つけた日のこと……。夜が更けるまで思い出話は続きました。
子どもたちが「親が死んでも、こんなに泣かないよね」と冗談を言うと、吉田さんは「私たちのときも少しは泣いてよね」と返して笑い合ったそうです。
「たらには助けられてばかりでした。家族の間に入るクッションみたいな存在。ケンカが始まっても、たらを膝の上に乗せてたら大きな声で怒鳴ることもできないじゃないですか」
弔った後、中学生のころに「全責任を俺が負う」と宣言した次男が、吉田さんに封筒を差し出しました。「20年分には足りないかもしれないけど……」と言いながら、かかった治療費などに充ててほしいと現金を入れていました。
「ちゃんと覚えてたんですね。その気持ちがうれしくて」と吉田さん。
たらを看取ってから3年が過ぎました。あれから家族で顔を合わせる機会はあったのでしょうか?
「2016年の1月に、久しぶりに集まりました。入院していた夫の誕生日のお祝いをしようと次男が言い出して、外出許可をもらって食事会をしたんです。孫たちも集まって、にぎやかな会になりました」
吉田さんの家には今、黒猫「あぽろ」がいます。たらが死んでから半年以上が経ったころ、動物病院で里親募集の貼り紙を見つけて、一緒に暮らすことを決めたそうです。
「たらが人なつっこくて、刺し身が大好きだったのとは対照的。とってもビビリで、ケーキやチーズが好き。私たちにとって大切な家族です」
昨年12月23日、吉田さんの投稿が載った新聞の切り抜き画像がツイッターに投稿され、多くの人の目に触れました。
「泣いてしまいましたが、とてもあたたかな気持ちです」「うちの黒猫を思い出しました」といった声が寄せられ、ブログで紹介する人たちも。そのことを知った吉田さんの友人が、「すごいわね」と知らせてくれたそうです。
昔の投稿が話題になったことについて、吉田さんは「きっと猫や犬を飼っていれば、どこの家でも同じだと思います。たらちゃん、ありがとうね」と話します。
3年遅れで届いた、たらからの「もう一つの贈り物」。話の途中で吉田さんは、何度も昔を思い出しながら目元をぬぐっていました。
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