話題
かかしの熱戦1カ月、ついに完結 徐々に試合進行、最後は胴上げに
1カ月に及ぶ熱戦は11月30日に、ようやく終わりを告げ、勝利チームが胴上げで喜びを爆発させました。
話題
1カ月に及ぶ熱戦は11月30日に、ようやく終わりを告げ、勝利チームが胴上げで喜びを爆発させました。
稲刈りを終えた田んぼで、子どもたちがソフトボールの熱戦を繰り広げています。しかし、プレーに臨むのは「かかし」。日によってかかしの位置が変わり、ゲームが少しずつ進んでいるように見せている凝りようです。名付けて「24時間ソフトボール大会」。1カ月に及ぶ熱戦は11月30日に、ようやく終わりを告げ、勝利チームが胴上げで喜びを爆発させました。(朝日新聞筑豊支局・垣花昌弘)
福岡県飯塚市鯰田のJR筑豊線・浦田駅のそば。建設会社会長の久保井伸治さん(65)が、地元でかつて開かれていた自治会対抗の小学生ソフトボール大会のユニホームで作りました。
久保井さんはソフトボールチームの元監督。ユニホームは処分される予定でしたが、「捨てるのは忍びない」と、にぎやかに繰り広げられた試合をかかしで再現して地域を盛り上げようと思い立ち、知人から田んぼを借りて2012年秋から始めました。
顔は美容室から譲り受けたカット練習用のマネキン。スポーツ刈りにされたものもあります。「昔は田んぼでよく遊んだ。童心に帰ってほしい」と久保井さん。
毎年11月の1カ月で1試合を再現しています。選手が集まる場面から数日おきに少しずつかかしを動かして勝利チームの胴上げまで試合を進め、審判や観客の姿もあります。
見に来た人が得点板に点数を書き込めば、その状況に合うように配置します。打席が空いている日は、記念撮影のために人間がバットを握って打席に立つこともできます。
「試合」は車や電車の中からも見ることができ、記者も車から初めて目撃した時は本当にゲームをしているのだと思い込み、かかしとは気付きませんでした。
夜間も試合をしているため、インターネット上には「怖い」という書き込みも。まさに米映画「フィールド・オブ・ドリームス」の日本版です。
それでも、「観覧席」に置いてある、応援メッセージを書き込めるノートには、「一つ一つ細かく、ポーズもあっていて本物みたい」「笑いがとまりません」「車で前を通るたびに気になっていました。毎年楽しみにしていて、ソフトボール大会が始まると、秋だなあと感じます」という言葉が並んでいます。
どのチームが勝つかは久保井さん次第。全部で50体近いかかしが登場した今年は延長十回、11―10で後攻チームが劇的なサヨナラ勝ちを収め、胴上げで祝いました。
久保井さんは「『試合はどうなっていますか』『グラブが余っているので使って下さい』という電話もかかってきた。今年はグラウンドのコンディションが悪かったが、いい試合ができて、皆さんに楽しんでもらえたと思います」と話します。
かかしは12月4日まで展示される予定。
1/30枚