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ホームレス直伝、段ボールハウスの作り方 グレード別に4タイプ
ホームレスのおじさんに教わった段ボールハウスの作り方。集めるときの狙い目はとにかく大きいもの。ツルツルした面を下にすると断熱効果を発揮するらしい。自分で作った「我が家」は驚くほど静かな空間でした。朝方、肌寒さに目が覚め、「家に帰ってからゆっくり寝よう…」という人も。でも、帰るところがない人は? 「ほしいのはハウスじゃなくてホーム」。おじさんの言葉が胸に刺さりました。
ホームレスの自立を応援する「ビッグイシュー」が、大阪で開いた「一夜のホームレス体験会」に参加しました。
先生役は、ふだん街角で雑誌「ビッグイシュー」を売っているホームレスの人たち11人。
大阪・東京・三重などから男女12人が参加しました。
まず、グループに分かれて段ボールを集めに行きます。
目指すのは「大きくて分厚いもの」「汚れていないもの」「ぬれていないもの」。
スーパーの店員さんに断って、店内で探し始めましたが、先生たちの手早いこと。
私の訪れたスーパーでは、お菓子や食品を入れる小型の段ボールばかりで、先生は「不作だぁぁ」。オススメは、衣料品やティッシュの段ボールだそうです。
続いて、段ボールハウスづくりのレクチャーを受けました。
先生たちの助言をまとめたイラスト付きのミニ冊子「ダンボールハウスあれこれ手帳」が配られ、参加者のテンションは上がります。
段ボールハウスには、
①地面にただ敷く「敷くだけスタイル」
②オールシーズン使える「囲いのみスタイル」
③囲いのみスタイルにふたをのせる「囲い&ふたスタイル」
④段ボールをつぶさず、箱のまま直方体をつくる「箱タイプ」
に大きく分かれるそうです。
地面に敷く時は、ツルツルしている方を下にしたほうが熱が伝わりづらく、水もはじいてくれると説明がありました。
先生は段ボール6枚ほどを使い、サクサクと「囲いのみスタイル」を完成。
この段ボールハウスは、毎晩つくって、毎朝片付けるそうで、先生いわく「言い換えると、毎日新築」。
実際に「囲いのみスタイル」で寝転がってみたところ、想像以上に音が遮られていて、驚きます。同じように風も遮られ、とても暑く感じました。
そもそも、なぜこんな催しを開こうと思ったのでしょうか。
350円の雑誌「ビッグイシュー」を1冊販売すると、180円が売ったホームレスの人の収入になります。
ホームレスの人たちはそれぞれが本屋の店長。売り方を工夫し、自立に向けて一歩踏み出していきます。
ただ、8月は暑さやお盆休みのため、売り上げが落ちるそうで、
ビッグイシューの販売担当・吉田耕一さんは「販売者さん(ホームレスの方)の利益になるイベントができないか」と考えたそう。
今回の体験会は、参加費の一部がホームレスの人たちに謝礼として渡される仕組みになっています。
吉田さんは「参加者の方には、野宿というイベントを通して、実際に家がなかったらどうなのか、考えてみてほしかった」と話します。
寝る前には、ホームレスの人たちを交え、「人生の分岐点」を語り合う時間もありました。
74歳の男性は、昔のお金の研究をしていたけれど、失敗し、「心が折れてしまった」。
以来30年、放浪生活を続けているといい、ビッグイシューを販売するようになって、〝生活〟に未練が生まれたそうです。
「ハウスはあるけれど、本当にほしいのはホーム」と語っていました。
滋賀から参加した女性は、「ホームレスという人がいるんじゃなくて、ふつうの人が、突然なのか徐々になのか、家を失ってしまっただけなんだ、とわかった。やっぱり話してみないと分からない」と語っていました。
人生を語り合ったあと、いよいよ野宿で就寝。
持参したバスタオルなどをかけ、虫対策のために長袖・長ズボンで寝ます。
30分もすると、あちこちからいびきが聞こえてきましたが、眠れない参加者も多かったようです。
先生たちが「朝方は気温が下がるから注意」とアドバイスをくれた通り、
午前4時ごろにはぐっと気温が下がり、寒くて目が覚めた人もたくさんいました。
翌朝、感想を発表しあうと、参加者のひとりは「2時間も眠れなかった。
帰ってゆっくり寝ればいいか、と思ったけれど、それは帰るところがあるから。
いかに自分が『ある』という前提で動けているのか、分かりました」と話しました。
虫除けや安全対策など、「配慮してもらっている中だったから眠れた。
ハウスではなく、必要なのはホーム、居場所なんだ」という声もありました。
今回のイベントは初めての試みで、スタッフもホームレスの人たちと話し合いながら手探り状態で進めていったといいます。
吉田さんは「販売者の方たちも、自分たちのノウハウを伝えるのに生き生きしていた。
堅く考えず、楽しみながら、それでも何かを考えてもらえる、そんな場を提供できたとしたらうれしい」と言います。
「またやりたい」という声も上がっているそうで、吉田さんは「今回の経験を生かしながら、別のイベントも考えたい」と話しました。
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