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重量挙げ・八木かなえ、「筋肉」も「おしゃれ」も我慢しない生き方
ノースリーブを着たいけど、太い二の腕が気になる。レギンスをはきたいけど、張った太ももが気になる。体形を気にしてファッションを諦める女性は多いのでは。重量挙げの世界で活躍する一方、女性としても魅力あふれる八木かなえさん。悩める女子を救って!(聞き手 朝日新聞スポーツ部記者・渡辺芳枝)
高校入学から重量挙げを始めて、今は100キロ以上を持ち上げます。(一気に頭上に上げる)スナッチは87キロ、(胸まで上げた後に頭上に持ち上げる)ジャークは112キロ。強くなりたい、理想の筋肉をつけたい、と願って9年目。体操をやっていた中学時代には、想像もできない自分になっています。
服選びは苦労します。太ももに合わせてパンツを選ぶと、ウエストが緩い。腕を出すとすごく強そう。高校時代、男子部員は太もも回りを測って喜んでいました。カッコ良くなりますもんね。女子部員はそんなに盛り上がりませんでした。
でも、我慢はしません。(気分が)上がらないじゃないですか。好きだな、可愛いな、って思う服を選びます。膨張色だとしても、白い服が好き。セシルマクビー、スパイラルガールによく行きます。
アクセサリーも大好きです。マメができると指輪が入らないんですけどね。キラキラしたものが大好きで、箱に並べて眺めます。だから金メダルが欲しいんです。
着られる服は限られるから、とにかく試着室に入ります。「いかがですか」って店員さんに聞かれるのはプレッシャーですね。かなりきつくても、しれっと「ちょっと小さいかな」って。何着も試しているうちに、体が入るお気に入りの一着が見つかります。
筋肉質な体は非モテ? 誰にモテたいんですか。好きな人にだけ好かれればいいんだから、さらけ出さなきゃ。ありのままじゃないと、後々苦しくなりますよね。きっとうまくいかなくなる。
私はガッチリした男性が好きだから、隣にいると結果的に細く見えることもあるんです。競技仲間と並んで歩く時は、カッコイイ系のTシャツであえて腕を出すこともあります。
それでも体形が気になるなら、ここぞの時だけ好きな服を着てみては? 普段とのギャップで、可愛さが増すかも。あとは小物。私もお気に入りのアクセサリーをかばんにつけています。体形には関係なくおしゃれを楽しめますからね。
年齢を考えると、五輪挑戦は2020年東京五輪までかな。足をひねるのが怖くてはけないハイヒールも、引退後なら選ぶかもしれません。他にやりたいのは、旅行。練習を休むと筋肉が落ちちゃうから、2日以上は休めないんです。のんびり温泉旅行に行ってみたいな。
今の私は競技生活がメインと言い切れます。ウェートリフティングに引っ張られるように生活がある感じです。競技なしのキャンパスライフ? 考えられないし、うらやましいと思ったこともありません。だからと言って、「女を捨てる」なんてこともしていませんし。大事なものは人それぞれ。服も生き方も、他人の基準に合わせて選ぶ必要なんてないと思いますよ。
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八木かなえさん(やぎ・かなえ) 23歳。身長154センチ、体重53キロ。2012年ロンドン五輪に出場し、可愛すぎるアスリートと話題に。2段階の動きで持ち上げる「ジャーク」の自己最高は112キロ。
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