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中国の「まずい水」が話題に 輸出心配する声 それでも人気の理由
最近、中国で「崂山白花蛇草水」が「中国一まずい飲み物」として話題を集めています。メーカーの、中国版ツイッター微博での投稿をきっかけに、その「味」が注目を集めました。実はこの商品、根強いファンがいるロングセラー商品。まずいのに、なぜ人気なのでしょうか?
発端となったのは、「蛇草水」を生産するメーカー「青島崂山鉱泉水会社」の投稿でした。
「崂山鉱泉水は国の『一帯一路』戦略に応じて、リビアに進出しました」
投稿にはリビアで撮影したと思われる写真も添付されました。写真には「崂山白花蛇草水」がはっきりと見えます。そこから、「蛇草水」を飲んだことのあるネットユーザーによる議論が始まりました。
「こんなに味の酷いものを輸出しています?アフリカの人々がかわいそう!」
「中国とアフリカ諸国の友好の小舟は、これで危ういじゃないか」
「中国でも最も飲みにくい飲み物だと思いますよ」
「強烈な悪臭があります」
「まさに刺のついたオシッコ」
「プレゼントしてくれた友人と絶交しかけた。彼氏が知らずのうちに一口を飲んでしまい、破局するところだった」
会社のオフィシャルサイトでは「優質な天然の崂山ミネラルウォーターをベースに、『白花蛇舌草』という植物のエッセンスを添加した、オーガニックな健康系飲み物です。東南アジアには50年以上に輸出しています」と説明しています。
ユーザーの中には「飲み慣れたら、格別な風味もあるらしいです」という意見もありますが、大半は「まずい」。議論の的になった薬草「白花蛇舌草」は、その名前の通り、毒蛇が関係しています。中国の広西省や雲南省に生息する毒蛇が飲む「露」を生み出す草を「白花蛇舌草」と呼んでいます。
中国の薬学著作の古典である『本草綱目』によると、「白花蛇舌草」には消熱解毒・消化促進の効能があるとされています。メーカーのホームページでも、免疫力アップ、抗癌と抗ウイルスの効用があるとうたっています。
メーカーの担当者によると、蛇草水は漢方の原料を使っているため、味のクセは強くなるそうです。「ネット上では『刺のついたオシッコ』などという人もいますが、多少『腐った芋』の味があるかな」とメーカーの担当者は語ります。
半世紀以上前、東南アジアの華僑では関節炎に悩む人が多くいました。1960年代に会社の前身である「青島汽水廠」が青島医学院(現青島大学医学院)研究所などと連携し、関節炎への対策として、白花蛇舌草を使った飲み物を開発しました。
パクチー(香菜)のように、慣れてくると好きな人もいるそうで、現在でも東アジアでは人気のあるヒット商品になっています。
メーカーによると、アフリカへの輸出は初めてだそうです。中国の国家戦略である、海と陸のシルクロード経済圏構想「一帯一路」にのっとったものである一方、アフリカの環境に蛇草水が適している面もあります。
アフリカは基本的に熱帯気候で、リビアの隣国であるシエラレオネはエボラウイルスの発症地でもあります。蛇草水はアルカリ性で、体質の調整や抗ウイルス性などの効用があるとされています。
崂山白花蛇草水はさらなる市場の拡大に力を入れています。韓国と日本に対しても、去年からマーケティング・リサーチを進めています。メーカーは「日本でも興味を示したクライアントがいます」と説明します。日本への輸出を進めていく考えです。
今後、強烈な味の「崂山白花蛇草水」が日本でも飲めるようになるかもしれません。
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