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腕時計パーツでピタゴラ装置! 話題のSEIKO動画、なぜ企画?
「SEIKO」ブランドの時計で知られるセイコーホールディングス。そんな会社が一風変わったミュージックビデオを発表して話題になっています。
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「SEIKO」ブランドの時計で知られるセイコーホールディングス。そんな会社が一風変わったミュージックビデオを発表して話題になっています。
「SEIKO」ブランドの時計で知られるセイコーホールディングス。そんな会社が一風変わったミュージックビデオを発表して話題になっています。タイトルは「Art of Time」。機械式腕時計に使われているパーツで作った「ピタゴラスイッチ」に出てきそうな装置が登場し、これを動かす内容です。流れている曲はCEOが作曲、歌詞は社員から公募するなど、随所にこだわった動画。狙いについて担当者に話を聞きました。
動画では、機械式腕時計のパーツでつくられた装置と、セイコーの時計職人が操る繊細な指先の連係プレーで、数々の仕掛けを楽しむことができます。
パーツはすべて、実際にセイコーの機械式腕時計に使用されているもので、最も小さいものは0.7mm。47種類1200個が使われており、エンドロールでは47種類それぞれのパーツ名や、NGシーンも出てきます。
企画から完成までにかかった時間は丸一年。時計職人との技術的な打ち合わせを重ねながら、数えきれないほどテストを実施。撮影は2日間で計15回に及びました。ラストシーンで時計の心臓とも言える「てんぷ」が納まったときは、現場から歓声があがったそうです。
また、装置だけでなく、流れている音楽にもこだわりがあります。CEOの服部真二さんが自ら作曲し、歌詞はグループ社員から公募。「時代とハートを動かすSEIKO」というグループスローガンを表現したそうです。
ネット上では「圧巻の一言。かっこいい」「時計屋さんの本気を見た」「子どもに見せてあげよう」といった声が上がっています。
このミュージックビデオの狙いについて、セイコーホールディングスの担当者に話を聞きました。
――なぜ時計のパーツで装置を作ろうと思ったのでしょうか
「普段は、機械式腕時計のムーブメントの中に収められたパーツ。なかなかお見せする機会のない、当社グループが得意とする精密・極小の世界をご紹介したいと考えました。グループ会社のセイコーインスツル株式会社で製造した機械式腕時計のパーツを使用しています」
――この装置を通して伝えたいメッセージを教えて下さい
「パーツが一つでも欠けると、機械式腕時計は止まってしまいます。そして、この装置は、連係プレーがないと成り立ちません。一つ一つのパーツがいかに大事な存在であるか、ということをお伝えしたいと思いました。エンドロールには、パーツ名が出演者として登場します」
――つくる上で最も苦労した点を教えて下さい
「ワンテイクで撮影しているため、1度撮影し、次の撮影の準備に1時間以上かかります。15回の撮影に2日かかった点です」
――ここに注目してほしいという点は
「技術的に注目いただきたいのは、楽曲の歌詞『窓にひろがる光~』で登場する『ルビーのバケツリレー』です。細いチューブレールがぎりぎりのところで、次のチューブレールにルビーを渡し繋いでいく場面です。流れるように進みますが、タイミングを合わせるのに苦労しました。また、スローガンの『時代とハートを動かす』に関連したハートのスリットアニメーションや、最後のシーンで装置全体が10時8分の形状であるところなど、随所に仕掛けを施しています」
――CEOが作曲、社員が作詞した理由を教えて下さい。
「2014年に『時代とハートを動かすSEIKO』というグループスローガンを制定しました。このスローガンには、セイコホールディングスグループが常に時代を牽引し、お客様の心に響く存在でありたいという思いと、物質的な価値だけではなく、『遊び心』といった精神的な価値も発信していくという熱い意志が込められています。その意志を発信していくには、まずは社員が一体となり、トップが関与することが大切です。音楽が一体感の醸成に有効なコミュニケーション手段と考え、この楽曲を制作しました」
――動画を見た人、見てみたい人に向けてメッセージをお願いします
「ミュージック・ビデオの本編ももちろんですが、メイキングを収めた『"Art of Time" Behind the Scene』もご覧ください。舞台ができあがるまでを定点で観察し、撮影の仕込みから1カット撮影が成功するまでを収録しています。そして、小さなパーツを扱う時計職人にも注目いただきたいと思います。パーツやルビーが流れるように装置の上を進むプレッシャーの中で、時計職人がピンセットで調整していきます。普段は寡黙な時計職人が成功したときに見せるこぼれるような笑顔から、撮影準備にどれだけ苦労したか、ご想像いただけると幸いです」
最後のシーンで装置全体が10時8分の形状になっているとのことですが、展示されている時計の多くがなぜこの時間を指しているのか? その理由について聞くと、こんな答えが返ってきました。
「セイコーでは、これを『時計が最も美しく見える姿』として採用しています。理由は、(1)時針・分針・秒針の3本を重ならないように配置(2)時針・分針の広がりが上向きの方が美しく引き締まって見える(3)12時下のブランド名が隠れない、の3点です。また、秒針のあるものは、『10時8分42秒』を指しています。これは、6時上のロゴを避けると共に、動きも感じられるからです」
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