MENU CLOSE

お金と仕事

マヨネーズ賞味期間を延長できた理由 「酸素との戦い」制し2カ月も

キユーピーマヨネーズの最新パッケージ(左)と、酸素対策の工夫
キユーピーマヨネーズの最新パッケージ(左)と、酸素対策の工夫 出典: キユーピー提供

目次

 日本で初めてマヨネーズを製造・販売した「キユーピー」が、主力商品の賞味期間を2カ月も延長すると発表しました。従来の10カ月から12カ月にできた理由とは何なのか? 詳しく聞いてみると、過去にも容器を工夫したり、製法を変えたりしてきたそうです。長持ちするためのポイントは「酸素との戦い」でした。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格
1925年に日本で初めて発売されたマヨネーズ(右)。左は現行パッケージ
1925年に日本で初めて発売されたマヨネーズ(右)。左は現行パッケージ 出典: キユーピー提供

なぜ延長に取り組んだのか?


 賞味期間が延長されるのは、主力商品である「キユーピー マヨネーズ」の一部容量と「キユーピーハーフ」です。「キユーピー マヨネーズ」は3月製造分から、「キユーピーハーフ」は1月22日出荷分から切り替えます。

 なぜ延長に取り組んだのか? キユーピーの担当者は、こう説明します。「世界の穀物需給が逼迫(ひっぱく)する中、食品ロスの削減は世界的な課題です。日本でも年間500万~800万トンのロスが発生していると推計されていて、この中には家庭内ストックの賞味期間切れによる廃棄分も含まれています。メーカーが賞味期間延長に取り組むことで、ロスの削減に貢献できると考えました」

1972年には、酸素バリア層を含むプラスチックの多層構造容器を採用
1972年には、酸素バリア層を含むプラスチックの多層構造容器を採用 出典: キユーピー提供

すべては「酸素との戦い」


 1925年にビン入りのマヨネーズを発売したキユーピーは、これまでも容器や素材を見直すことで、賞味期間の延長や風味の維持に取り組んできました。

 「それらはすべて『酸素との戦い』でした。今回の2カ月延長も、製造工程中の酸素レベルを下げることで実現したんです」と担当者は話します。

 マヨネーズの主原料は卵と油。油は水よりも酸素を取り込みやすい性質で、酸化すると風味が落ちるために賞味期間が短くなります。いかに製造や保存の過程で酸素に触れる機会を減らすかが、期間延長のポイントでした。

1988年には、ボトルの口部にアルミシールを採用
1988年には、ボトルの口部にアルミシールを採用 出典: キユーピー提供

過去にはこんな工夫が


 これまでの工夫の例を挙げると、真空ミキサーの導入や、容器を酸素透過性の低い層を含むプラスチックの多層構造に変えたこと、容器口部にアルミシールを貼ったこと、マヨネーズを容器に入れた後のボトル内部に残った空気を窒素に置き換えたことなどがあります

 2002年には、原料の油に溶けている酸素を取り除く「おいしさロングラン製法」を採用し、賞味期間を7カ月から10カ月に延長。そして今回の製造工程中の酸素を減らす取り組みでさらに2カ月延長し、賞味期間は1年になりました。

1998年には、充填後のボトル口部に残った空気を窒素に置換
1998年には、充填後のボトル口部に残った空気を窒素に置換

大容量など一部は除く


 今回の期間延長は「キユーピー マヨネーズ」については、50g、130g、200g、350g、450gが対象で、大容量の700gと1kg、小分けの12g×10本、およびビンは除かれています。大容量だと、どうしても酸素に触れる面積が大きくなり、小分けの場合は容器の素材が異なっているためだそうです。ちなみにビンは保存性が高いため、もともと1年でした。

 担当者は「発売以来様々な改良を積み重ねてきましたが、これで完成とするのではなく、より便利によりおいしく使っていただけるよう、今後も進化を続けていきます」と話しています。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます