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ボタバラ公式サイト、期待通りの暴走 牝猫ッ!アバズレ!金魚呑め!
「ドロドロ昼ドラ」の王道的作品「牡丹と薔薇」。今年12年ぶりに放送中の新作「新・牡丹と薔薇」(フジテレビ系)の番組公式HPの解説が「面白い」と話題になっています。
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「ドロドロ昼ドラ」の王道的作品「牡丹と薔薇」。今年12年ぶりに放送中の新作「新・牡丹と薔薇」(フジテレビ系)の番組公式HPの解説が「面白い」と話題になっています。
2000年代に一大ブームを巻き起こした「ドロドロ昼ドラ」の王道的作品「牡丹と薔薇」(ボタバラ)。今年12年ぶりに放送中の新作「新・牡丹と薔薇」(フジテレビ系、月~金午後1時25分)を制作する東海テレビの番組公式HPの解説が「面白い」と本編同様話題になっています。
元祖「ボタバラ」は、大河内奈々子さんと小沢真珠さん演じる美人姉妹の30年に及ぶ壮大な愛と憎しみを描いた作品。「役たたずのブタ!」といった強烈なセリフが頻発したことでも知られ、今作も恋人に金魚を飲ませたり、「サカリのついた牝猫ッ!」と主人公が叫んだり。独特の世界観は健在です。
両作とも、脚本は中島丈博氏。NHK大河ドラマをはじめ、「たわしコロッケ」シーンが有名な「真珠夫人」(02年)ほか数々の愛憎昼ドラを手がけた大ベテランで、異色のセリフや描写、スピード感と意外性に満ちた激しい情念のやりとりがネットユーザーをひき付けています。
今作放送時間中は番組タグ「#ボタバラ」が、盛り上がりを示すHOTワード1位の常連。14日は登場人物が発した「皆既月食」もトレンド入りし、ドラマを見ていないネットユーザーが「今日皆既月食?」と相次ぎ勘違いする「騒動」まで起こりました。
番組HPは連日従来平均の約4倍のアクセスが殺到し、放送中と直後は閲覧がしづらい状況が続いています。
そんなHP中で注目を集めるのが「名ゼリフ」企画です。各話で最もツイッター上をにぎわしたセリフを認定、展開や視聴者目線の驚き、ツッコミを織り交ぜて解説するものです。
高校生の妊娠発覚、恋人の事故死、ちゃぶ台ひっくり返し、取っ組み合いの親子げんか、陣痛……とめまぐるしく進んだ第一話では「なお、この昼ドラはまだ初回が終わったところである」。
恋人と初めて口づけを交わした青年が直後に「恐れ入ります」と発した回では「まず瞼を閉じて欲しい。続いて想像していただきたい。初めて誰かと接吻をする自分の姿を…(中略)眼前に表示されている今回の名ゼリフの衝撃は如何であろうか」
難読漢字や難解なフレーズが頻発する中島作品の世界観を踏襲しつつも、出演者・制作スタッフ陣への敬意、昼ドラ愛、そしてユーモアにじむ解説は、SNS上で「最高のセンス」と賛辞を送られています。
書いているのは、東海テレビ宣伝部の平岡敏治さん(39)。さぞ文学に造詣があるのだろうと思いきや、「本もそんなに読まないですし、大学時代は経済学部。プライベートで創作活動はおろか、フェイスブックやツイッターもしていません」。「新明解国語辞典」ほか数種の紙の辞書を駆使し、放送後「仕込みなしで、勢いのままに書いている」と謙遜します。
ただ、宣伝担当になる前は約8年間、報道記者として政権交代などを取材していたそう。終了2時間以内で原稿を仕上げる筆力は、記者時代の経験が生かされているように思われます。16日には、主演の黛英里佳さんもブログで企画を絶賛し、「誰が書いてるんだろう(笑)」などとつづりました。
平岡さんの宣伝スタンスは、「せっかく文字数を割くなら、より魅力が伝わる表現を」。無難な宣伝フレーズは避け、知恵を絞るそうです。
時折「ここまでくだけた解説で怒られない?」と気になりますが、制作現場のアシスタントプロデューサーからも「楽しんでいる」と好評だったそう。「任せてくれる周囲に感謝です」と語ります。
今作はすでに10話超の放送が終わりましたが、平岡さんは「途中からでも楽しめます。なぜならこの昼ドラは展開が早く、そもそも初回から見ていても誰も追いつけない構造だからです」とにっこり。報道現場さながらの速報出稿を続け、「視聴者の皆様と一緒に盛り上がっていきたい」と力を込めています。
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