お金と仕事
「ヤケクソの闘い」 不人気ナッツ菓子の宣伝が話題に 森永の真意は
森永製菓が販売しているアーモンド菓子の特設サイトが、ネット上で話題になっています
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森永製菓が販売しているアーモンド菓子の特設サイトが、ネット上で話題になっています
森永製菓が販売しているアーモンド菓子の特設サイトが、ネット上で話題になっています。不人気から2度の発売中止に追い込まれた商品「JACK」を、再度売り出すためのサイトですが、商品と関係のない猫を登場させたり、「負の歴史の詳細」と題して商品を自虐的に紹介したり。人気のない商品をここまで宣伝する理由とは何なのか? もしかして、誤発注で大量に在庫を抱えてしまったのか? 森永製菓に詳しく聞きました。
JACKは、ローストしたアーモンドにカリカリした食感の塩をきかせた、焦がしキャラメルとの組み合わせのナッツ菓子で、価格は税込み169円です。
「ジャックと豆の木」のイメージと、世間の話題を「ジャックする」商品になるようにとの願いを込めた商品。森永製菓のキャラメル技術を生かした渾身(こんしん)の商品として、2014年5月に発売したものの売れず。今年1月に再起をかけてパッケージを一新して発売したものの、またも売れなかったそうです。
ホームページでは、理由はこう分析しています。「プロモーションのせいか、パッケージのせいか、どんなお菓子かが伝わりにくいネーミングのせいか、その全てのせいか……」
3度目となる今回は「次、売れなかったら終売」を条件に、「美味しいのに崖っぷち」と題したキャンペーンを展開しています。
ホームページには「これが3度目の発売、社内では本部長(一番えらい人)に最後のチャンスと囁(ささや)かれ、藁(わら)にもすがる思いです。いえ!決してあなたを藁呼ばわりしているわけではありません。絶対においしいので、一度だけでも食べてください」という開発者のコメントが載っています。
子猫が商品の袋に出たり入ったりするだけの動画「猫ジャック」や、小石を積み上げるようにJACKを積む動画「ジャックバランシング」など、商品紹介とは無関係と思えるコンテンツが盛りだくさんで、単なる自虐ネタにしては手が込んでいます。
そもそも、売れない商品をここまでしてPRする狙いとは何なのか? 開発担当者に聞きました。
――普通はすぐ終売になるなか、3度もチャンスを与えられた理由は
「JACKは、新商品開発の専任部署が発足して一番最初に発売となった商品で、未進出であった『素材菓子』(素材の味を生かしたお菓子)売り場に向けて発売した、新たな取り組みです。また、キャラメル作りの知見を生かし、3年以上の歳月をかけて開発した社内的にも期待の新商品でした」
――メーカーとして力の入った商品だから、ということですか
「それだけではありません。何より、過去2回の発売時に、ご購入頂いたお客様からの品質評価が大変高かったことから、3度目のチャンスをもらうことができました」
――在庫を抱えすぎたわけではないのですか
「そうではありません」
――「やけくそ」「崖っぷち」といった刺激的な言葉でキャンペーン展開されていますが、理由を教えて下さい
「JACKは、知名度不足や、分類があいまいで売り場が定まらない点、またポケット菓子としては単価が高い点から、トライアルの獲得が非常に難しい商品です。会社の優先順位からして、大きな広告予算は割けない中、過去2度の発売時には宣伝の波及効果が低く、市場への定着に至りませんでした。これがラストチャンスという状況の中、『崖っぷち』戦略に出たのは自然な流れでした」
――裏目に出る心配はありませんでしたか
「『当社都合の押しつけではないか』と心配する声も少なからずあったため、広告の表現を切り分けています。11月9日から東名阪地区の電車で中づり広告を実施しましたが、そちらではJACKのおいしさを森永の看板商品に語らせるという内容で、これが『表の顔』です。崖っぷちは『裏の顔』として、Webを中心としたPRに使っています」
「それでも、『崖っぷちお菓子』『やけくそ』などの表現は、刺激的すぎて不快感を与える懸念があったため、最後まで社内で議論が続きました。最終的には、多くの方に気にしていただき、一度だけでも、冷やかしでもいいので手に取っていただくための効果的なコミュニケーションであると考え決断しました。一度食べていただければ必ず商品の魅力が伝わり、再購入につながると信じているからこそとれた戦略です」
――今のところ、崖っぷちPRがネットを中心に話題になっています
「過去2回の発売では、なかなか商品の存在を知って頂くことができませんでした。今回このようなPRを行ったのも、一人でも多くのお客様に知って頂き、召し上がって頂くことが目的でしたので、大変うれしく感じています」
――今後の目標は
「大人向けの新しいナッツ菓子として、改廃の激しいコンビニエンスストアでの定番定着を目指します」
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