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IT・科学

人工知能、企業と大学が急接近 生データ欲しい研究室、最新技術活用

企業と大学が人工知能の分野で連携するケースが増えています。企業の持つ生データと、研究室の最新技術によって、新たなサービスが生まれています。

人工知能の活用を巡って大学と企業と連携する理由とは?
人工知能の活用を巡って大学と企業と連携する理由とは?

目次

 様々な分野で活用が進む人工知能。企業と大学が連携するケースが増えています。ユーザーの様々な不満を集める「不満買取センター」は、京都大の黒橋・河原研究室と一緒に入力されたコメントを効率的に仕分けるシステム作りに取り組んでいます。企業の持つ生データと、研究室の最新技術によって、新たなサービスが生まれています。

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不満集めデータ化、専門技術者が分析

 「不満買取センター」は、製品やサービスに対する不満を広く集め、分析したデータを企業に販売しています。2015年3月から買い取りサービスを本格的に展開。不満を1つ入力すると、必ず5円から25円支払われることから、月20万件の不満を集めるほどに成長しています。

 入力されたデータは、専門の技術者、データサイエンティストが分析。企業が利用しやすい形に整理してレポートとして販売します。顧客企業は、データを新商品の開発などに活用します。

【画像】不満がお金に替わるまでの仕組み
【画像】不満がお金に替わるまでの仕組み 出典:不満買取センター

「生データが魅力」

 「不満買取センター」10月、は京都大の黒橋・河原研究室と企業向けマーケティング支援サービスの共同開発を始めると発表しました。「不満買取センター」は研究室が開発を進めている精度の高い言語解析技術を使って、サービスの精度向上と作業の効率化を目指します。

 研究室にとってのメリットは何か。黒橋禎夫教授は「企業が集めた生のデータを扱えること」を挙げます。

 「不満買取センター」はこれまでに100万件以上の不満を集まていますります。研究室にとって、この生データは貴重な研究の資料になります。

 黒橋教授は「言語は、アーカイブ化された資料よりも、実際に使われているデータの方が大事。『不満買取センター』のような新しい会社は、事業にスピード感もあり、研究成果をすぐに実践投入できるのも魅力」と話します。

 成果はさっそく出ています。研究室が提案した分析方法によって、処理時間が10分の1に短縮された事例も出ているそうです。

「不満買取センター」と連携する京都大の黒橋禎夫教授
「不満買取センター」と連携する京都大の黒橋禎夫教授

東大研究室と専門子会社

 株式会社経営共創基盤(IGPI)は、人工知能(AI)の第一人者である東京大の松尾豊准教授と連携した、データ分析の専門子会社「株式会社IGPIビジネスアナリティクス&インテリジェンス」を10月に設立しました。

 IGPIでは、これまでも松尾准教授とともに、ビッグデータ解析やAIの技術を活用した支援を提供してきました。

東京大の松尾豊准教授が連携する株式会社経営共創基盤(IGPI)は専門子会社を設立した
東京大の松尾豊准教授が連携する株式会社経営共創基盤(IGPI)は専門子会社を設立した

 専門子会社の川上登福代表取締役CEOは「データを活用しようとする企業は確実に増えている。企業からは、自分たちが持っているデータを、経営にどう活用するべきかといった相談が多い」と説明しています。

 同社は、松尾准教授と一緒に、オンライン予備校の動画視聴データなどを分析し、個々の受験生に合った勉強方法を開発するなど、様々な共同研究を形にしてきました。今後は松尾准教授を「CAO(Chief Analytics Officer)」として迎え、より高度な分析を実現していく予定です。

 技術革新の早い情報処理やAIの分野。今後も、研究者と企業の連携は広がっていきそうです。

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