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話題

秀島ヒロノリさんからの取材リクエスト

これからでも楽勝で間に合う、手間を書けずに読書感想文を書く方法



読書感想文はなぜ嫌われる? 嫌でも書くなら、この攻略法!

読書感想文は必要か。本嫌いを生む元凶か、名作に出会える貴重なきっかけなのか。休みの終わりが近づき、慌てて書かなきゃいけない人はどうすれば?

読書感想文の書き方を大学生から教わる小学生
読書感想文の書き方を大学生から教わる小学生 出典: 朝日新聞

目次

取材リクエスト内容

これからでも楽勝で間に合う、手間を書けずに読書感想文を書く方法 秀島ヒロノリ

記者がお答えします!

 夏休みの悩みの種、読書感想文。お盆を過ぎると、宿題に目覚めた人たちから悲鳴が上がってきます。子どもの頃を思い出し、顔をしかめる人も少なくありません。果たして読書感想文は必要なのでしょうか。とはいっても、やらなきゃいけない人は、どう攻略すればいいのでしょうか?

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「教え方の下手な先生ほど宿題多い」

 夏休みの宿題をさぼった男児をタヌキ顔の教授が助ける「天小森教授、宿題ひきうけます」(1995年刊)の作者、野村一秋さんは、無類の読書感想文嫌いでした。

 「夏休みの宿題は、休暇中も学期中と同じように過ごさせるために編み出された余計なもの。教え方の下手な先生ほど、教室で面倒を見られない分、宿題を多く出すのだと信じていました」と語っています。

 作家になる前は小学校の先生だった野村さん。「読書感想文を必須にするから子どもが本嫌いになる」と同僚を説得し、感想文を出しても出さなくてもよいよう改めました。宿題をギリギリまで少なくする野村さんの方針は、議論を呼びます。「父母にはいたって不評でした。家庭訪問先で『もっと宿題を出して』と頼まれたこともあります」

 それでも、自発的に感想文を出した児童の中から全国最優秀作が生まれました。野村さんは、自分の宿題哲学の正しさをかみしめたそうです。

出典:pixta
夏休みの宿題をさぼった男児をタヌキ顔の教授が助ける「天小森教授、宿題ひきうけます」(1995年刊)で人気を集めた作家の野村一秋さん(57)に、宿題観を尋ねた。
2012年8月26日:(ザ・コラム)宿題の夏 たっ、助けてドラえも~ん 山中季広:朝日新聞紙面から
野村さん自身、子供時代は夏の宿題が重荷でならなかったそうだ。中でも読書感想文が苦痛だった。ある年、豊臣秀吉の薄い伝記を読むと、以後3年続けて夏ごとに似た感想文を書き上げた。担任が代わると、ばれないことに気付いたからだ。「夏休みの宿題は、休暇中も学期中と同じように過ごさせるために編み出された余計なもの。教え方の下手な先生ほど、教室で面倒を見られない分、宿題を多く出すのだと信じていました」
2012年8月26日:(ザ・コラム)宿題の夏 たっ、助けてドラえも~ん 山中季広:朝日新聞紙面から
長じて小学校の先生になった野村さんはその信念を実践する。宿題をギリギリまで少なくしたのだ。「父母にはいたって不評でした。家庭訪問先で『もっと宿題を出して』と頼まれたこともあります」作家として独立するまで、教壇には20年立った。「読書感想文を必須にするから子供が本嫌いになる」と同僚を説得し、感想文を出しても出さなくてもよいよう改めた。自発的に感想文を出した児童の中から全国最優秀作が出た年、わが宿題哲学の正しさをかみしめたと語る。
2012年8月26日:(ザ・コラム)宿題の夏 たっ、助けてドラえも~ん 山中季広:朝日新聞紙面から

「タイトル読んだだけでもいい」

 同じ作品を何百回も読み、続編を書いてしまった作家もいます。作家の奥泉光さんは、「吾輩は猫である」の大ファンで、小学5年から中学3年まで5年連続で、この作品を読書感想文の題材にしました。作家デビュー後も、作品の「その後」を描いた小説『「吾輩は猫である」殺人事件』(新潮文庫・絶版、電子書籍版あり)を出したほど。「もう何百回読んだことか。いまだに繰り返し読んでいる」と語っています。

 奥泉さんが考える「読む」という行為は、「作品との関係を結ぶ」こと。「音楽や絵画で自分が気になる部分があれば、そこだけをじっくり聞いたり見たりする。読書も同じ」。だから「タイトルを読んだだけで『読んだ』ことにしたっていい。とりあえずその作品との関係は始まっているんだから」と説いています。

夏目漱石「吾輩は猫である」の初版本
夏目漱石「吾輩は猫である」の初版本
『吾輩は猫である』の大ファンで、小学5年から中学3年まで5年連続で同作品を読書感想文の題材にした。作家デビュー後も、同作品の「その後」を描いた小説『「吾輩は猫である」殺人事件』(新潮文庫・絶版、電子書籍版あり)を出したほどだ。「もう何百回読んだことか。いまだに繰り返し読んでいる」
2015年4月26日:(作家LIVE)奥泉光さん 「孤独」を刻む漱石作品 「正しい読み方なんてない」:朝日新聞紙面から
奥泉さんが考える「読む」という行為は、「作品との関係を結ぶ」こと。「音楽や絵画で自分が気になる部分があれば、そこだけをじっくり聞いたり見たりする。読書も同じ」。だから「タイトルを読んだだけで『読んだ』ことにしたっていい。とりあえずその作品との関係は始まっているんだから」と語る。
2015年4月26日:(作家LIVE)奥泉光さん 「孤独」を刻む漱石作品 「正しい読み方なんてない」:朝日新聞紙面から

賛成派「本好きになる機会」 反対派「読書カードで十分」

 読書感想文を書く意味は何か。朝日新聞に寄せられた投書などをまとめると、以下のような「感想」が多いようです。

【賛成派】
本好きになる機会
普段読めない作品に触れられる
感想文を書きながらの親子が交流できる

【反対派】
感想文があることで教訓的な本を読む羽目に
本は読みたくて読むもの
読書カードで十分

出典:pixta
■低学年から読書の機会を 最近の子はあまり本を読まない。漢字の書き取り、読み方に間違いが多く、社会人になっても慣用句や四字熟語の使い方にがっかりすることがしばしばだ。「今からでも遅くない。本を読め。新聞を読め」といっても、「いまは携帯でことが足りる」の一点張り。低学年のうちに読書にかかわる時間を多く持たせるためにも、課題にしてほしい。(千葉県、40代女性)

■普段読めない作品に触れて 宿題だからと手に取ってみると、案外おもしろい本もある。その機会をなくすのはもったいない。ただ、先生も○(マル)を付けるだけではなく、ちゃんと感想文に対して意見を書いてほしい。(千葉県、10代女性)

■遊びの中で必ず一冊 好きではなかったが、夏休みに本を必ず一冊読まなければならないのはよかった。母と選んだ思い出、感想文を書きながらの親子の会話……、意見を書く大切さもわかるし、発表し合えば他人の意見を聞くことも学べる。(神奈川県、30代女性)
2009年8月15日:(Say!Yes!No!)読書感想文は宿題に必要?:朝日新聞紙面から
■教訓的な本読む羽目に 読書感想文は子どもを本嫌いにする。体裁のいい文章を読むのもうんざり。夏休みこそ、あらゆるジャンルの本をたくさん読むいい機会なのに、感想文があることで教訓的な本を読む羽目になる。そんな夏は楽しくない。どうしても感想文を書かせたいなら、漫画を読ませてはどうか。漫画嫌いになるかもしれない。(神奈川県、40代女性)

■本は読みたくて読むもの 子どもは、本を読まされていると感じるでしょう。それで、読書が本当に楽しくなりますか? 本は読みたいから読むのであって、読まされて読むのでは嫌いになります。(茨城県、60代男性)
 
■高度な技術教えず丸投げ 読書カードと自由作文で十分。読書感想文は本来非常に高度な技術が必要。読み、感じ取り、自分の考えを筋道を立てて考えなくてはならない。それらのテクニックをろくに教えもせず、家庭教育に丸投げするのは、大変な負担を強いることになる。(東京都、40代女性)
2009年8月15日:(Say!Yes!No!)読書感想文は宿題に必要?:朝日新聞紙面から

それでも書かなきゃいけない人は…

 それでも、目前の宿題を終わらせなければならない人がいるのも事実。作文指導のプロ・宮川俊彦さんがすすめるのが、「な・た・も・だ」の考え方です。「なぜなら」「たとえば」「もしも」「だから」の順に文章を書いて、最後に自分の意見をはっきりと記すと、書き始めやすくなるそうです。

 物語の主人公を現代の自分に置き換える方法もあります。「この場面でハリー・ポッターだったら」「浦島太郎なら」と考える練習をすると効果的です。また、「白雪姫とシンデレラに見る『幸せ』とは」のように、2~3冊を合わせて読み解くテクニックもあります。

出典:pixta
物語の主人公を現代の自分に置き換える方法もある。自分自身を客観的にとらえられるようになると、表現方法が広がる。「この場面でハリー・ポッターだったら」「浦島太郎なら」と考える練習をするといい。文の書き分け方の練習になる。1冊を徹底して読むのが基本だけれど、「白雪姫とシンデレラに見る『幸せ』とは」のように、2、3冊を合わせて読み解いてもいい。
2012年7月28日:読書感想文、楽しんで攻略 作文プロがコツ伝授 子どもの本棚・夏休み特集:朝日新聞紙面から

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