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中国・火焔山の「灼熱観光」 西遊記の舞台、気温49度を逆手にPR
中国で最も暑いトルファン地域は、平気に45、46度に達する暑さと『西遊記』に出てくる火焔山の物語を組み合わせたPRに力を入れています。
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中国で最も暑いトルファン地域は、平気に45、46度に達する暑さと『西遊記』に出てくる火焔山の物語を組み合わせたPRに力を入れています。
35度を超える猛暑日が続く日本。39度や40度、高温記録を競うような気温も各地で記録されています。一方、世界には桁違いの暑さを観光に取り入れている場所もあります。中国で最も暑いトルファン地域は、平気に45、46度に達する暑さと『西遊記』に出てくる火焔山の物語を組み合わせたPRに力を入れています。
トルファンは漢字表記で「吐魯番」で、新疆ウイグル自治区にあります。歴史上では「車師」「高昌」などの国名を持ち、重要なシルクロードの要塞都市の一つでした。2009年時点でのデータによると、面積は約7万平方キロメートルで、人口は61万人ほどです。
天山山脈東部の盆地で、中国では最も暑い地域にあたります。1975年7月13日には、49.6℃の最高記録を出し、地表温度は82.6℃に達しました。夏のお昼の平均気温は40℃を超え、砂で「ゆでたまご」、岩では「焼きナン」もできます。ゆえに、トルファンは「火洲」とも呼ばれています。
猛暑をしのぐため夏季のお昼の休憩時間は午後1時から午後4時の3時間をとるところが少なくありません。
トルファンで最も有名なのは「火焔山」です。砂岩が侵食してできあがった赤い地肌には、炎を思わせる模様があるため、火焔山という名前がつきました。『西遊記』の舞台でもあり、中国では知らない人がいないほど有名です。
『西遊記』によると、かつて孫悟空は仙人の太上老君が、薬を作るために使う八卦炉を天宮から蹴り飛ばし、その一部がトルファンに落ちてしまい、火焔山になりました。その時、燃えあがった炎が、三蔵法師一行を足止めします。炎を消すために、孫悟空は羅刹女(中国語:鉄扇公主)の芭蕉扇を借りることに成功。芭蕉扇によって炎は消され、三蔵法師一行は西へ向かったのです。
この物語のおかげで、火焔山はトルファン旅行の目玉の一つになりました。『西遊記』ゆかりの建造物も少なくありません。例えば三蔵法師の師弟四人の像や、羅刹女(鉄扇公主)、牛魔王の像が建てられています。そして、目玉は巨大な金の延べ棒状の温度計です。温度計は直径0.65メートル、高さ12メートルで、世界最大の温度計としてギネス世界記録に登録されています。
火焔山地域は「火洲のなかの火洲」と呼ばれ、地面温度はしばしば70度近くになり、「ステーキのミディアムになった」と驚く旅行者もいるほどです。
観光局は「火焔山はとても神秘的なところ。中国で最も暑い街が、情熱をもって観光客を迎えます」とアピールしています。
「暑さ」を新しいビジネスチャンスとしてとらえるトルファンは、激しい温度差を利用した葡萄栽培も盛んで、1990年から毎年8月20日には「シルクロード葡萄フェスティバル」を開いています。
また、豊富な天然資源があり、新疆ウイグル自治区の県庁所在地のウルムチと経済的な連携を強めています。最近では、強い日差しを利用した太陽光発電などの、エネルギー産業への期待も高まっています。
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