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反骨アイドル、制服向上委員会とは何者か? 自民も民主も、ばっさり
7月に「日本外国特派員協会」で記者会見を開いた制服向上委員会。政治的メッセージを控える日本の芸能界では異色の存在として活動しています。
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7月に「日本外国特派員協会」で記者会見を開いた制服向上委員会。政治的メッセージを控える日本の芸能界では異色の存在として活動しています。
アイドルグループとして7月に「日本外国特派員協会」で記者会見を開いた制服向上委員会。政治的メッセージを控える日本の芸能界では異色の存在です。6月には神奈川県大和市のイベントで「自民党を倒しましょう」と訴え、市が後援を取り消す騒ぎに。アイドル冬の時代に生まれたグループは、結成以来、メンバー交代をしながら「メッセージを歌うアイドル」として活動を続けています。
制服向上委員会は1992年に結成されました。1993年にはCDデビューを果たします。当時は、AKB48グループなどが人気の今と違ってアイドル冬の時代と言われていました。そんな中、セットが何もない舞台で「清く正しく美しく」などの持ち歌や唱歌を制服姿で歌うという、文化祭的なノリが新鮮に受け止められ、コアなファンを増やしました。
デビュー時から「制服宣言」として「夜遊びはしません」「私たちはメッセージを歌うアイドルです」などと宣言。北海道南西沖地震の被害者救援バザーなど、ステージ外での活動にも力を入れてきました。
制服向上委員会の名前を一躍有名にさせたのは、2011年の東日本大震災による原発事故でした。民主党政権時代には「野田はダメ、枝野ダメ」と訴えました。メンバーの橋本美香さんは、2011年10月のインタビューで「アイドルが政治的な発言をしてはいけないことはない。ただのお人形さんと言われるより、私は好きです」と語っています。
作家の大江健三郎さんらが呼びかけ、2011年9月に東京で開かれた脱原発集会では、「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」を披露しました。橋本さんは「自分たちの未来に関わる問題だから、きちんと声をあげなければいけません。このCD1枚千円のうち、300円を福島の酪農家支援金に充てています。電車の中づりなどポスターの掲示はほとんど断られ、イベントでも歌わないでと言われることもある」と明かしています。
「芸能界とか歌手とか言う以前に『これはおかしい』」という感覚を大事にしたい。10代のメンバーたちも原発について話し合ってきました。子供が首を突っ込まなくていいとは思わない。重荷を背負っていくのは若者です」
2015年6月には、神奈川県大和市が後援した「憲法九条やまとの会」で「自民党を倒しましょう」「諸悪の根源、自民党」と歌いました。市では、これが「特定の政党、宗教、政治団体の活動に関係するものでない」とする後援のルールに反すると判断し、後援を取り消しました。
イベントには約300人が参加していました。主催した九条の会は「後援の取り消しは納得できない。プロ歌手の歌詞まで制限できない」と反発しています。
2015年7月28日には、「日本外国特派員協会」で記者会見を開きました。「日本外国特派員協会」は、主要政党の代表や、映画監督の宮崎駿さんら国内外の著名人が会見を主催し、海外に発信をしています。
登場したのはパステルカラーのセーラー服の女子高生ら5人。普段とは様子の違う会見でしたが、特派員たちからはベトナム反戦を歌ったボブ・ディランを例に「日本のポップス界を変えようとしているのか」と質問をぶつけました。
メンバーの西野莉奈さん(15)は目をぱっちりさせ、アイドルスマイルでこう答えました。
「メッセージが入っていない歌はない。私たちは思っていることを歌詞にして歌っています」
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