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「新婚さんいらっしゃい!」ギネス記録 桂文枝の素晴らしきマンネリ

桂文枝さん司会のバラエティー番組「新婚さんいらっしゃい!」が、同一司会者によるテレビトーク番組の最長放送としてギネス世界記録に認定されました。棒読みのカップルとの掛け合いやイス落ちリアクションなど、反感を買わない偉大なマンネリが長寿番組の秘訣のようです。

「新婚さんいらっしゃい!」の歩みを振り返る桂文枝さん(左)と山瀬まみさん
「新婚さんいらっしゃい!」の歩みを振り返る桂文枝さん(左)と山瀬まみさん 出典: 朝日新聞

 落語家の桂文枝さんが司会を務める人気バラエティー番組「新婚さんいらっしゃい!」が2日、ギネス世界記録に認定されました。6月7日放送までの44年127日が、同一司会者によるテレビトーク番組としての最長記録となりました。棒読みのカップルとの掛け合いや文枝さんのイス落ちリアクションなど、反感を買わない偉大なマンネリが長寿番組の秘訣のようです。

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山瀬まみはパートナー7代目

 「新婚さんいらっしゃい!」(テレビ朝日・朝日放送系)は、1971年1月31日に初放送。当初5カ月間は「嘆きのボイン」がヒットしていた月亭可朝さんと、江美早苗さん、桂文枝さん(当時は「三枝」)の3人司会でした。
 サブ的な位置付けだった文枝さんは、可朝さんの参院選立候補でメーンに。パートナーは、現在の山瀬まみさんで7代目になります。過去には梓みちよさん、ジョーン・シェパードさん、片平なぎささん、岡本夏生さん、渡辺美奈代さんが務めました。
 番組名の「いらっしゃい!」は、以前から文枝さんがやっていたギャグから名付けられたといいます。

番組開始当初のメーン司会者だった月亭可朝さん=2010年11月27日
番組開始当初のメーン司会者だった月亭可朝さん=2010年11月27日 出典: 朝日新聞

婚前交渉・できちゃった婚…時代を反映

 番組開始当初、新婚夫婦の住まいは多くが文化住宅。「風呂の有無」が話題の中心でした。
 75年ごろには「婚前交渉」、85年ごろから「できちゃった婚」が当たり前になっていきます。
 21世紀に入り、夫婦別姓・別居・別墓が信条のカップルや子連れの再婚同士、「バツ5」の人などが登場するようになりました。
 浮気を疑う妻が夫のメールを勝手にのぞくなど、語られるエピソードも時代の移り変わりを映してきました。

2代目パートナーの梓みちよさん
2代目パートナーの梓みちよさん 出典: 朝日新聞

一貫して変わらないスタイル

 ただ、放送開始から44年もの間、新婚夫婦ののろけや失敗談などを聞くという基本スタイルは一貫して変わりません。
 1回の放送には2組が出演し、1組は約9分間。文枝さんの質問に促され、夫婦の赤裸々なエピソードが暴露されます。
 2002年には、1978年に出演したカップルの娘夫婦が親子2代での出演を果たすなど、長寿番組ならではの話題もありました。

4代目パートナーの片平なぎささん
4代目パートナーの片平なぎささん 出典: 朝日新聞

「人形さながらの棒読み」がポイント

 このようにシンプルな作りの番組が、飽きられずに続く理由はどこにあるのでしょう。
 コラムニストの丸山タケシさんは、出演カップルの「人形さながらの棒読み」がポイントだと語っています(11年1月21日付朝日新聞)。
 文枝さんの質問に、抑揚の一切ない調子で、ためらいなく大声で答える場面をよく見ます。それが性生活の話題でも、「昼間からそんな話を口にしてもいやらしく感じない。朴訥さや不器用さがあるが故に、視聴者の反感を買わず、おかしみすら醸し出せているのでしょう」(丸山さん)。
 また、最近の番組では当たり前になった会話のテロップ(字幕)を入れることもなく、ツッコミ代わりにイスからこける文枝さんのパフォーマンスが、カップルの仰天発言の締めの「お約束」です。
 丸山さんは「少子化でテレビ視聴者が年々高齢化する中、この番組が持つ『懐かしさ』や『不変』に引きつけられている」と分析しています。

5代目パートナーの岡本夏生さん(右)による収録風景=1994年9月6日
5代目パートナーの岡本夏生さん(右)による収録風景=1994年9月6日 出典: 朝日新聞

文枝の派手なリアクション芸

 出演カップルのエピソードは、スタッフがオーディションや面談で掘り起こしますが、本番では普段の言葉で、自由に話してもらう雰囲気作りに努めているそうです。
 しかし、うまく夫婦をのせてトークを盛り上げられるかどうかは、聞き手の文枝さんの腕にかかっています。新婚さんのあきれた話に、イスを蹴ったり、靴を投げたり――。文枝さんの派手なリアクションがさらに笑いを誘います。
 文枝さんは収録の醍醐味をこう語っています。
 「ディレクターが思っている夫婦の面白さを出してやろうという気持ちはあります。まあ長年やってきて、収録時に新婚さんに会うとだいたいこういう人やなとわかるようになってきましたし。でも、パターン通りの展開にならないところが面白い。こけるしかないときもあります」

6代目パートナーの渡辺美奈代さん
6代目パートナーの渡辺美奈代さん 出典: 朝日新聞

「こけるのが怖いときもあった」

 ギネス世界記録の認定証を2日に手渡された文枝さんは、体調が優れなかった一時期に「こけるのが怖いときもあった」と苦労を打ち明けました。
 それでも、「嫁さんに『こんなんで死んだ人はおれへん』と言われて、それからは思い切ってできるようになった」と裏話を披露。「司会者が代わっても続いてもらいたい」と番組への愛着を語っています。

7代目パートナーの山瀬まみさん(右)と桂文枝さん=2006年4月27日
7代目パートナーの山瀬まみさん(右)と桂文枝さん=2006年4月27日 出典: 朝日新聞

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