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名古屋の“ゴミ屋敷”がすごいことに 家主男性「電子手帳探してる」
名古屋で話題の「ごみ屋敷」がすごいことになってます。
名古屋で話題の「ゴミ屋敷」。今月初めに地元のテレビで放送され、全国向けのワイドショーでも連日取り上げられました。その結果、すっかり「名所」になってしまい、やじ馬が絶えない事態に。渦中の家主の男性は“サービス精神”が旺盛なようで、訪れた人と記念撮影したり、雑談をしたり。なぜゴミを片付けないのか、現場に通って本人に取材しました。
騒動の勃発から約3週間。12日から「現場」に通い続けている記者がメモを読み返してみると……。
14日 テレビ局の取材に終日、対応
18日 久しぶりに訪れた友人と再会
23日 見物に訪れた愛知県内の子連れ女性らと談笑
26日になるとさすがに見物客も少なくなってきたが、それでも足を運ぶと誰かがいる。そして、そこには必ずその家主の男性がいる。
家主は取材に対して雄弁だ。質問をすれば、「ゴミではない。金属は売ればお金になる」「片付けるつもりではいる。捨てられない物もあるので片付けは自分でやりたい」「自分は捨てられない性格」などと答える。
公道である歩道にあふれたゴミを、家主が撤去すれば騒動は一段落する。だがいまだ解決されず、ゴミは住宅とその周囲に山を築いている。
ゴミの撤去を呼びかけている名古屋市の担当者は「マスコミが騒いでいるうちは、次の一手も打ちづらい」と話す。
記者が「次の一手とは(行政が強制的に介入してゴミを処分する)強制執行か?」と問うと、「強制執行も含めての次の一手。ただ、強制執行は相手との信頼関係を崩してしまうし、片付けても再びごみを持ってこられたらどうしようもない」と答える。
今月半ばに台風が近づいた時、市はゴミが吹き飛ばされるのをおそれて、ゴミを一時的に預かっている。それについては「ゴミも相手の財産なので、預かっていることは法的にはグレーゾーン。あまり大きく報道しないでほしい・・・」とこぼす。
住宅前の道路の反対側には新たにゴミが増えつつある。「整理するための仮置きとして市が黙認している」と家主は話すが、市は「黙認していない。一日たってなくなっているようなら話は別だが、何日も放置されている」としている。
連日の騒動ではテレビ局のリポーターが男性に呼びかけて、一緒に片付けを始めそうになる場面も見られた。
家主には市側から、道路に物を置いていることの説明を求める「弁明通知書」が渡された。家主にどう対応するのか問うと、「もちろん片付ける。ただ、いまは『捜し物』が見つからない」。捜し物とは、電子手帳などだと言うのだが・・・。
弁明の期限は今月29日。市の担当者は「不利益処分を与える時には弁明の機会を与えなければいけないと法律で決まっている。次は撤去命令を出し、それでも撤去しない場合、いくつかの段階は踏むが(強制的に)代執行することになる」と話す。
(朝日新聞名古屋報道センター 三上元)