話題
パクチ子さんからの取材リクエスト
横浜の住宅街に「樹海」 入り組んだ道路、謎のロータリーの正体は?
横浜の住宅街に「樹海」 入り組んだ道路、謎のロータリー
横浜市の菊名駅のある一帯が「樹海」と呼ばれているらしい…。入り組んだ道路、駅もないのにロータリーも。なぜ、こんなことになったのでしょうか?
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横浜の住宅街に「樹海」 入り組んだ道路、謎のロータリーの正体は?
横浜市の菊名駅のある一帯が「樹海」と呼ばれているらしい…。入り組んだ道路、駅もないのにロータリーも。なぜ、こんなことになったのでしょうか?
菊名駅から少し歩いたところにある綿ヶ丘周辺は、一方通行&細い道が入り組んでおり、一部住民の間では”樹海”と呼ばれています。中心にロータリーがあり、そこから放射状に道路が延びているのですが、綿ヶ丘の外に通じている道は非常に少ないので、知らない人が迷い込んだら脱出は困難だとか。。。なぜこんな複雑な形状になったのか知りたいです! パクチ子
横浜市の菊名駅の近くの住宅地「綿が丘」に突如、現れるロータリー。普通、ロータリーと言えば駅前にあるはずでは? 周りは一方通行の入り組んだエリアで「樹海」と呼ばれているらしい……。一体、どんな経緯で、こんな街になったのでしょうか?
東急東横線とJR横浜線が通る菊名駅。にぎやかな駅前から10分弱歩いたところに、そのロータリーはあります。周りには、理容室や洋服屋、不動産屋などが立ち並ぶ閑静な住宅街といった雰囲気です。
このロータリー、駅から約300メートル離れた場所にあります。一番近い踏切からも60メートルほどあります。駅から歩いていくと、突然、ロータリーが現れる感じです。よくある駅前のロータリーのイメージとは、かなり違います。
なぜこんな所にロータリーができたのか。それは、東急東横線と関係があるようです。通常、鉄道の沿線は鉄道会社によって宅地などに造成され売り出されます。菊名駅が1926年にできる際も、周辺は線路に合わせて開発が進みました。
当時の詳しい資料が残っていないため正確な経緯は不明ですが、横浜市港北区によると、ロータリーも駅の建設に合わせて造られた可能性が高いそうです。
横浜市の歴史に詳しい公益財団法人大倉精神文化研究所の平井誠二研究部長によると、東急東横線が作られる際には、複数の案から現在のルートが選ばれたそうです。平井さんは「ロータリーは、何らかの事情で没になった計画に合わせて造られたのかもしれません」と話します。
では、ロータリー周辺が「樹海」と呼ばれるほど複雑な街並みになっているのはなぜか。平井さんによると、菊名駅の地形に関係があるようです。「菊名駅は3方を山に囲まれた場所にあります。谷底の斜面が宅地として開発されたので、道路を造るのにも制約が多かったのではないでしょうか」と話します。
実際、一帯を歩いてみると、ロータリーからは同じような風景の坂道が伸びています。放射状の道路同士を結ぶ道が、外から来た人間にはわかりにくく、入る道を間違えると、まさに「樹海」に迷い込むような錯覚も……。
JRと東急東横線が直角に交わる地域に宅地を開発したため、線路の位置が与えた影響も大きかったようです。他のエリアに比べて、広い道路が造りにくかったという事情もあったのではないでしょうか。
港北区役所によると一帯は大規模な区画整理がなかったエリアだそうです。そのこともあって、昔のままの道路が残っているのかもしれません。
ロータリーの植え込みはきれいに手入れがされ、近くには「ロータリー」の名前がつくアパートも。昼下がりの一帯は、お年寄りが散歩する姿がちらほら見えます。すっかり街に溶け込んだロータリー周辺には、穏やかな時間が流れていました。