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水木一郎、ウィキ90カ国以上に登場する男 道徳教科書にもデビュー
世界90カ国語以上のウィキペディアに登場する水木一郎さん。アニソンの帝王は、今度、道徳の教科書にもデビューします。
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世界90カ国語以上のウィキペディアに登場する水木一郎さん。アニソンの帝王は、今度、道徳の教科書にもデビューします。
世界90カ国語以上のウィキペディアに登場する日本人歌手がいます。アニメ主題歌(アニソン)の帝王、水木一郎さんです。持ち歌は1200曲。フランスや中国などこれまで世界7カ国9都市で公演。英公共放送BBCの独占インタビューも受けたという、「世界一有名な日本人歌手」です。今度は道徳の教科書にもデビューします。
水木さんは、1968年、「君にささげる僕の歌」で日本コロムビアからデビュー。先輩歌手の舟木一夫さんにあやかり、舟には水、夫ではなく郎に、という理由で水木一郎になりました。
しかし、デビュー後は鳴かず飛ばずでした。レコードキャンペーンのサイン会場。各社の歌手の前は列ができましたが、水木さんの前には誰も並ばなかったそうです。やっと並んでくれた1人から言われたのは「個性がない。あなたは無個性人間だから駄目なのよ」でした。
転機は1971年、石森章太郎(当時)原作のアニメ「原始少年リュウ」のオープニング曲の仕事が舞い込みました。テレビに顔は出ない。名前だけ。しかも「漫画の歌」という理由だけでレコード店の片隅に追いやられ、ヒットチャートでもランク外扱い。それでも、水木さんは引き受けました。
「プロの歌手でもみんな恥ずかしがって歌おうとはしなかった。でも子どもたちに夢を与えられる。『無個性』を逆手に取って漫画の主人公になりきろうと気持ちを切り替えた」
その後は、仮面ライダーショーの「司会兼歌のおにいさん」として全国のデパート屋上を巡業して回った時期もありました。ミカン箱の上で歌ったことも。そんな無名時代の水木さんを、レコード会社の先輩で後にピンク・レディーや小泉今日子、SMAPなど時代を彩った歌手をヒットさせたエイベックス・エンタテインメント顧問の飯田久彦さんは、こう評価します。
「どんなジャンルでも挑むのがプロの歌手。『アニソンの帝王』と呼ばれるようになったのも、こうした地道な草の根活動があったからだ」
マジンガーZ、バビル2世、超人バロム・1、侍ジャイアンツなど、次々とアニソンのレコーディングをこなしていき、いつかしか帝王と呼ばれるほどになっていきました。
1997年、大人向けアニソンライブを旗揚げします。1999年には、24時間1000曲ライブを達成。そして2001年に、香港で初の海外ライブを成功させます。2007年には、パリの「JAPAN EXPO」でオープニングライブを務めるなど、活動の舞台は世界にも広がりました。
海外のコンサートでは「Z」を「ゼット」と発音しない国でも、「ゼーーーット!」の歓声が沸き起こります。日本では親子3世代のファンが「アニキ~」と叫びます。
4月1日、ツイッターに「『どうとく』の教材に登場だゼーット!」と投稿しました。「マジ?」「エープリルフールかと思った」などと反響が広がりました。2015年度の小学3年用道徳教材「3年生のどうとく」(文渓堂)。「個性を伸ばす」というテーマで紹介されたのです。
「子どもたちが何かを考えるきっかけになればうれしい」
苦労を乗り越え、努力を重ねた水木さん。今日もツイッターで「ゼーット!」と叫んでいます。