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2015年03月29日

『ぐりとぐら』の作者が語る子育て論 「スマホではなく子ども見て」

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「ぐりとぐら」の作者・中川李枝子さん

「ぐりとぐら」の作者・中川李枝子さん

出典: 朝日新聞デジタル


 1963年の登場以来、半世紀にわたって子どもたちに大人気の絵本「ぐりとぐら」。シリーズの累計発行部数は2400万部を超えました。その作者で元保育士の中川李枝子さん(79)が、子育ての秘訣を語ってくれました。

「保育士をしなければ、『ぐりとぐら』は生まれなかった」と話す中川李枝子さん=東京都

「保育士をしなければ、『ぐりとぐら』は生まれなかった」と話す中川李枝子さん=東京都

出典:朝日新聞デジタル

 20歳から17年、保育士をしました。そのころは「日本一の保育士になる!」って高きを目指していたのよ。だから、「求む主任保母」の募集に、飛びついたの。だって、20歳の若さで主任になれることなんてめったにないでしょう。

 それが、みどり保育園でした。認可外の園で、広い公園の片隅にバラックがあって。私、一目で気に入ったのよ。

 園長には「保育以外はなにもしなくていいから、子どもたちが全員、毎日喜んで来る保育をしてください」って言われました。この注文は厳しいものでした。

 あの時代の子どもはたくましかった。新米の私じゃ太刀打ちできない。だから、まずは子どもをじっくり観察したの。わかったのは、子どもは遊ぶ、ありったけの工夫で遊ぶ、ということ。そこでたいせつなのは想像力と創造力。これがないと自己主張できず、まわりをひっぱれない。想像力を育むにはお話がたいせつだと気づきました。

 「ぐりとぐら」も、この保育園でのできごとからうまれたお話です。子どもたちはホットケーキがでてくる絵本が大好きで、あるときごちそうしたら大喜び。1人に小さな1枚のそのまた半分だけなのに。もっといいものを、たくさん食べさせてあげたい。そうだ、カステラだ! それも大きな! カステラは高級品で現実には難しい。でも、お話なら想像力があればいい。大きなカステラと対比したくて、小さなネズミが主人公になりました。

 お話づくりで意識しているのは、びっくりさせることと、最後は「よかったね」で終わること。子どもたちを驚かせるのは大好きだし、子どもの笑い顔がみたいから。この気持ちって、「今日は何して遊ぼうかな?」と保育のことをわくわく考えるのと同じです。

 あの17年間は私の財産です。ただ、そこでわかったことは、保育士がどんなに一生懸命でも、子どもは理屈ぬきでお母さんが大好き、ということ。子育て中のお母さん、今のあなたはどれだけ幸せか。子どもの要求は「抱いて。おろして。ほっといて」と変わっていきます。幼児期はしっかりと、抱いてあげてほしいとおもいます。

 「ぐりとぐら」を書いてからずいぶんたち、子育て環境は変わりました。子どもは自然の呼びかけにこたえて遊ぶものだけれど、今は野原が減ってしまって。

 とはいえ、子育ての本質はそう変わるものではないはず。たいせつなのは、人と人としてのつながり。一番いやなのは子どもへの無関心です。

 乳母車を押しながらスマホをみているお母さん、ぜひ画面ではなく、子どもをみてあげてください。

    ◇

 なかがわりえこ 1935年、札幌市生まれ。「ぐりとぐら」シリーズ(福音館書店)作者。絵は妹の画家・山脇百合子さんが担当した。


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