お金と仕事
「富士山グラス」飲みもの次第で七変化 一品ずつ職人が手作り
グラスの底に立体的な富士山をかたどった「Fujiグラス」が人気です。注ぐ飲みもの次第で表情を変えるのが魅力で、中国版ツイッター「微博」がきっかけで人気になりました。
お金と仕事
グラスの底に立体的な富士山をかたどった「Fujiグラス」が人気です。注ぐ飲みもの次第で表情を変えるのが魅力で、中国版ツイッター「微博」がきっかけで人気になりました。
グラスの底に立体的な富士山をかたどった「Fujiグラス」が人気です。注ぐ飲みもの次第で、見慣れた青から葛飾北斎も描いた「赤富士」まで表情を変えるのが魅力ですが、注文しても届くのは2カ月以上先です。人気に火がついたきっかけは、中国版ツイッター「微博(ウェイポー)」でした。
Fujiグラスを作っているのは東京都江戸川区にある「田島硝子」。1956年創業の小さな会社で、経産省から伝統的工芸品に指定された「江戸硝子」などを職人が手作りしています。Fujiグラスは今年1月の「おみやげグランプリ2015」(観光庁後援)で観光庁長官賞を受賞しました。
実は、富士山をモチーフにしたのは今回が3作目。2013年にホテルから委託を受けてOEM(相手先ブランドによる生産)供給した「富士山宝永グラス」が始まりでした。底から飲み口にかけて次第に細くなっていく形が富士山をイメージさせる商品です。翌年には、ひっくり返すと富士山の形になる祝盃を発売。それぞれ1万個以上売れた人気商品です。
そして、「これが最後」と開発したのがFujiグラス。今度は日常使いできる商品をつくろうとグラスに。「型吹き」と呼ばれる技法で、熔解炉で溶かしたガラスを、吹き竿に巻き取って型に入れ、息を吹き込んで成形します。
底の部分は富士山の形をしたくぼみを付けるため厚く、唇に触れる部分は口当たりをよくするために薄くする必要があります。ところが一品ずつ手作りなので、巻き取るガラスの量や息を吹き込む加減などが難しいといいます。それもあって、作れる数は1日300個が限界だそうです。
田島硝子の商品は百貨店での販売が中心ですが、洋食器などを取り扱う会社のネット通販でも一部販売されています。今年2月の発売直後、この商品画像が中国版ツイッター「微博」で広がり、「富士山のグラスはどこで買えるのか」「まとめて買ったら安くなるのか」といった問い合わせが寄せられるようになりました。そして、3月には日本のテレビ局が情報番組で取り上げ、注文が殺到したそうです。
代表取締役の田島大輔さん(39)はこう話します。「伝統工芸というと年配の人にしか興味を持っていただけないことが多いです。でも、うちはワイングラスなど日用品が中心の会社なんです。だからこそ、手作りで面白いものをつくって手にとってもらいたい、次の世代の人に伝えていきたいんです。Fujiグラスがそのきっかけになればと思います」
Fujiグラスはロックグラスとタンブラーの2種類があり、価格はそれぞれ税込み5400円。