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いじめ漫画に女子が夢中 「ブス顔」「死ねばいい」生々しい描写
少女漫画雑誌「ちゃおデラックス」で連載中の五十嵐かおるさんの「いじめ」シリーズが小学生女子に人気です。コミックなど計230万部のヒットに。何が夢中にさせるのでしょうか。
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少女漫画雑誌「ちゃおデラックス」で連載中の五十嵐かおるさんの「いじめ」シリーズが小学生女子に人気です。コミックなど計230万部のヒットに。何が夢中にさせるのでしょうか。
「あんたなんか死ねばいいのに」「あんたのブス顔見てたらイライラしちゃってさ」
心をえぐるような言葉・便器に浮かぶ上履き・頭から生ゴミをかけるシーン…。
隔月刊少女漫画雑誌「ちゃおデラックス」(小学館)で連載されている五十嵐かおるさんの漫画「いじめ」シリーズが小学生女子に人気です。2005年に読み切り連載としてスタートし、これまでに出版されたコミック10冊・小説10冊(3月に新刊予定)は計230万部に。何が夢中にさせるのでしょうか。
よく読むという都内の小学4年生女子たちに聞いてみました。
「いじめって、こういうものって分かるから」
「自分がされた時にどうすればいいか知るため」
「最後に悪い子が叱られたり、退学させられたりするからスカッとする」
ちゃお編集部によると「多くの子は、いつか自分がいじめに巻き込まれたら…と『教科書』的なものとして読んでいるようです」。
いじめをまねようとする子はいないのでしょうか。
担当編集者は「そうならないよう、あおらない、えぐいシーンを書き込むことはしない、子どもの傷が大きくならないように表現に配慮しています」と話します。親からのクレームも全くないそうです。
いじめに関するニュースや教育関係者から聞いた話などを集め、物語を練るそうです。作品には「いじめを受けても一人じゃないんだよ」というメッセージが込められており、いじめを経験した読者から「心が楽になった」という手紙が来ることもあるそうです。
シリーズの主人公は小中学生女子。塾のテストで最下位だと「ドレイ狩り」と称していじめられる▽学校裏サイトに悪口を書かれ、いやらがせメールや無言電話に悩まされる▽机や靴への落書き▽万引きの強要▽受験ストレス解消の仲間はずれ――など、毎回、いろいろな事例が出てきます。
内容が重いだけに、作者の五十嵐さんは作品を描き終えると2~3日寝込むこともあるそうです。五十嵐さんはアシスタントを使わず、すべて自分一人で描いています。つらいストーリーにも一人で向き合い、気力・体力とも使うため、人気作品でも「量産」することはできないそうです。
登場人物の目の大きさも話題になりますが、編集者は「目ヂカラというのでしょうか。命をそそいでいる部分だから気持ちが強く出るのではないでしょうか」。
恋愛ものが中心の「ちゃお」では異色の作品です。連載が始まった当時、いじめが社会問題としてクローズアップされており、編集部では、社会問題提起漫画と位置づけ、初めての実験的試みでした。五十嵐さんも「読者層から考えてもこの雑誌で描く意味は大きい」と引き受けたといいます。
このほか、いじめを取り上げた少女漫画としては、すえのぶけいこさんの「ライフ」(講談社)、ももち麗子さんの「トモダチごっこ」(同)などがあります。
小学生がよく読む「なかよし」編集部(同)も、読者の体験談を基にした「本当にあったツライいじめ」シリーズ3冊や、「涙100万粒のリアル いじめがはじまるとき」と題した単行本を出版しています。子どもたちが一番困っていることを取り上げようと、いじめをテーマにしたそうです。
特に小学生女子は、高学年から人間関係が複雑になり、友達とのトラブルも増えると言われます。身近な漫画で学んでいるということなのでしょうか。
法務省はHPで「みんなで『いじめ』をなくそう」という漫画を紹介しています。
NPO法人「再チャレンジ東京」でも実体験に基づいた公募漫画作品集「いじめ・自殺のない国をめざして」(選考委員長・松本零士さん)を発行しています。