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死刑判決受けたのに、執行されない死刑囚が128人もいる理由
死刑が確定した死刑囚は先月時点で128人にのぼります。法律では、法相が判決確定から6カ月以内に執行を命じることに。なのに、執行されない理由とは?
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死刑が確定した死刑囚は先月時点で128人にのぼります。法律では、法相が判決確定から6カ月以内に執行を命じることに。なのに、執行されない理由とは?
死刑が確定した死刑囚に対する刑の執行は、法律が定めているようには進んでいません。確定死刑囚は先月の時点で128人にのぼります。刑事訴訟法では、法相が死刑判決確定から6カ月以内に執行を命じ、さらに5日以内に執行するよう定めています。ただ、このような執行はほぼありません。
理由の一つは、裁判をやり直す「再審」を求める権利が死刑囚にあるためです。法務省内には、再審請求中の死刑囚には執行しない「暗黙のルール」があります。
ただ、棄却されても請求を繰り返す死刑囚もいるため、「先延ばしのために請求している」との批判もあります。2014年12月25日時点で、93人が再審請求中でした。
また、複数の犯人による事件では、共犯者の裁判が終わるまで執行されない実態もあります。死刑囚の証言が、共犯者の判決に影響を与える可能性があるためです。
オウム真理教の事件では、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら13人の死刑判決が確定しましたが、執行はされていません。
さらに、法相自身の信条や考え方も影響します。
05~06年に法相だった弁護士出身の杉浦正健氏は就任会見で「私は(執行命令書に)サインしない。心の問題。宗教観、哲学の問題」と発言。撤回したものの、10カ月間の在任中、執行はしませんでした。
10年7月には、死刑廃止論者だった千葉景子法相が自ら立ち会い、死刑囚2人に刑が執行されました。「死刑に関する根本からの議論が必要だと改めて思った」と語っています。
一方で、超党派の国会議員でつくる死刑廃止議連(亀井静香会長)は、死刑廃止と終身刑創設を柱とした法案提出を目指しています。
これらの理由で、全国の拘置所などに収監されている確定死刑囚は2月3日時点で128人にのぼります。
老衰や病気によって、執行されずに死亡する死刑囚もいます。
14年7月には、名古屋拘置所で肝臓がんの治療を受けていた死刑囚(67)が死亡しています。今年3月に大腸がんの手術をしましたが、その後に転移が分かり、拘置所内の病室で治療を受けていました。