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お金と仕事

就活、あえて「脱ナビ」会社側「落とす作業膨大」「ミスマッチ多い」

就職活動のインフラともいえる、インターネットを使った「就活ナビサイト」を使わない会社があります。応募の人数が激減しても「脱ナビ」を選ぶ理由とは?

グループに分かれて模擬面接をする大学生たち=2015年2月5日、名古屋市中区、高橋雄大撮影
グループに分かれて模擬面接をする大学生たち=2015年2月5日、名古屋市中区、高橋雄大撮影 出典: 朝日新聞

目次

 就職活動のインフラともいえる、インターネットを使った「就活ナビサイト」を使わない会社があります。応募の人数が激減しても「脱ナビ」を選ぶ理由とは?

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ほぼ全員が登録、就活ナビ

 「就活ナビサイト」は、学生が氏名や大学名などを登録した上で、企業が掲載した求人広告を閲覧でき、説明会や採用試験に応募できるインターネット上のサイトの総称です。

 企業はサイト運営会社に料金を支払い、メールなどで登録した学生にPRします。学生は登録無料で、就活生のほぼ全員が登録しているとみられています。代表的なものに「リクナビ」「マイナビ」があります。

出典:リクナビのサイト画面
出典:マイナビのサイト画面

「大量のメール、見てもらえない」

 ライフネット生命保険は、2016年の採用からナビサイトの利用をやめます。「学生に大量のメールを送っても見てもらえない」(採用担当者)などが理由です。少人数に直接会うやり方を繰り返した方が、良い人材に出会えると考えたそうです。

 「脱ナビ」をする一方、ライフネット生命保険は、企業の採用担当者が専用のカフェで学生と直接、出会えるサービスのスポンサーになっています。運営する京都市の会社「エンリッション」に年90万円のスポンサー料を払うことで、会社説明会や就活の関連講座をカフェで開いたり、会社案内を置くことができます。ライフネット生命保険のほか、JICAやリンナイ、ナリス化粧品など約30の企業などがスポンサーになっています。

カフェで向かい合う就活生と企業の採用担当者=東京都新宿区
カフェで向かい合う就活生と企業の採用担当者=東京都新宿区

「落とす作業に労力を使う選考」

 東京都渋谷区のITソフトウェア会社「HDE」は、選考も兼ねるインターンシップを導入しました。高橋実人事部長は、ナビサイトに頼っていた採用について「落とす作業に労力を使う選考だった」と話しています。今は、IT系企業7社と合同で説明会を開催。学生に他社との違いを理解した上で、自社を選んでもらおうとしています。

 ナビサイトは、「広告塔」のような位置づけにし、内容も専門用語も交えた事業や必要な技術の紹介に変えました。ナビサイトからの応募は以前の約2千人から約300人に減りましたが、従来の採用で「落とす作業」に費やしてきた労力を、「少数精鋭の学生と出会う場づくり」に回しているそうです。

「10年ほど前から脱ナビの意識」

 就活に詳しい人材コンサルタントの常見陽平さんは「ナビサイトは約20年前に登場したが、10年ほど前から企業の脱ナビの意識が生まれてきた」と指摘します。理由として「(1)欲しい学生に会えない(2)選考で落とす作業への負担感(3)大手企業はナビサイトを使わなくても学生に出会える」などを挙げます。

 常見さんは「ナビ以外の方法で欲しい人材に出会いつつ、ナビサイトという『網』も広げておく使い方が増えている。当たり障りない内容ではなく、企業の実態が伝わる厳しいメッセージを送るなど、訴えたい層を意識した作戦を立ててナビを使う方が有効だ」と話しています。

人材コンサルタントの常見陽平さん
人材コンサルタントの常見陽平さん
企業の採用、脱ネットも 求める人材オフラインで接触:朝日新聞デジタル

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