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ベッドの上、裸の男性2人が訴える「闇」 世界報道写真の大賞作
ベッドの上、うつろな表情で抱き合う男性2人。世界中の写真家の作品から選ばれる世界報道写真の大賞作は何を訴えているのでしょうか。
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ベッドの上、うつろな表情で抱き合う男性2人。世界中の写真家の作品から選ばれる世界報道写真の大賞作は何を訴えているのでしょうか。
ベッドの上、うつろな表情で抱き合う男性2人。世界中の写真家の作品から選ばれる世界報道写真の大賞に、デンマークのマッズ・ニッセン氏の写真が選ばれました。ずっしりとした重さを感じる、この1枚は何を訴えているのでしょうか。
マッズ・ニッセン氏は、1979年にデンマークに生まれました。大学でフォトジャーナリズムを学んだ後、急速に経済発展する中国で写真家として活動します。現在は、故郷のデンマークに拠点を移しています。
今回、世界報道写真の大賞に選ばれた写真はロシア人の男性カップルを撮影したもの。2人は同性愛者です。1人は天井を見上げ、もう1人はうつろな表情で視線が定まりません。暗い部屋の中に2人の顔だけが浮かび上がります。壁にうつる影は、2人にまとわりつく闇の象徴のようにも見えます。
この写真は、LGBTと呼ばれる性的少数者への差別を訴えています。LGBTへの偏見はいまだ根強く、特にロシアでは2013年、未成年者に対し公の場でゲイなどの「非伝統的性的指向」を宣伝するような行為を禁止する「同性愛宣伝禁止法」が成立。同性愛者への差別を助長しかねないとして、ソチ五輪のボイコット運動にまで発展しました。
日本では、東京都渋谷区が同性のカップルから申請があれば「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する方針を発表するなど、新しい動きもあります。一方で国としての対応は進んでいないのが現状です。早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)は「米国では、自治体で同性をパートナーに認める制度が起こり、同性婚の制度化に広がった。渋谷区の動きが広がれば、日本も変わる可能性がある」と話しています。