MENU CLOSE

話題

ヨルダンってどんな国? 過激派への防波堤 人質事件で突然、当事者

「イスラム国」の人質事件。突然、当事者となったヨルダンとは、どんな国なのでしょうか?

親日的といわれるヨルダン。アブドラ国王(左)との会談に臨む安倍晋三首相=2014年11月20日、首相官邸、越田省吾撮影
親日的といわれるヨルダン。アブドラ国王(左)との会談に臨む安倍晋三首相=2014年11月20日、首相官邸、越田省吾撮影 出典: 朝日新聞

目次

 「イスラム国」が、人質となっている後藤健二さんと引き換えに、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を求めています。突然、当事者となったヨルダンとは、どんな国なのでしょうか?

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格
【映像】「これが私の最後の言葉にならないよう・・・」ネット上に公開された後藤健二さんの映像
出典: 新たな映像、女性囚人の釈放要求 男性の声でメッセージ:朝日新聞デジタル

首都アンマンには、日本企業の拠点も

 ヨルダンは、イラク、シリア、イスラエルなどと国境を接しています。面積は日本の約4分の1で、人口は約600万人です。イギリスの委任統治領だったヨルダンは1946年に独立。イスラム教徒が国民の約9割を占めます。産油国ではなく、衣料品などを輸出して、原油などを輸入しています。治安が比較的安定している首都アンマンには、日本企業がイラクやパレスチナ向けの拠点を設けています。

多くの報道陣が集まった現地対策本部があるヨルダンの首都アンマンの日本大使館前=2014年1月21日
多くの報道陣が集まった現地対策本部があるヨルダンの首都アンマンの日本大使館前=2014年1月21日
90年代に入ると、イスラエルとの友好関係や親米姿勢に反発する反体制派やイスラム過激派が活動を激化。2000年代に「イラクのアルカイダ」を率いた故ザルカウィ容疑者が、ヨルダン当局にマークされるようになったのは、90年代半ばのことだ。
解放条件なぜ一変 身代金から死刑囚釈放に 「イスラム国」人質事件:朝日新聞デジタル

過激派への防波堤

 ヨルダンは、アメリカやヨーロッパ諸国と連携し、周辺のアラブ諸国とも良好な関係を保つ「穏健派」として知られています。アラブ諸国のなかでは、エジプトと共にイスラエルと平和条約を結んだ数少ない国です。イスラム過激派への対処に追われる欧米にとっては防波堤のような存在になっています。その一方で、2001年の米同時多発テロ後は、国内外でヨルダンを標的とするテロ事件が続きました。2005年11月には首都アンマンのホテルで、今回、交換条件として名前が浮上したリシャウィ死刑囚らが関わった連続テロが起きました。近年はイスラム過激派への取り締まりを強め、ほぼ封じ込めてきました。

ヨルダン市内の自宅アパートで取材に応じるシリア難民たち=2013年12月11日、松尾一郎撮影
ヨルダン市内の自宅アパートで取材に応じるシリア難民たち=2013年12月11日、松尾一郎撮影
シリアやイラク、イスラエルなどと接する同国の治安は比較的安定。中東の民主化運動「アラブの春」でも大きな混乱はなく、イスラム過激派への対処に追われる欧米にとっては防波堤のような存在だ。
解放条件なぜ一変 身代金から死刑囚釈放に 「イスラム国」人質事件:朝日新聞デジタル
05年11月には首都アンマンのホテルで、リシャウィ死刑囚らが関わった連続テロが起きた。近年はイスラム過激派への取り締まりを強め、ほぼ封じ込めてきた。
解放条件なぜ一変 身代金から死刑囚釈放に 「イスラム国」人質事件:朝日新聞デジタル

「切り札」の死刑囚、難しい判断

 昨年からアメリカ主導で続くシリア領内での「イスラム国」に対する軍事行動にも参加しています。そして、昨年12月、ヨルダン軍の戦闘機がシリア北部ラッカで墜落し、操縦士が「イスラム国」の人質になっています。ヨルダンでイスラム過激派を研究するハサン・アブハニヤ氏によると、水面下でリシャウィ死刑囚と交換する案が出ていたといいます。リシャウィ死刑囚は、ヨルダン政府にとって、操縦士を生還させるための「切り札」ともいえる存在です。親日的と言われているヨルダンですが、日本人人質を巡り、どんな対応を取るのか。ヨルダン政府は難しい判断を迫られています。

ヨルダン・ザアタリ難民キャンプで、テントの外でオリーブの枯れ枝を燃やして暖をとる子供たち=2013年12月13日、松尾一郎撮影
ヨルダン・ザアタリ難民キャンプで、テントの外でオリーブの枯れ枝を燃やして暖をとる子供たち=2013年12月13日、松尾一郎撮影
ヨルダン国内では操縦士の解放を求める声が高まっている。操縦士の身に危険があれば国内の反発を招くのは必至で、ヨルダン政府は慎重な交渉を進めていたとされる。ヨルダンでイスラム過激派を研究するハサン・アブハニヤ氏(52)によると、その中でサジダ・リシャウィ死刑囚と交換する案が浮上していたという。
解放条件なぜ一変 身代金から死刑囚釈放に 「イスラム国」人質事件:朝日新聞デジタル
アブハニヤ氏は「『イスラム国』の目標は(対抗しようとする)友好国の関係を分断することだ。友好国の間に倫理的な問題を突きつけ、関係を弱めようとするゲームを試みている」と分析する。
解放条件なぜ一変 身代金から死刑囚釈放に 「イスラム国」人質事件:朝日新聞デジタル

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます