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ヨルダンってどんな国? 過激派への防波堤 人質事件で突然、当事者
「イスラム国」の人質事件。突然、当事者となったヨルダンとは、どんな国なのでしょうか?
「イスラム国」が、人質となっている後藤健二さんと引き換えに、ヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を求めています。突然、当事者となったヨルダンとは、どんな国なのでしょうか?
ヨルダンは、イラク、シリア、イスラエルなどと国境を接しています。面積は日本の約4分の1で、人口は約600万人です。イギリスの委任統治領だったヨルダンは1946年に独立。イスラム教徒が国民の約9割を占めます。産油国ではなく、衣料品などを輸出して、原油などを輸入しています。治安が比較的安定している首都アンマンには、日本企業がイラクやパレスチナ向けの拠点を設けています。
ヨルダンは、アメリカやヨーロッパ諸国と連携し、周辺のアラブ諸国とも良好な関係を保つ「穏健派」として知られています。アラブ諸国のなかでは、エジプトと共にイスラエルと平和条約を結んだ数少ない国です。イスラム過激派への対処に追われる欧米にとっては防波堤のような存在になっています。その一方で、2001年の米同時多発テロ後は、国内外でヨルダンを標的とするテロ事件が続きました。2005年11月には首都アンマンのホテルで、今回、交換条件として名前が浮上したリシャウィ死刑囚らが関わった連続テロが起きました。近年はイスラム過激派への取り締まりを強め、ほぼ封じ込めてきました。
昨年からアメリカ主導で続くシリア領内での「イスラム国」に対する軍事行動にも参加しています。そして、昨年12月、ヨルダン軍の戦闘機がシリア北部ラッカで墜落し、操縦士が「イスラム国」の人質になっています。ヨルダンでイスラム過激派を研究するハサン・アブハニヤ氏によると、水面下でリシャウィ死刑囚と交換する案が出ていたといいます。リシャウィ死刑囚は、ヨルダン政府にとって、操縦士を生還させるための「切り札」ともいえる存在です。親日的と言われているヨルダンですが、日本人人質を巡り、どんな対応を取るのか。ヨルダン政府は難しい判断を迫られています。