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新潟ご当地アイドルNegicco、人気の秘密にコトラーの経済理論
新潟市のご当地アイドル、Negiccoがブレーク中だ。ピチカート・ファイヴの小西康陽氏らも楽曲に携わるという異色のアイドル、その人気の秘密とは何か? 初のオリコントップ10入りを果たした今、次の目標とは?
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新潟市のご当地アイドル、Negiccoがブレーク中だ。ピチカート・ファイヴの小西康陽氏らも楽曲に携わるという異色のアイドル、その人気の秘密とは何か? 初のオリコントップ10入りを果たした今、次の目標とは?
新潟市のご当地アイドル、Negicco(ねぎっこ)の新曲「光のシュプール」が、12月15日付のオリコンCDシングル週間ランキング(集計期間1~7日)で5位に入りました。ピチカート・ファイヴの小西康陽氏らも楽曲に携わるという異色のアイドル、その人気の秘密とは何か? 活動12年目で初のトップ10入りを果たした今、次の目標とは?
Negiccoは、2003年にデビューした新潟市在住の女性3人組アイドルグループです。「ご当地アイドル」の草分けとしても知られています。新潟を拠点にイベントやラジオなどに出演。週末には都内でもライブをしています。
なかなかブレークせず、手焼きCDを手売りしていたこともありました。しかし着実に力をつけ、2010年には大手芸能事務所ホリプロ主催の地方アイドルナンバーワン決定イベントで、グランプリを受賞しました。2011年にレコード販売店大手「タワーレコード」のアイドル専門レーベルに所属しています。
近年、ねぎっこの曲の作詞、作曲には、ピチカート・ファイヴの小西康陽氏、オリジナル・ラブの田島貴男氏ら、おしゃれでポップな「渋谷系」の有名アーティストが携わってきました。知名度も次第に高まり、全国メディアで「次に来るアイドル」と紹介されるようになってきています。
なぜ、そこまでの人気を得るようになったのか。作家の川上徹也さんは、2014年3月に、ねぎっこの活動を分析したビジネス書「Negiccoの成長ストーリーこそ、マーケティングの教科書だ」(祥伝社)を出版しました。
川上さんは「マーケティングの神様」と呼ばれるフィリップ・コトラーの説く「マーケティング3.0」という理論を使って、人気の秘密を解き明かしました。
コトラーは、単に商品を売り込むことを目指すのが「1.0」。顧客満足を目指すのが「2.0」。その先にある「3.0」の段階では、企業が顧客と一緒になって新しい価値を生み出して市場を作っていく手法が必要だ、と提唱しています。
ねぎっこは、知名度不足に悩みながらも、日本武道館でのワンマンライブという目標に向かい、様々な壁を乗り越えてきました。川上さんは、ファンが思わず共感してしまう、ねぎっこのケースを、ホームページでファンから募った約100通のメッセージや、関係者への取材から「3.0」の具体例と結論づけました。
また、ねぎっこの活動を地理学的に研究した学生もいます。当時、法政大学文学部地理学科4年の河東(かとう)優さんは、ねぎっこがライブやテレビ出演などをした活動場所を公式サイトなどから調査。知名度が増すにつれて、首都圏が増える傾向になっていることを卒論にまとめました。
「首都圏」が増えた理由について、マネジャーの熊倉維仁さんへのインタビューや、新潟市内に「ラフォーレ原宿新潟」という建物があることなどから、「新潟県民は東京への憧れが強い」と分析しました。
河東さんは「今のねぎっこは、東京で仕事をしている姿を、メディアを通じて新潟市民や県民に見せることが、新潟の『ご当地アイドル』としての活動」になっている、と指摘しています。
ご当地アイドルとして、地元と東京で活躍するねぎっこ。活動12年目で初のトップ10入りを果たした今、次にかかげる目標は何か? リーダーのNao☆さんに聞きました。
――5位に入ったのを伝えられる瞬間の動画がアップされていて、ものすごい喜びよう。あの時の率直な感想は
みんなでトップ10入りを目指していたが、まさか5位までは全然考えておらず、10位に入れたら良いよね、という話だったのに、聞いたら5位。片手だよ、とメンバーのKaedeが言っていたんですけれど、本当にビックリして、すごく良い結果をいただけたな、という気持ちです。
――頭が真っ白?
いつもねぎっこって反応が薄いと言われるんですけれど、わき上がる喜びが大きくて、とっさに椅子も飛んでいくくらい、みんなで喜んでいました。
――トップ10に入り、変化は
新潟でのテレビの取材が増えたり、ライブ会場での歓迎がすごかったり、まだ言えないようなすごいお仕事の話が入ったり、今までにないような活動の話をいただけるようになってきた。いろんなところで「12年間の活動の成果が今出た」というように取り上げていただけたので、みんなで喜んでいるところです。
――近年、ねぎっこの曲の作詞、作曲には、ピチカート・ファイヴの小西康陽氏、オリジナル・ラブの田島貴男氏ら、おしゃれでポップな「渋谷系」の有名アーティストが携わってきました。一方、今作は、デビューした年から3人を支える新潟市在住のconnieさんが担当しました。
前曲の「サンシャイン日本海」が11位で、次はどなたの曲で出すのだろうと思った時に、connieさんしかいないよな、と思う自分がいて、そうしたら「次はconnieさんで出します」と聞いて、「すごい、わ、来た」と思った。すごい方々にプロデュースしていただいてきたんですけれど、デビュー当時からconnieさんが自分たちのことを見てくださっていて、connieさんの曲でトップ10に入れたらすごく理想的だなと思って、頑張る気持ちがあり、PVを撮ってくださったチームの方々が、「サンシャイン日本海」と同じチームの方々で、すごい良い現場で愛情もいっぱい感じていたので、このチームでトップ10に入りたい、という強い気持ちがありました。
――飛躍の1年になりました
12年間やっていて、一番あっと言う間に過ぎた1年でした。みんなで、「つい最近の記憶しかないね」と話していて、それくらい怒濤の1年だったので、充実していました。
メンバーと「何カ月も休みがないね」という話もしたのですが、昔は暇だったので、その時と比べたら今はすごくありがたいし、恵まれているので、チャンスを活かして頑張らなきゃな、と思っています。今が一番楽しいというか、楽しんで仕事もできているし、今一番幸せを感じられるので、それが続くように頑張っていかなくては、と思います。
――次の目標は
(元々は広島出身のご当地アイドルだった)パフューム(Perfume)さんの立った東京・恵比寿のリキッドルームで1月24、25日にあるライブを成功させたい。新潟出身者としては、大物アーティストのライブでよく使われる憧れの場所、新潟県民会館(新潟市中央区)で、1階席も2階席も埋めるようなライブをしたいです。
また、今年、「サマーソニック」「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」と出させていただいたので、やはり地元新潟でやっている「フジロックフェスティバル」に出ることも夢の一つです。
でも、ねぎっこで今、一番やりたいと言っているのは、日比谷野外音楽堂なんです。Kaedeがライブを見に行って、「すごく良いよ。自分たちも青空の下、外でライブをやりたい」と言っていたので、自分たちもやりたいです。
あと、全都道府県に行ってみたいです。どこどこに住んでいるので来てください、といろんなところで言っていただけるようになってきているので、応援してくださっている人のところに行けるようにしたいです。
――新潟はご当地アイドルが増えてきています。先駆者としてエールを
ねぎっこも今からだ、と思っているので、まだ成功したとは言えないです。ただ、新潟で大きくなることが全国につながる、と思っていました。その結果、県観光協会から「にいがた観光特使」に委嘱していただいたりもしたので、新潟の人が新潟を盛り上げようという気持ちが大事だと思います。それぞれの場所で新潟を盛り上げようという活動が出てきていることは、地域活性化という点ですごく良いことだと思います。