話題
鉄道遺産のトンネルに現代風オブジェ 「違和感・・・」波紋呼ぶ
甲州市勝沼町の鉄道遺産「大日影トンネル」で、飾られた17体のオブジェが波紋を広げています。地元の彫刻家が寄贈した作品に「鉄道遺産と関係ない」という疑問の声があがっています。
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甲州市勝沼町の鉄道遺産「大日影トンネル」で、飾られた17体のオブジェが波紋を広げています。地元の彫刻家が寄贈した作品に「鉄道遺産と関係ない」という疑問の声があがっています。
甲州市勝沼町の鉄道遺産「大日影トンネル」で、飾られた17体のオブジェが波紋を広げています。地元の彫刻家が寄贈した作品に「鉄道遺産と関係ない」という疑問の声があがっています。
大日影トンネルは、中央線八王子~甲府間が開通した1903年から97年まで使われました。トンネル内にはレールが残り、天井や壁には蒸気機関車のすす。明かりも大半が当時の設備のままで、鉄道ファンらの人気を集めています。甲州市はトンネル内に遊歩道を整備し開放しています。
トンネル内を進むと、突然、作業員の待避所だった場所に、塩山御影石で作られたオブジェが現れます。薄暗がりで、明治時代に製造されたレンガを背景に、オブジェがライトに照らされています。
オブジェに対しては、住民から反発の声も出ています。旧町内に点在する古い醸造所やブドウ栽培施設、歴史遺産をつなぐ観光ルートを作った「勝沼フットパスの会」の小沢正光さん(62)は、「ブドウやワインの輸送に貢献し、地元産業の礎になったトンネルは近代産業遺産の核。全く関係のないアートを飾ることに違和感を感じる」と話しています。市では観光客に「遊歩道内にオブジェを展示することについてどう思われますか?」と問うアンケートを始めました。来年12月まで続ける予定です。
オブジェを寄贈したのは、東京芸術大彫刻科卒業で、20年以上前から甲州市内にアトリエを構える彫刻家の井上麦さん(58)です。井上さんは昨年4月、一時閉鎖されていたトンネル遊歩道の再開通式で、田辺篤・甲州市長が「単調なトンネルにもっと楽しさを増す工夫が欲しい」と話すのを聞き、作品の寄贈を申し出ました。田辺市長は市役所の課長級以上が集まる政策協議会に諮り、受け入れを決めました。
井上さんの作品は、象と木の芽吹きを命の源泉ととらえた彫刻が持ち味です。井上さんは「トンネルが列車を介して人と人をつないだように、私の作品が見ず知らずの観光客をつなげるきっかけになれば」と話しています。